第278話 本当はこうなんだなあと
宰相閣下の娘さん、そしてその旦那さんと紹介された2人が目の前にやってきました。
「お忙しい所、貴重な時間を割いて下さりありがとうございます。」
「父がとんでもない程に迷惑をかけたと聞いています。申し訳ございません。」
うーん……どう聞いているのかな?
「その、それほど忙しくはないというか、単にレベリングをしているだけですし、それに宰相閣下は特に俺へ迷惑をかけてはいないと思うのでどうか安心して下さい。」
「そうは言っても父はあの調子ですし……あ!」
あ!ってどうしたのかと思えば、いきなり2人は五体投地、そして改めて土下座を……額を地面にくっつける勢いで……最敬礼と言うのかな?
2人のこうした方向を見れば、どうやら陛下がこっちに着いた様子。
「デルクよ、次はどうするのじゃ……ってどうしたのだこの2人は。」
陛下は俺に確認をしようとしに来たみたいですが、陛下が声を発した途端2人はとうとう地面におでこをくっつけてしまいました。
「ええと陛下、次はこの2人と宰相閣下みたいです。」
「この2人?ああそう言えば見た事があるな。確か宰相の所の娘とその亭主……騎士団長だったか?」
だけど2人は震えて何も言いそうにありません。
「おいお前達何とか言え!言わないなら……」
ペロン
陛下はあろう事か……女性のスカートを陛下は豪快にまくり上げ、下着が丸出しです。
しかしそれを直そうともせず、ずっと最敬礼をしたまま身じろぎすらしません。
しかしまたもや陛下の後ろには王妃様が……どうして陛下はいつもこうなのでしょう?
すぱん!
「痛いのじゃ……って何をする!これやめんか!」
メルヒルト様と王妃様です。メルヒルト様の気配は全く分かりませんでした。
「一度ゆっくりお話ししましょうか?」
王妃様の目が怖いです。
「は、話せばわかる。そうだろう宰相……って宰相!どこ行った!お前裏切るのかああああ!」
陛下は王妃様とメルヒルト様に両腕を取られ、引きずられて何処かへ消えていきました。
あ、もう1人の女性はメルヒルト様と共に着いていくようです。
「陛下はもういませんよ?」
すると2人は徐々に頭を上げ様子を見……女性はスカートを直していました。
……
「信じられない!陛下自ら私共にお声をかけて下さるなど……」
「神にも等しい尊いお方がスカートに触れて下さいました。」
「えっ!どういう事でしょうか?」
今2人は俺の用意した椅子に座り、テーブルをはさんで対面で座っています。
「デルク殿の方こそ信じられない。あの陛下だぞ?」
「ええ、あの陛下です。ですから何故?」
「我々夫婦は宰相閣下の親族に当たる故に、宰相閣下とは親しくさせていただいているが、陛下と宰相閣下はわが国の英雄。それを差し引いても宰相閣下の娘と騎士団長という私共を知っていて下さり、お声をおかけ下さった。これがどういう事か分かりましょうか?」
騎士団長さんは熱く語っていますが、さっぱり分かりません。
次に女性が話し始めましたが、
「私なんて父が宰相ですから特殊なのです。父も陛下同様とはいきませんが、陛下と父の英雄譚は広く国民の間に浸透しておりますのよ。その英雄である、神にも等しい陛下に……死んでもいい!」
「あの、一応確認なのですが、先程陛下は貴女のスカートをまくり上げましたよね?あれが陛下の本性ですよ?王妃様は宰相閣下共々悪童と一蹴なさってましたし。」
すると目の前で女性が、
「あ、悪童ですか?そりゃあ確かに父は身内だけの時は……いえ、言うのはよしましょう。そうですか、悪童ですか……あの陛下が本当に?」
「ええ。暫く見ているとわかると思いますよ。」
やはり陛下って国民の間では英雄ですよね?
まあ俺も城へ来る前まではそう思っていましたし、トゥーニスさんに言われるまで悪童とか考えた事もなかったですし。
国民が真実を知れば一体この国はどうなってしまうのでしょう。
知らない方が幸せな事もある、という事でしょうか。
心配になったデルクだった。




