第220話 国王陛下の暴走
「してデルタとやら、色々と気になる事はあるのだが……」
あ、なんだか王様がデルタさんを上から下まで舐めるように見ています。
それに気が付いたデルタさん。
「何でございましょう。禁則事項に触れない範囲でお答えいたします。」
「その方、変わった衣服をまとっておるようだが、それに何だそのスカートの下の脚に穿いておるのは?妙なテカリがある上に、やけに身体と密着しておるようだが?」
デルタさんの姿ですけれど、下半身は短いスカートを身にまとい、足は黒光りするよくわからない素材で身を包んでいます。
そして上半身は矢張り黒光りし、足と同じような素材で身を包み、それによくわからない上着をまとっています。
俺は気にしなかったのですが、よく見ると体のラインがはっきりとわかり、布が気になると言われてしまえば意識して見てしまいます。
……いや、気にしないようにしよう。
「これらは全て私共に支給された身体活動を補佐いたします機能性防護服でございます。素材は第17世代のシリコンをナノニュートラル技術で魔素と共に編み込みました複合繊維で仕立てたものでございます。」
「は?17世代……よくわからん!して、少しばかり触ってもいいかのう?」
「どうぞお好きなように。ですが宜しいのですか?」
「は、なにがぢゃ?」
「背後で奥方様が構えております。」
「なんじゃと?」
あ、まただ。
「そんなに触りたいのでしたら、私のを触れば宜しいではないですか。それとも若い女がいいのですか?」
怖い!俺は本能で恐怖を感じました。
「で、デルク怖い!」
セシルがしがみ付いてきます。
セシルも今ので恐怖を感じ、耐えられなかったようです。
俺はどうしようか悩みましたが、そっと抱きしめてあげます。
こうすれば落ち着くと思ったからなのですが……俺自身も少し落ち着きました。
「ま、待つのじゃメルヒルト!何か誤解しておるのではないか!それにあ、アンシェラ!それは駄目だ!やめ……ギャアアアア!!!!!」
わが国最高位、つまり国の頂点に立つはずの国王陛下は、実はナンバー3だったようです。
ある意味、安心できる国だと思います。
「ま、待つのじゃ。ワシは性的な意味であのデルタというのを触れようとした訳ではない!であれば其方らが触れてみよ!そうじゃそうしろ!!」
「確かに気になりますね。何でしょうあの素材は。デルタさん、触れても?」
「どうぞ。」
2人の女性が色々触れています。そして引っ張ろうとしてますが掴めないようです。
「何この手触り……そして掴めないわね。あら、上着は掴めますが……何ですかこれは。極上の手触り!しかも何でしょうこの弾力。そして伸びるようですがこれは衝撃も吸収するのですか?それに、もしや刃物を通さない?」
そして国王陛下の奥様2人がデルタさんの正面を一生懸命、つまり上着を見ていますが、デルタさんの背後に忍び寄る国王陛下。もしかしてスキルを使っています?
さっき俺の気配を悟らせなかった手練れなので、本気を出したら何処にでも忍び込めそうなのですが……それはそれで怖いですね。
そして衆目があるというのに、あろう事かデルタさんのスカートをまくり上げ、お尻をさらけ出してしまいます。
勿論よくわからない黒光りの布でお尻も覆われていますが、お尻の形がくっきり……。
そしてあろう事かさわさわとおしりを触っていくではないですか!!
しかし様子が変です。
「な、何じゃこれは?確かにいい形の尻だというに、何だこの硬いのは!揉もうとしても揉めん!どうなっておる!」
流石は国王陛下。全くぶれていません。
ユスティネさんは目をそらし、トゥーニスさんは冷めた目でその行為を見ています。
トゥーニスさんのあの目は慣れた目ですね……長年苦労してきたのでしょう。
そして国王陛下の傍に居る壮年の男性が、トゥーニスさんより少し年下に見えますが、
「父上!いくら何でも衆目がありますぞ?」
「何を言うておる!そうじゃ!お前の嫁にどうじゃ?」
「何を言っているのですか!既に3人もいるのに、これ以上は困ります!」
「愚かな!2桁を扱え!2桁を扱えねば国を担えぬぞ?」
「そんな事はありません!これ以上妻が増えれば身が持ちません!」
「そうか?ではトゥーニスよどうじゃ?」
「何を言っているのだ!今日はユスティネを連れてきたというのに、なぜ別の女を娶らねばならぬのだ!」
「ぬ。仕方ないのう。では余が……」
「いい加減になさい!」
哀れ国王陛下はそのまま引きずられ何処かへと去っていきました……。
この国大丈夫なのでしょうか?
……まあ、トゥーニスさんが居るので大丈夫でしょう、多分。




