第227話 ダンジョンでは俺が王様
「おいデルク、人数が多いぞ?と言うかあれで正体隠しているつもりなのだろうか?」
「レイナウト、それは俺も思った。だけどやんごとなきお方は時に謎の行動をするからね。」
一応まだ確定じゃないからね。
「あの装備じゃ見送りって事は……ないよね?」
そこはロース、見てわかるからもう気を遣わなくてもいいかも。
「ダンジョン潜る気満々だあれは。」
「だよね。どうするセシル?」
「ここはデルクがビシッと言うべき。」
「なんて?」
「私達が引率するからダンジョン内は例え国王だろうとデルクの命令が絶対、だと。」
言えるのだろうか?あの面子に俺。
「まあここで悩んでいても仕方がない。行って確認し、誰がボスか伝えておかないと。」
「そうだね。だけどレイナウトの方が適任じゃないかい?」
「とんでもない!デルクの方が僕の数倍適任じゃないか!さあ行こう!」
いや既にレイナウトの方がリーダーなんですけど。
「なあセシル、レイナウトに任せては駄目なのかい?どう見ても俺よりレイナウトの方が適任だよね?」
「私はデルクの方が良い。」
そうなのかな?でも何でそこで抱き着くのだろう?
一応頭撫でておこうかな。
「ん。」
でもセシル、君もフル装備だからね。
表情がわからんのだよ。
まあセシルが満足ならいいか。
……
「皆さんおはようございます。」
俺は一応全員の前で挨拶を。
「おおデルクがいっちょ前に挨拶か!いいぞいいぞ!」
「馬鹿ヴィーベ!何で喋るのよ!黙ってなさい!!」
「そうだった。すまんリニつい喋ってしまった。」
自ら呼ばれていないのにゲロッた2人。
先輩遊び人、兄弟子の2人ヴィーベさんとリニさん。
行きたいならどうぞなんだけど、2人には伝えてないはずなんだけどねえ、どうやって知ったのだろう。
まあでも後はだんまりだね。
しかもあからさまに睨みつけてくる人もいるんだけど。
「じゃあ俺がサブリーダー、デルクがリーダーでいいよな。まずは俺がガツンと言っておこう。」
そこはレイナウトがリーダーで……レイナウトは行ってしまった。
「おはようございます。レイナウトと言います。パーティのサブリーダーです。先ほど挨拶してくれたのがリーダーのデルクです。さて、今日は国王陛下に請われダンジョン内でのレベリングを行う運びとなったのですが、1つ絶対厳守があります。それを守れない、納得できないというのであればこの場から去って頂いて結構です。」
いきなり強気だなあ。さすがレイナウトです。
「どうでもいいが一応聞いてやるよ!」
「一寸失礼よ?最後まで聞いてからになさいよ。」
「だってよ……」
「だってじゃない!」
……どうして遊び人の男性は揃いも揃って女性の尻に敷かれているのだろう。
「ではいいですか?ダンジョンの、特に70層以降ですが、未だ未踏の地です。但し私達4人を除いてですが。ですので各々実力で到達できる階層まではどうでもいいのですが、それ以降は私達4人、特にデルクの言う事は例え国王陛下と言えども絶対ですので忘れない様。それとできれば最短で78層へ向かいたいので……デルク、78層だっけ?」
「魚エリアの事?78は違ったと思うよ。確か67層と92層だ。まあずいぶん時間が経ったから俺も記憶があやふやだけど。」
「じゃあ目指すはまずは67層か。という訳で70層へ挑む前に、67層でレベリングをしてもらいます。皆さんの実力がどのあたりか分かりませんが、67層は過去の冒険者も突破していますから、ここに辿り着けない様ならどの道厳しいかと思う。ただ、僕等もレベリングをするよう言われた以上、最初からそこまで辿り着けるか不安な人、若しくはまだそこまでの実力がないと自ら判断した人は僕達が全力でサポートするので安心して下さい。」
言い切ったよレイナウト。
だけどやっぱり反発する人もいる訳で。
「ふざけるな!俺達をバカにしているのか!」
ああさっきの人だ。それに何人か同調しているし。
「無理に従ってもらわなくてもいいですよ。それともレベリング自体取りやめますか?」
「いや待ってくれ。そうじゃない。こいつは口が悪くてすぐに行動に出てしまって申し訳ない。だが僕らも陛下から突然会った事もない人に従えと言われても、そもそも申し訳ないがダンジョンの下層へ向かおうというのに、実力や戦い方の分からないパーティと一緒に向かうというのに抵抗があってね。」
それは正直な意見だと思います。
俺達の事を全く知らない状態で信頼しろ、というのはたしかに難しい話です。




