第280話 宰相閣下の前に自分達が、と(次の生贄)
その後宰相閣下がやってきて、宰相閣下の奥様と、娘さん夫婦の4人で話し合いが行われました。
「そうは言うがな婿殿、既に何組か人柱となってもらっておるのだ。その結果は実に素晴らしい成果なのだ。」
「だからと言って義父上がそのような事をなさる必要は無いのではありませんか?」
「そうではないのだ。だからこそ我がせねばならぬのだ。我は普段宰相という立場から国益を優先する必要がある故に、人の生死に関わる事を平気でしかも迷わず決断せねばならぬ。その結果多くの人が死のうとな。我には責任がある。そして権力もある。だがここで人にばかり任せては人はついてこぬ。こういう時こそ自らを犠牲にせねばならぬのだ。分かってくれ。」
「せめて私共が先にいたします!」
「そうよお父様。万が一の場合どうするのですか!」
「そうは言ってもなあ、もう既にそれなりの時間ダンジョンで過ごしているからなあ。」
「お父様は陛下の傍にいらっしゃるのですからいいのです。陛下のおわす場所こそがヴィッテヴェーン王国なのですから。」
横で聞いていてよくわからない流れになってきました。
宰相閣下の真剣さと娘さん夫婦の心配が入り交じっています。
「あなた、ここは婿殿の顔を立ててあげたほうがよろしいのでは?」
「……わかった。(く!いい加減俺にさせてくれ!)」
話し合いの結果、娘さん夫婦がまずサードジョブまで取得し、その後宰相閣下夫妻が、と。
そしてその後はいよいよ陛下?
……
宰相閣下の娘さん夫婦へ選定を行いました。
2人は遊び人ではなかったので、ファーストジョブの転職から始め、その後セカンド・サードともに遊び人にしました。
そうそう、そもそも実際何で揉めていたのかと言えば、今回は精神に干渉するアイテムを用意し、それを装着してもらおうという考えを予め伝えていたからです。
今回渡したアイテムは精神異常耐性のアイテムです。
その結果は中々良好で、今回2人は選定が終わっても何事もなかったかのような振る舞いでした。
効果があったようで、一安心です。
それを見た宰相閣下は、
「デルク殿、では次は私が行うという事で宜しいですかな?」
いいのでしょうか?
それに宰相閣下にこのアイテムが通じるのでしょうか?
「宰相閣下、奥様とお2人でしたらいいと思いますが、本当にいいのですか?」
「大丈夫だろう。トゥーニス殿も今は問題ない様子。それに婿殿もこうして何もなかったしな。多数の犠牲はあったが、そのお蔭をもって導き出された結果なのだ。それに私が行えば、次はいよいよ陛下なのだ。年が近い私が先ず行えば、陛下も安心できよう。」
「わかりました。では一応アイテムを装着して下さい。」
「分かった……成程これは中々強力な魔道具なのだな。」
宰相閣下は無事装着していますね。
奥様も……問題なさそうです。
ただ気がかりなのは、宰相閣下の年齢に近い人にはまだ選定を行っていない事です。
不測の事態に備えはしますが、無事終わってくれるといいのですが。




