第24話 認識阻害の腕輪
「デルク、今後外へ行く時はこれを着けてもらおう。最も貴重な品ゆえ、デルクがここを去るまで貸すのだがな」
トゥーニスが、最後に見せて、渡してくれたのは――
腕輪だった。
銀色に光る、細い腕輪。
俺は、それを受け取る。
冷たい。
だが――
不思議な暖かさも感じる。
魔力が、込められている。
俺は早速――
【鑑定】を発動した。
<名前:認識阻害の腕輪>
<用途:装着した者の姿、ステータスが周りに正しく認識されないようにする>
<素材:金属>
<必要スキル:道具作成・錬金術・付与・空間魔法>
え?
これも、空間魔法なの?
なんだろう?
もしかして、空気を変化させているのかな?
光を曲げているとか?
これ以上は――
調べられないので、分からなかった。
鑑定スキルのレベルが上がれば、もっと詳しくわかるのかな?
「認識阻害のアイテムは、その効果によって使い方に違いが出る」
トゥーニスが、説明してくれる。
「今回デルクが借りたのは、姿かたち、そして自身のステータスを相手に違う認識で受け止めさせるアイテムだ。全く違う顔、そして違う職業として相手に認識させる」
全く違う顔――
つまり、変装?
だが、普通の変装とは違う。
魔法で、認識そのものを変える。
「アイテムによっては、そもそも装着者の存在を分からない様にしてしまう効果があったり、また装着者がいるのに気配が分からなくなったりと、一口に認識阻害と言っても色々あるのだ」
トゥーニスが、続ける。
「まあ今回は、デルクの遊び人としてのステータスを隠したいだけだからな。それには姿を変えて、名前と職業を別人として認識させる必要がある。もしデルクが知り合いに出会えば、デルクは遊び人の職業を選定時に得ていたと知る人物もいるだろう」
トゥーニスの言葉に、俺は頷く。
確かに――
街には、俺が遊び人だと知っている人がいる。
同じ様なアイテムでも、差があるんだな。
もし追手から逃げるなら――
そもそも存在を認識させないようにする必要があるはず。
なので、その時によって必要な機能が違うんだ。
「あ、その、ありがとうございます。俺はこれからどうしたらいいのでしょう?」
俺は、トゥーニスに聞く。
「ああ、デルクは採取のスキルがあるだろう? なのでな、それを生かして俺の求める素材を手に入れてほしいのだ」
トゥーニスが、言う。
「それは何ですか?」
「薬草をいくつか、後は魔道具を作成するのに必要な草だな。これらは後でリストを渡そう。正直俺はその草の形や必要な部位を知らぬのだ」
トゥーニスが、苦笑する。
「わかりました。俺で役に立つかどうかは分かりませんけれど、頑張ります!」
俺は、張り切って答える。
ようやく――
役に立てる。
今まで、タダ飯食いだったから。
「すまぬな……それと、1人で行ってほしいのだ。ヴィーベとリニには別の事をやってもらうのでな」
トゥーニスが、申し訳なさそうに言う。
そして――
忙しそうに、去っていった。
うーん――
俺に、採取ができるだろうか?
今まで、タダ飯食いだったから。
そろそろ、約束の2週間が経つ。
少なくとも、今までの分ぐらいは働かないと。
「え? デルクは1人で採取に行くのか?」
ヴィーベが、驚いて聞く。
「ええ、そうなんです」
俺は、頷く。
「ちょっと心配ね! 私もついていこっか?」
リニが、心配そうに言ってくれる。
ヴィーベとリニが――
心配そうに、俺を見ている。
「ええとその、トゥーニスさんはお2人には何かやってもらう事があると仰っていましたよ?」
俺は、言う。
「うげ!」
ヴィーベが、顔をしかめる。
「何ようげって!」
リニが、ヴィーベを叩く。
「だってよ……絶対ろくでもない事頼むってあの親父!」
ヴィーベが、不満そうに言う。
うーん――
色々、大丈夫だろうか?
俺は――
少し不安になった。
だが――
やるしかない。
俺は――
初めての仕事に向けて、準備を始めた。




