第20話 ジョブチェンジの有用性
「凄いなデルク。まだ時間はあるか? あるならこれを見ろ」
ヴィーべが、何か差し出してくる。
何だか――
モコモコしたもの?
急いで鑑定を――
もうそろそろ1分が経つ頃だ。
間に合うかな?
【鑑定】
スキルを、発動。
すると――
<名前:毛糸のパンツ>
<用途:女性用下着の上に穿く防寒具。腹の冷えを抑える。>
<素材:毛糸・魔糸>
……??
俺は――
それを見て、固まった。
リニも同様で――
しばしの沈黙が、周囲を静寂にさせていく。
「け……毛糸のパンツと表示が出ましたよ」
俺は、小さな声で言う。
すると――
信じられない素早さで、リニがその毛糸のパンツをヴィーべから奪った。
「ちょ……これ! さっきまで私が穿いていたやつじゃない! なんであんたがこれを持ってるのよって……何で私穿いていないのよ!」
リニが、悲鳴を上げる。
さっき2人でいちゃついている時に――
盗ったんですか?
もしかして、そんな事にスキルを使いましたか?
「し……信じられない……見られただけじゃなく……盗まれるなんて」
リニの顔が――
真っ赤になる。
「いやあ、実に暖かそうじゃないか!」
ヴィーべが、何も考えずに言う。
うわあ、ヴィーべさん――
今は何も言わない方がいいと思うんだけど。
言えば言うだけ、悪くなる。
「こ……」
リニの声が――
震えている。
「こ……?」
ヴィーべが、首を傾げる。
「この! けだものおお!!!!!」
リニが、叫んだ。
パァン!
平手打ちが、ヴィーべの頬に炸裂した。
そして――
最後は思いっきり蹴りを入れられ、ヴィーべはまた何処かへ飛んでいった。
「やっていい事と悪い事があるってのに……まったくもう!」
顔を真っ赤にさせながら――
リニは去っていった。
これから――
どうしたら?
俺は、途方に暮れた。
気が付けば――
俺のスキルに【鑑定】が増えていた。
レベルは1……
え?
もう1?
そして、ジョブチェンジだが――
こちらもレベルが1になっている。
あれ?
レベルが上がるの、早い。
ちょっと使っただけなのに。
そして――
2人がいなくなったので、もしかしてまた使える?
と思って、ジョブチェンジをしてみる。
……できた。
今度も、商人にした。
あれ?
鑑定スキルを取得したんだから、もうジョブチェンジしなくてもいい?
だけど――
後から何度か試して分かった事だが、そう甘くはなかった。
どうやら、ジョブチェンジで得られたスキルは、そのジョブになっていないと使えないようだ。
そして、この鑑定だが――
もしジョブチェンジしないまま使おうと思えば、商人から直接学ばないといけないらしい。
これは、後で本を読んで知った事だ。
それと――
これは更にもっと後でわかった事だが、スキルのレベルがある程度上がれば、ジョブチェンジしなくても使えるという事だ。
但し――
習得には相当時間がかかる。
そしてこれも後から分かった事だが――
ジョブチェンジをして得られたスキルは、レベル5になればジョブチェンジしてなくても使えるようだ。
レベル5――
確かに、相当習得に時間がかかりそうだ。
現時点での結論――
①基本ジョブチェンジで発動したスキルは、そのジョブになっていないと使えない。
②直接教えて貰ったスキルは、常時使える。
③レベルが上がれば、更に使い勝手が良くなる。
もっと色々、試行錯誤をしないと細かい事が分からない。
そして今回――
商人にジョブチェンジしたので、また鑑定をしてみる。
【鑑定】
スキルを、発動。
すると――
<名前:ステータス表示プレート(改)>
<用途:ステータス表示を表示する事ができる。また、職業固有のスキルを表示する事ができる。>
<素材:表示プレート本体(ミスリル及び鉄)・魔石>
<必要スキル:道具作成・錬金術・付与・鑑定>
あれ?
何か、表示が増えている。
必要スキル――
これは、このアイテムを作るのに必要なスキルか。
道具作成と鑑定は、俺も持っている。
だが――
錬金術と付与は?
俺は、考え込んだ。




