第19話 何故か2人に講義を
「じゃあヴィーべさん……」
俺は、ヴィーべに視線を向ける。
「何だか腹の具合が……」
ヴィーべが――
しれっと回れ右をする。
逃げる気か。
「馬鹿ヴィーべ! 逃がさないわよ!」
リニが、叫ぶ。
そして――
うわ!
リニが、ヴィーべの脛を思いっきり蹴っている。
あれは――
地味に痛いんだよな。
「痛い痛い! 脛は地味に痛いんだってば!」
ヴィーべが、悲鳴を上げる。
思いっきり転んでいる。
と思ったら――
今度はお尻?
リニが、ヴィーべの上に乗っかって、握りこぶしでお尻をぐりぐり?
「うぎゃああ! ななななんだ……いてえええ! やめ! いて! いてええ!」
「こめかみのお返しよ?」
リニが、にっこり笑いながら言う。
容赦ないな、リニさん。
俺も、リニがお尻をぐりぐりしてる場所を見て、自分で試してみた。
……かなり痛かった。
自業自得とはいえ――
暫く、ヴィーべの歩き方が変だった。
で――
今は2人して、俺の前に座っている。
正座で。
まるで――
叱られる子供のように。
「その、順を追って確認しますね?」
俺は、溜息をつきながら言う。
うんうん。
2人が、素直に頷く。
「まず、遊び人のスキルはジョブチェンジで、ステータスオープンと念じると、表示が現れるんですよね?」
俺は、確認する。
「そう言ったよ私」
リニが、得意げに言う。
その後、止まらずに一気にでしたけど、リニさん。
うーん、これかな。
ステータスオープンと――
念じる。
あ、何か出てる。
「スキル【ジョブチェンジ】を選択し、今回は商人を選択、でいいのですよね?」
「うん、そう言ったよね?」
リニが、頷く。
俺は、【ジョブチェンジ】を選択する。
すると――
職業一覧が現れた。
戦士、魔法使い、僧侶、商人、盗賊……
ずらっと並んでいる。
この中から――
商人を選択。
光が、俺を包む。
そして――
「選択しましたよ、はい商人になれました。スキルに【鑑定】があります。そのアイテムを鑑定すればいいんですね?」
俺は、床に落ちているアイテムを指す。
「そうそう! やっぱり教えた私が優秀?」
リニが、胸を張る。
「あほいえ! デルクが優秀なんだよ!」
ヴィーべが、リニの頭を叩く。
「何よう! 叩かなくてもいいじゃない!」
リニが、反撃する。
相変わらず、仲がいい。
時間がないので、サクッといこう。
「時間がないので鑑定します」
俺は、アイテムに手を触れる。
【鑑定】
スキルを、発動。
すると――
<名前:ステータス表示プレート(改)>
「ステータス表示プレート(改)と出ましたよ?」
俺は、2人に報告する。
「おお! 成功じゃないか!」
ヴィーべが、嬉しそうに言ってくれる。
だが――
これ以上の表示は?
さっきリニが「レベルが上がれば……」と言っていた。
これって――
あと2つ商人になれば?
もしかして――
と思う所がある。
この際だから、試してみよう。
俺は――
時間がないので、急ぐ。
遊び人②のスキル【ジョブチェンジ】を選択。
商人へ。
続けて――
遊び人③のスキル【ジョブチェンジ】を選択。
商人へ。
光が――
また俺を包む。
急いで鑑定を――
【鑑定】
スキルを、発動。
すると――
<名前:ステータス表示プレート(改)>
<用途:ステータス表示を表示する事ができる。また、職業固有のスキルを表示する事ができる。>
<素材:表示プレート本体(ミスリル及び鉄)・魔石>
思った通り――
表示項目が増えている。
俺の考えが、当たった?
まだわからないが――
これって、同じジョブになれば、スキルの重ね掛けが出来る?
ただ、俺のレベルが低いので、今の所1日に一度しかできないのが残念だ。
これが本当に俺の思っている事が正解か否か――
結果がわかるのに、数日はかかりそうだ。
そう思っていると――
心配そうに、リニが俺を見ている。
「ねえデルク、どうしちゃったの?」
「あ、ごめんなさい、ちょっと考え事をしていました」
俺は、我に返る。
「ふうん……で、どうだったの?」
リニが、聞く。
「ええとどうとは?」
今度は、ヴィーべが言う。
「デルクの考えそうな事は分かるつもりだぜ? せっかく同じジョブが3つあるんだ、鑑定を重ね掛けしたんだろ?」
ヴィーべが、鋭く指摘する。
「ええ、よくわかりましたね?」
俺は、素直に認める。
「え? マジでか! 本当にできるんだな重ね掛けって。そんな事なら俺もセカンドジョブ取っとくべきだったぜ!」
ヴィーべが、悔しそうに言う。
重ね掛け――
これは――
遊び人×3の、真の力かもしれない。




