第121話 100層のボス部屋
結局――
準備が整い次第、100層のボス部屋に――
挑む事に。
準備と言っても――
まずは拠点としている95層で、一晩休み――
万全の体調に整えてから、挑むというもの。
そして――
俺には、一つ思う所があり――
念の為、あるアイテムを作っておこうと考えていた。
それは……
ブレス対策。
俺も――
ドラゴンに関しては、あまり情報がなく――
ブレスによる攻撃がある、という事ぐらいしか――
知らない。
それは――
何故なのか?
ドラゴンと戦って――
戻ってきた冒険者が、あまりにも少ないからだ。
ダンジョンでの――
目撃情報は、ない。
未だ――
冒険者が、ドラゴンが居る可能性のある階層まで――
到達した事が、ないからだ。
そして――
地上では、ドラゴンは山奥に縄張りを持ち――
山の頂に、住んでいるという。
ただ――
山の頂上に行っても、ドラゴンはおらず――
どうやら山頂に空いた穴から出入りをし――
穴の中に住んでいる、という情報がある。
そう――
分かっているようで、分かっていないのだ。
そして――
ドラゴンに挑む、冒険者。
大抵は――
ドラゴンがブレスを吐く前――
つまり、ドラゴンが羽ばたいた時の風圧で――
吹き飛び、戦いにすら、ならないとか。
そして――
それを耐えきるか、躱せば――
ブレスでの攻撃が、待っている……らしい。
ドラゴンの――
討伐情報も、あるのだが――
その仕留め方は、秘匿されている。
恐らく――
ドラゴンを仕留める事の出来る実力者が――
その秘密を知られると――
自分達の立場に影響が出るのを危惧し、秘匿したらしい。
何せ――
簡単にドラゴンが討伐できるとわかれば――
我こそはと……
いや――
そもそもある程度実力がないと、そもそもが無理なはず。
まあ――
俺が調べたところでは、こんな情報しかない。
しかし――
事前に対策は、できるはず。
俺の予想だと――
ブレスは恐らく、熱及び炎と考え――
炎の耐性を高める付与を、アイテムに施し――
それを4人共、装備しておくというもの。
炎に――
対応するという事は、熱にも耐えられる。
ただ――
ブレスは他にも、毒やらコールドなどもあり――
全部に対応するのは、困難。
しかし――
俺は、ボス部屋ではブレスはないと考えている。
今までの――
ボス部屋は、限りある広さだった。
なので――
そんな部屋で、ドラゴンがブレスを吐こうものなら――
自らその影響がある、と考えたからだ。
だが――
念の為、備えはしておいた方がいい。
俺は――
フード付きの外套……実質マントを4つ作り――
それぞれ、装備をしてもらう。
いざとなれば――
このマントで、全身を保護できる。
しゃがんでおけば――
足も、何とかなる。
「へえ、炎の耐性か。相変わらず凄いの用意するな、デルクって」
レイナウトは――
このマントの有効性、そしてそれが意味する所を察し――
そのような感想を。
「贅沢は言わないけれど、もう少しこうお洒落にできなかった?」
容赦ない――
ロースの、一言。
ごめんよ――
ロース。
ありあわせで――
作ったので、お洒落とは程遠い出来。
機能性に――
拘ったので、地味。
「ん。動きやすい」
うん――
セシルは、別の事に気が付いてくれた。
剣での動きを――
極力阻害しないような、工夫がしてあって――
剣を振るたびに、マントに剣が当たれば――
そのうち、からまったり大変な事になる。
「まあ色々あるけどロース、お洒落なのは地上に戻ったら作ってあげるよ」
俺は――
言う。
「頼んだわよ?」
ロースが――
答える。
尤も――
地上に戻れば、色々売っているだろうから――
わざわざ俺が作る必要は、無いのだが――
敢えて俺は、言わない。
「さあ準備もできたし、行こうか」
レイナウトを――
先頭に、100層に向かう。
途中――
ワイバーンに、遭遇する。
だが――
もはや4人の敵ではなく――
あっという間に仕留め――
今、目の前には100層へ下りる階段が。
「一応何があるか分からないから、階段とはいえ警戒しよう」
俺は――
言う。
「そうだな。100層だからね」
レイナウトが――
答える。
いつもは――
剣を仕舞っている、レイナウト。
だが――
今は、剣を構えている。
セシルも――
同様。
そして――
何事もなく、100層のボス部屋の前に到達。
「うわ……今までと違い、豪華な扉だね。そして大きい」
俺は――
そんな感想を、述べる。
普通は――
大きいな?程度なのだが――
今目の前の扉は、遠くからでないと――
その全貌が、わからないほど。
近づいてしまうと――
見上げないと、上まで確認できず――
これは――
やはり中にいるのは、相当大物――
恐らくは、当初考えた通り――
ドラゴンの可能性が、高い。
そう――
4人は、感じる。
俺は――
3人に、声をかける。
「じゃあ扉を開けるね?」
3人は――
頷く。
俺は――
扉に手をかけ、真ん中を両手で――
押していく。
その大きさとは――
裏腹に、扉は音もなく――
スムーズに、開いていく。
遂に――
4人は、100層のボス部屋へ――
入った。
ドラゴン――
いるのかな。
ブレス対策――
完璧だ。
マント――
作った。
炎の耐性――
付与した。
みんなで――
一緒に、挑もう。
100層――
ボス部屋。
遂に――
到達した。
俺は――
そう思った。
豪華な――
扉。
巨大な――
扉。
開ける――
勇気。
みんな――
一緒だ。
怖くない――
みんな、一緒だから。
俺は――
そう信じた。
扉――
開いた。
中へ――
入ろう。
100層――
ボス部屋へ、入ろう。
俺達は――
一歩を、踏み出した。




