第13話 兄弟子
「おい誰かいるか?」
トゥーニスが、何処かに呼びかける。
しばらくすると――
1人の少女が現れた。
茶色の髪、活発そうな顔立ち。
俺より少し年上に見える。
そして遅れて――
1人の少年がやって来る。
金髪で、整った顔立ち。
こちらも俺より年上だ。
「新たな遊び人だ。名はデルク。驚く事にサードジョブまで全て遊び人だ。まあそれはいいか……1週間、ここの事を色々教えてやってくれ」
トゥーニスが、2人に言う。
「ええー? まだ子供じゃない?」
少女が、不満そうに言う。
俺よりは少し年上だと思うけれども――
貴女もまだ子供ですよね……
そう思った瞬間――
ゴンッ!
後ろから、げんこつが。
「い……いたたた……何もげんこつする事ないじゃない!」
少女が、頭を押さえて抗議する。
げんこつをしたのは――
少年だった。
「トゥーニスさん、後は僕達がやっときますから、もう戻った方がいいのでは?」
少年が、丁寧に言う。
「おっとそうだった、つい時間を忘れていた……デルクに部屋の案内を頼むぞ? 食事場所や風呂の場所もだ。ダンジョンには1週間後から向かえばいい……」
トゥーニスが、2人に頼む。
ダンジョン――
俺も、ダンジョンに行くのか。
「はいはいさっさと行く!」
少女が、トゥーニスを押す。
いや――
蹴っている?
「何もお尻を蹴る事ないじゃないか……そんなんだからいつまでたっても彼氏が出来ないんだぞ?」
トゥーニスが、からかうように言う。
「うっせえ! くそ親父! 早く行きやがれ!」
少女が、顔を真っ赤にして叫ぶ。
親父――
トゥーニスさんの、娘?
いや、違うな。
トゥーニスさんは独身のはずだ。
「じゃあデルク、この2人が言う事は……正しいと思った事だけ聞いておけよ? 無理な事や、嫌な事は無視していい……」
トゥーニスが、俺に小声で言う。
「早く行け!」
少女が、もう一度トゥーニスを蹴る。
トゥーニスは、笑いながら部屋を出て行った。
……えっと。
何でしょうかこの2人は。
とても仲良しに見える。
「おっとすまないね、僕らも遊び人さ。だからと言ってこいつと遊ぶ気はないんだがな?」
少年が、俺に言う。
そう言いながら――
少女のお尻を触った。
……そう言ってお尻を触るのは何故?
「きゃあ! 人のお尻をどうして触るんだよクソガキが!」
少女が、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「色気も何もない尻を触ってもな……」
少年が、つまらなさそうに言う。
「何を! 尻は兎に角ほら! もう胸は膨らんできているんだから!」
少女が、自分の胸を指す。
……確かにこの女性? 女の子?
少し膨らみがあるような?
「え? どれだ?」
少年が、興味津々で見る。
「ほらここ!」
少女が、自分の胸を示す。
むんず!
少年が――
揉んだ。
「ぎゃあ! 何揉んでんだあ!」
少女が、悲鳴を上げる。
「あ、本当だ、少し胸あるわ、これは……」
少年が、感心したように言う。
そして俺が驚く間もなく――
高速土下座?
「すまん……まさかお前の身体が女になっているなんて知らなかったんだよ……」
少年が、地面に頭をつけて謝る。
「ふん! 毎日見ているくせに……」
少女が、プイと顔を背ける。
……何ですかこの2人は?
恋人同士?
そうとしか思えない。
「あ、ええと……その、お2人は恋人同士なのですか?」
俺は、思わず聞いてしまった。
「「違う」わ!」
2人が、同時に否定する。
見事なハモりっぷり……
息ぴったりですね。
「あ、すまないね……僕はヴィーベ・クンスト、14歳だ。こっちのがリニ・ゾンネフェルト、13歳だ」
少年――ヴィーベが、自己紹介する。
「何勝手にレディの年齢教えているのよ?」
リニが、抗議する。
「レディって……まだ子供じゃないか!」
ヴィーベが、笑う。
「あ、そこの君、デルクっていうのね? これから5年間、ここで暮らすんだってね? まあ私らはあと1・2年でここを離れるけど……それまで仲良くしましょ?」
リニが、俺に言う。
そして――
「それにしても……3つやっちゃったか……」
リニが、俺のカードを見て呟く。
その目には――
同情と、少しの羨望が混ざっていた。
……何からどうしたらよいのでしょうか?
俺は、完全に混乱していた。




