第122話 ボス部屋での違和感
扉を開け――
中に入る、4人。
目の前は――
広大な土地が広がる、草原。
見渡す限り――
視界を遮るような物は、何も見えず――
この部屋は、一体どれほどの広さなのか――
見当も、つかない。
俺は――
周りを見渡す。
だが――
魔物の姿が見えず、困惑している。
それは――
他の3人も、同様で――
今までのボス部屋とは、まるで違う。
「みんな気を付けて。今までと全く違っているから油断すると瞬きした瞬間、魔物が目の前に居た!という事になりかねない」
俺は――
皆に、警告を。
「しかしなんだろうね。広すぎるし、魔物の姿が見えないじゃないか」
油断なく――
周囲を警戒しつつ、レイナウトは答える。
「精霊達も魔物の気配を見つけられないって」
ロースも――
困惑を隠しきれず――
精霊を使って、魔物の気配を探っているよう。
だが――
その気配が、ない。
「魔物がいないボス部屋?」
セシルの――
呟き。
俺は――
まさか?と思う。
だが――
ここは、100層。
そう言う――
仕掛けなのかもしれない。
そして――
罠の可能性も。
2時間が――
経過。
何も――
変化が、ない。
しかし――
4人は、見落としている。
俺は――
何気に、自分達がやってきた扉を――
振り返る。
すると――
そこには本来閉まっているはずの扉が――
開いたまま、なのだ。
「何で?」
俺は――
言う。
その視線の先を――
見る、3人。
そして――
固まる。
特に――
レイナウトは、デルクが行方不明になってからも――
ダンジョン上層を、何度も挑んでいる。
当然ながら――
25層までのボス部屋は、何度も経験し――
その全てが、ボス部屋の扉を開けると――
一定時間で閉まり――
ボス部屋の魔物を仕留めるまで――
もう一つの扉である出口が、開かない。
それを――
よく知っているし、経験している。
なので――
ボス部屋の扉が開きっぱなしに――
ものすごい違和感と、警戒感を持った。
「何で開いたままなんだ? だからボス部屋に魔物がいつまでたっても現れないのかい?」
レイナウトが――
言う。
じゃあ――
自分達で閉めれば、どうなる?
「レイナウト、これは明らかに異常だ。今すぐここを立ち去るか、それとも扉を閉めてみるか」
俺は――
言う。
ロースも――
セシルも、何も言わない。
「一度出よう。今なら戻る事が出来るだろうし」
俺は――
言う。
ロースも――
セシルも、頷く。
扉に――
一番近かった、セシル。
セシルが――
まず、出る。
次に――
ロースが。
で――
レイナウトも、扉の前に立ち――
「先に出る」
そう言って――
レイナウトも、出た。
そして――
俺が、出ようとした瞬間――
勢いよく、扉が閉まる。
目の前で――
いきなり閉まった、扉。
そして――
ボス部屋に、取り残された、俺。
『え? 何これどういう事?』
俺は――
混乱する。
何故――
今になって、扉が閉まったのか。
ただ――
思うのは、取り残されたのが――
俺で、よかったという事だ。
万が一――
ドラゴンの大群が、やってこようとも――
俺なら、何とかなる。
3つの――
ジョブを全て同じにすれば――
恐ろしい力を、発揮できるからだ。
広大な――
草原。
魔物――
いない。
気配――
ない。
2時間――
何もなかった。
そして――
扉が、開いたまま。
異常――
明らかな、異常。
みんな――
出た。
俺――
取り残された。
扉――
閉まった。
何故――
今、閉まった?
罠――
なのか?
仕掛け――
なのか?
でも――
俺なら、大丈夫。
3つの――
ジョブを同じに、すれば。
戦士――
3つ。
レベル――
7+5+5。
合計――
レベル17。
恐ろしい――
力。
ドラゴンの――
大群でも、倒せる。
俺は――
そう信じた。
みんな――
無事でいて。
扉の向こうで――
無事でいて。
俺は――
祈った。
取り残された――
のは、俺でよかった。
みんなを――
守れる。
俺には――
力がある。
戦える――
力がある。
俺は――
そう決めた。
何が来ても――
倒す。
ドラゴンでも――
倒す。
俺は――
覚悟を決めた。




