第197話 知りたいけれど
先ほどダンジョンで活動する魔物はどうやって現れるのですか?と聞いたところ、デルタさんは禁則事項と言いました。
禁則事項が発動してしまったあの返答自体が、答えになっているのでしょうか?
ここからは推測なのですが……ダンジョンは魔素をエネルギーに変換し、そのエネルギーは貯蔵庫に送り込まれます。
そしてそのエネルギーでダンジョンは新たな魔物を生成している。さらにアイテムも生成している?
アイテムを生成、って何でしょうか。
そもそも魔物を生成って、魔物を繁殖させているのでしょうか。
ダンジョンのどこかでアイテムを作っているということ?
ああ、聞きたい。でもきっとこれは禁則事項だし、喋れば先ほどのような事態になってしまいます。
やはり聞くのはやめておこう。
魔物に関してはまだまだ分かっていないことが多く、ダンジョンに限らずそもそも魔物はどうやって増えているのか、誰も知りません。
人間は男性と女性が愛し合えば女性のお腹に子が授かり、お腹の中で赤ちゃんが育ち、いずれ出産を迎えます。
人間に限らず動物とされている生き物は概ねそのような増え方で……昆虫などは卵を産み、それが羽化することで増えますが、魔物に関してはそういった目撃情報がいまだにありません。
しかしダンジョン内ではエネルギーを利用して魔物が生成しているとデルタさんは言いかけていました。
生成って、どういうことなんだろう。
何もないところから生み出している、ということ?
ああ、もっと知りたいことがあるのに……これはどうなんだろう。
ダンジョン内には色々な素材があります。
それらは落ちていても消えることはないのですが、魔物を仕留めたドロップアイテムや、仕留めた魔物や冒険者が落とした、あるいは破損した武具などをダンジョン内に放置してしまうと、いずれ消えてしまいます。
これは一体どういうことなのでしょうか。
死んだ冒険者まで消え去ります。
色々知れたようで、知りえないことも多い。
考えていたら、いつの間にか随分時間が経っていたようです。
「デルクさん、どうされましたか?」
しばらく考え事をしていたので、デルタさんが気にかけてくれたのでしょう。
「すいません。まだまだ聞きたいことがあるのですが、きっと禁則事項に抵触してしまうのではと思うと、さっきのデルタさんの状態を見てしまった後では、なかなか聞けなくて。」
「申し訳ありません。先ほどは組み合わせが悪かったようです。今後はチェック体制を強化しますので、禁則事項に抵触しないよう、より注意してお答えしますわ。」
デルタさんは申し訳なさそうに言ってくれていますが、俺の方こそ気を付けないといけないんですよね。
ああ、知りたい。だけど……。
「知りたいのじゃないのかデルク。僕も知りたい。この際だ、聞いてしまおうじゃないか。万が一の時はセシルがいるし、何とかなるだろう。」
そうだよね、レイナウトも知りたいよね。
……まあ確かに、それはそうかもしれない。
「任せて。私の回復魔法だったら、さっきのデルタさんの怪我ぐらいあっという間に回復できる。」
うん、流石はセシルだよ。
本職とそうじゃない俺との差、ということです。頼もしい限りです。
「ねえ、精霊ってダンジョンと関係あるのかしら?」
それはどうなんだろう。ロースは精霊使いだし、でもダンジョン内外問わず精霊って普通に使役できるから関係ないのかな……。
いい質問かもしれません。




