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「遊び人×3を引いた10歳の俺、ジョブ統合で規格外になる」  作者: よっしぃ@書籍化
遊び人への弟子入り?

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15/69

第15話 運が良くてもどうにもならない事はある

 俺はこの後、2人の兄弟子にこの建物を案内してもらった。

 食事をする場所、風呂――

 この建物には、お湯を張って入浴できる設備があった。

 やっぱり貴族なんだなあ。

 普通の人は、せいぜい週1度か、月に2、3回しか入浴できない。

 公衆浴場もそれなりに値段が高く、各家庭に風呂なんて以ての外だ。

 精々、湯を沸かしタライに入れ、体を拭くぐらい。


 夏ならば――

 川の一部を囲い、魔物対策をしてある場所で川に入って体を洗ったりできる。

 だが、今はもうすぐ冬。

 そんな事をしたら、凍えてしまう。

 しかも――

 ここには男女別の風呂がある。

 俺は、生まれて初めて大きな湯船に一人で入るという贅沢を味わった。

 温かい。

 気持ちいい。

 こんな贅沢――

 いいのだろうか。


 今日は兎に角休めと言われ、素直にベッドに入った。

 なんと――

 ここには立派なベッドがあった。

 普通の家にはベッドなんかなく、床に藁か布団をひいて寝るのが当たり前。

 精々すのこを作って、その上に布団をひくぐらい。

 こんな贅沢――

 いいのだろうかと思いながら――

 気が付けば、驚く事に朝になっていた。


 しかし――

 俺は知らなかった。

 俺が寝ている間に――

 何が起きていたのかを。

 今日の選定で遊び人を選んでしまった人々がいた。

 この街には本日、1000人以上が選定を受けた。

 そのうち20人程が、遊び人になった。

 あくまで、この街だけで。

 この国全体では――

 およそ100名が遊び人に選ばれ、一晩で約半数が姿を消していた。

 この街でも――

 10名程の若者が、行方不明になっていたのだった。


(語り手視点)

 ある遊び人に選ばれた男の子。

 自分が選ばれるとは、夢にも思っていなかった。

 家に帰ると――

 追い出された。

 どうしたらいいか途方に暮れていたところ――

 誰かに声をかけられた。

「君、困っているようだね」

 優しい声だった。

 男の子は――

 ほっとして振り返った。

 だが――

 次の瞬間、鋭い痛みが腹を貫いた。

「あ……」

 切りつけられていた。

 必死に逃げる。

 だが――

 追いつかれた。

「遊び人は……この街に不要だ」

 冷たい声が、最後に聞こえた。


 ある教会では――

 女の子が司祭様に呼び止められた。

「このまま外に出るのは危険だから、皆が去るまでここに留まるように」

 司祭様は、優しく言った。

 女の子は――

 安心した。

 司祭様は、いい人だ。

 奥の部屋に案内され、そこで待っていると――

 優しい司祭様が、飲み物と食事を持ってきてくれた。

「夜までには戻るからね」

 そう言い残し、司祭様は去っていった。

 女の子は――

 感謝の気持ちで少しずつ飲んだり食べたりした。

 だが――

 何だか眠くなってきた。

 少しだけ――

 そう思い、横になってしまう。


 そして暫くして――

「待たせたね……あれ? 寝ているのかい?」

 司祭様が戻ってきた。

 女の子を揺するが――

 女の子は熟睡してしまっていた。

「仕方ありませんね……まだ10歳の子供だが……将来それなりになりそうですからね……それに行方不明になるなんてよくありますから……」

 司祭様の声は――

 優しくなかった。

 冷たく、計算されていた。


 またある者は――

 遊び人というのがどういった扱いを受けるか知っていた。

 自身が選ばれた瞬間から、身の危険を感じた。

 秘かに――

 闇に溶け込んだ。

 隠れるしか、ない。

 15歳になるまで――

 生き延びなければ。


 翌日――

 こうしてこの街では、10名程の新たな遊び人が残った。

 10名とも既に身の危険を感じていたが、どうすべきか判断が付かなかった。

 因みに――

 遊び人に選ばれた全員は、知力、精神力共に高かった。

 最も突出しているのは、その運の高さだった。

 だが――

 彼・彼女達はまだ10歳、若しくはその前後。

 そのステータスを生かす事も出来ない。

 特に知力が高いと言っても、まだ10歳。

 圧倒的に経験不足。

 それ故――

 遊び人は日に日に街から消えていくのだった。

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