第212話 王都へ向け出発
その後1週間程、トゥーニスさんは色々な手続きやらギルドの件やらでする事が沢山あったようで、忙しくしていました。
そしてこの街の領主様とも会っていたようです。
尤もこの街の領主様は子爵様だったようで、今のトゥーニスさんは伯爵様なので身分としてはトゥーニスさんが上の立場。そして今や王族として広く認知されてしまっているので、さらに立場は上。
今回の騒動で色々指示していたみたいです。
まあ俺には関わりのない事だったので、どうでもいいのですが。
この1週間、俺は色々とアイテムを製作していました。
まずはカバンです。
背負って活用するカバンです。
万が一戦闘になってもそのまま戦えるよう、動きを阻害しないように考えました。
そして重心がずれないように背負いやすさを考えて、後はカバンの重量を極力軽くし、かつ素材を厳選し堅牢な仕上げにしています。
特に背面は万が一の時盾代わりになるよう、ドラゴンの鱗を薄く加工し武器での攻撃を防ぐ事が出来るようにしています。
後は魔法に対する耐性。
背後から襲われる事を考慮しています。
3年のダンジョン生活で色々学びましたから、以前とは考え方が変わっています。
そしてそれとは別に収納かばんの改良と作成です。
特に自分達の収納かばんを見直しました。
ダンジョンで作成したのは持ち運びしにくく、実際使いにくかったので自分達用の背負うカバンにも付与を施しています。
後はウエストにも小さな収納かばんを。
これは特に取りやすさを重視していて、ポーションや剣等を出し入れしやすいようにしています。
ただ、むやみやたらと作る訳にもいかないので、収納かばんに関しては自分達の分と、ギルドへ少しレンタル用に用意した程度です。
マウト女史はもっと用意してほしそうにしていましたが、暫く様子見と念を押しておきました。
ギルドに渡したのは精霊かばん。
今の所問題ないようですが、今後もそうあってほしいものです。
レイナウトとロースも色々準備があったようで、別行動でした。
1週間後にきちんと合流出来ましたが、2人はより親密になっていた気がします。
まあいいのですが。
レイナウトとロースはいずれ結婚すればいいと思っていますが、どうなのかな?
本人達はどう思っているのでしょう。
セシルは毎日俺と行動を共にしていました。
時々修道院へ戻っていたようですが、まあ彼女の本来居るべき場所なので、俺のアイテム作成にずっと付き合わすのも悪いと思っていたのでいい事です……よね?
一寸寂しかったりしますが。
前日にドロップアイテムの査定が全て終わり、莫大なお金を手に入れました。
もう一生働かなくてもいい金額で、恐ろしくて誰にも言えない金額です。
トゥーニスさんにだけ教えたら、しばらく無言でした。
そして出発の日がやってきました。
修道院に集まり出発のはずなのですが、待ち合わせ場所にはなんとヴィーベさんとリニさんがいました。
最初は見送りかな?と思っていましたが、どうやら俺達と一緒に王都へ向かう様子。
「デルク、俺とリニも一緒に行く事になったんだ。」
昨日商人ギルドでヴィーベさんとリニさんに会っていたのですが、そんな事は一言も言っていなかったので驚きました。
「そうなのよデルク。まあこの街に未練もないし。あ、そう言えば王都って行った事ある?」
リニさんが心配してなのか、そう聞いてくれます。
「いえ。俺はこの街から出た事がないので分かりません。」
「そう。それはいい所らしいわよ?まあ馬車で1日もあれば到着しちゃうから、何かあったらすぐに戻る事が出来るけれどね!そう言えばデルクって叔父さんだっけ?に小さい時は世話になっていたんだよね?お別れのご挨拶とかしたの?」
今更会いたいとは思いません。
「いえ。ダンジョンから戻った事も伝えていません。俺が遊び人になってから家を追い出されて、それっきり会っていません。」
「いいのそれで?」
「ええいいんです。それに冒険者ギルドに頼んでお金を叔父さんの所へ渡してもらっています。」
会っておいた方がいいのかもしれませんが、敢えて会わない選択肢を選びました。
もう俺はこの街に戻るつもりはありません。戻ったとしてもダンジョンに拠点があるので、せいぜい買い物程度でしょう。
叔父さんへのお金は、俺が遊び人になって家を追い出された時に面倒をかけた分の礼みたいなものです。それで十分だと思っています。
俺達はトゥーニスさんが用意してくれた馬車へ乗り込み、王都に向け出発します。
トゥーニスさんと教母様、ヴィーベさんとリニさんが先頭の馬車に、俺とセシル・レイナウトとロースが後ろの馬車にそれぞれ乗りました。
さて、王都ってどんな所なんだろう?
生まれて初めての遠出に、少し胸が弾む気がしました。




