第206話 トゥーニス その6
ヴィーベとリニから凡その事を聞き、現状デルクを救助することは難しいと判断。
せめて2人だけでも助けようと、俺は2人を従え戻る。
ヴィーベとリニに認識を変化させるアイテムを渡し、何事もなくダンジョンを脱出することに成功した。
外で熱弁を振るっている司祭、そしてその近くで冒険者に指示を出している冒険者ギルドのギルドマスター。
お前達は許さん!
いずれ国から教会の勢力を一掃してやる!
俺はそう心に決め、この場で全員を始末したいのをグッと我慢し、ダンジョンを後にした。
今ここで動けば2人が危険にさらされる。それだけが俺を踏みとどまらせた。
……
1ヶ月。
1ヶ月もあいつらはダンジョンに居座り、しかも最後はあろう事か脱出ポイントと呼ばれる魔法陣からの出現先を全て岩で塞いでしまうという暴挙に出た。
ダンジョン外なので何もしなければそのまま残る。
何故1ヶ月なのか。
それは俺が仲間を募り、ダンジョンの捜索をしていた期間が1ヶ月だからだ。
俺は頑なに反対したが、ヴィーベとリニがどうしても一緒に探すというので、ついてこさせた。そうは言っても足手纏いだ。なので別の仲間に護衛をしてもらった。
結果70層まで捜索できたが、それ以上は魔物の強さが厳しく断念。
デルクの事だから生きているだろうが、これ以上探せば俺達が死ぬ。
……悔しいが、それが現実だった。
ただ、いい事もあった。ヴィーベとリニがそれぞれレベルアップしたことだ。
2人の成長は、デルクがいなければなかったことかもしれない。
……
俺は親父と何度も話をし、ついに教会と本格的に事を構える決断を親父がしてくれたことを喜んだ。と同時に、よく決断したな、とも思った。
親父は国王だ。
国王は感情で動いては駄目だ。
教会を非難することは簡単だ。真実を述べるだけでいいのだから。
だが教会は勢力が大きすぎた。世界中に強い立場であるうえに、影響力が大きい。
だが俺は遊び人。頼れる仲間も遊び人だ。
つまり教会を国から駆逐しても、俺達が教会の独占していた業務を行えばいい。俺達ならそれが実際にできる。
それを知っているから教会は事ある毎に遊び人を警戒し、敵視してきた。
あいつらは遊び人に対する接し方を誤った。
それも向こうの勝手な都合、そして利害のためにだ。
俺は国王・宰相の協力を得て、遊び人による組織を結成した。
元々付き合いのある連中を中心に組織を立ち上げ、若い連中を短期間で育て上げる。
年季の入っている遊び人はあらゆる職業を経験しており、その知識は相当なものだ。それにスキルだ。
他のジョブと違い、遊び人は複数のスキルを所持する機会に恵まれる。
一つ一つのスキルは専門職に遠く及ばないが、その分数がある。
そして一癖も二癖もある連中だが、総じて頭の回転が速い。
低いレベルのスキルを上手く活用し、活路を見出す。
それが遊び人の真骨頂だ。
デルクが行方不明になって約2年。通称「遊び人部隊」はきっちり仕上がり、反転攻勢の時がやってきた。
デルク、お前の分もやり遂げるぞ。




