第204話 トゥーニス その4
外が騒がしい。
ヴィーベに様子を見させようと思ったが、そう言えばデルクとリニと3人でダンジョンへ向かったのだったな。
だが俺は胸騒ぎがした。
こういう時、俺は考える前に自分の直感に従う。
急いで手持ちの中で今役立つと思われる装備を身にまとい、ダンジョンへ籠る時にと用意してある荷物を背負い、急ぎダンジョンに向かう。
だがまず街を出られなかった。
門が閉じられていたからだ。
俺は急ぎ拠点へ戻るが、この時既に仲間が数人戻っていた。
「四方の門全てが閉じられている!」
有り得ない!そんな事はあり得ないのだが、実際俺が見た門は閉じられていた。
だがダンジョンに向かわねば!
俺は魔道具を装備し、姿が見えないようにした。
正確には見えるのだが、【装着者の姿が見える】という認識を外させる魔道具だ。
俺より2レベルほど高くなければまず見破ることのできない強力な魔道具。
門からは出られないが、壁は登ることができる。そして壁からロープで降りる。
急ぎダンジョンへ向かうが、ダンジョンの入り口付近とその横に何故か人だかりができていた。
確かダンジョン内の魔法陣……あれを利用してダンジョンから脱出した時に出現する場所だ。
冒険者が沢山ダンジョンへ入っていく。
有り得ない。こんなに沢山の冒険者が一度に入っていくなど、考えられない。
そして冒険者がダンジョンから脱出し地上へ出現するが、誰もその場から動かない。
何をしているのだ?
暫く様子を見ていると、誰かが喋っているな。
「皆さん忙しい中申し訳ありません。教会は遊び人を危険認定致しました。今強暴な遊び人がダンジョンに数人籠っているとの報告がありまして、これを放置するのは大変危険と判断、削除する事となりましたが、悪知恵が働きますので何かしらの方法で脱出するやもしれません。従って魔法陣を使用不可能にしたいのですが出現場所はランダムです。しかしながら場所には限りがありますのでこうして皆さんにご協力を願った訳でございます。」
あれは司祭か?そして隣にいるのは……ギルドで見た事があるな。
ああそうだ、ギルドマスターだ。
デブめ!教会の豚になりやがったな!そして冒険者を売りやがった!
怒りが込み上げるが、今は動く時ではない。
俺は急いでダンジョンへ入る。
誰も気が付かないのか、呼び止められる事なく進んでいく。
ヴィーベは今日は5層までと決めていたはずだ。
デルクはダンジョンが初めてのはずだ。無理はさせない。だから荷物も少なく、大した装備はしていなかったはず。
5層まで、いや10層までなら十分日帰りもできるし、3人であればボス部屋も簡単にクリアできるだろう。
だが、ここに悪意を持った冒険者がいれば?
くそ!警戒はしていたがこうも大々的に実行に移すとは!
今までは夜道を歩く遊び人を攫おうとか、森の奥深くに居る遊び人を襲うとか、人目に付かない行動だったのに!
急がなければ。
デルクに何かあってからでは遅い。




