第118話 ロースの葛藤
レイナウトが――
伸び悩んでいる!
ロースは――
ここ最近、レイナウトが悩んでいる事に――
気が付いていた。
だが――
敢えて、気が付かない振りをしている。
『デルクがこういう時自分で解決してほしいって思ってるのを知っているし、誰かに言われてそれを実行していたら成長できないっていて言ってたし、ここは我慢よ!』
ロースは――
そう思っている。
レイナウトは――
魔法を使いながら戦う事に、拘るあまり――
本質を、見落としている。
だが――
これは本人が気が付かないと――
今後の影響が、大きいだろう。
ロースも――
そう思っているから、言っていない。
つまり――
何故先に魔法を使っておかないの?という事。
そう――
ワイバーンと戦う前に――
前もってフライなりの魔法を使っておけば――
後は、その制御だけで済む。
ワイバーンに――
飛んだまま近づき――
そのまま、剣での一撃が可能なはず。
しかし――
レイナウトは、気が付いているのか、いないのか――
それを実行しようと、していない。
そんなある日――
デルクは、何やら作成すると言って――
何処かへ、行き――
セシルは、デルクからアイテムを受け取るのを忘れたと言って――
デルクを、追いかけていった。
つまり――
ロースは、レイナウトと二人っきり。
「何辛気臭い顔しているのよ?」
レイナウトが――
伸び悩み、辛そうな顔をしているのを見た――
ロースは、思わずそうレイナウトに声をかける。
「ロース、僕ってそんなに辛そうな顔をしていた?」
レイナウトが――
聞き返す。
ロースは――
答える。
「何を悩んでいるのか知らないけれど、あんたらしくないわよ?」
ロースが――
言う。
「何だお見通しか。ロースって昔からそうだよな。僕は自分を過大評価するつもりはないけれど、ずいぶん頑張ったと思っていたんだよ。だけどね、デルクは僕よりずいぶん先を進んでいるし、セシルはセシルで自分の戦闘スタイルを柔軟に変えてワイバーンに対抗しているし、ロース、君は精霊を使役する能力が格段に上がって僕達の中では一番凄いんじゃないかって思っている。だけど最近の僕はみんなの足を引っ張っている。まあ魔法と剣で戦闘を両方を同時にこなしたいって思いながら戦っているんだけど、ワイバーンの動きに対応できなくてね、どうするか考えているんだよ」
レイナウトが――
長々と、語る。
ロースは――
そんなレイナウトを、じっと見つめる。
本当は――
気が付いているんじゃないの?
「セシルちゃんみたいに戦い方を拘らないで、柔軟な戦い方をすればいいんじゃないの?」
これは――
ギリギリな言葉だなと思いながら――
ロースは、レイナウトにさりげなく指摘をする。
だが――
「それは最初から分かっているんだ。特にセシルと僕は前衛職だ。しかしセシルの魔法は主に補助魔法だ。戦闘時は敵に魔法を使いながら戦う必要は必ずしもないんだ。だけど僕は魔法戦士。戦闘中にも攻撃魔法を使わないといけないし、だから今のうちに双方を同時に使いつつ戦闘を完璧にする必要があるんだ!」
レイナウトが――
答える。
ああ――
どうして、こんなに頑固なの?
ロースは――
思う。
レイナウト――
あなたは、気づいているはず。
でも――
自分で、ハードルを上げている。
どうして――
そんなに、頑張るの?
誰も――
そんなこと、求めていないのに。
ロースは――
思う。
デルクが――
言っていた。
「自分で解決してほしい」
「誰かに言われてそれを実行していたら成長できない」
だから――
我慢しなくちゃ。
でも――
辛そうな顔を見るのは、もっと辛い。
ロースは――
そう思った。
レイナウト――
頑張りすぎないで。
あなたは――
十分、強いのに。
ロースは――
そう思った。
幼馴染――
ずっと一緒に、いた。
レイナウトの――
頑張り屋な所も、知っている。
不器用な――
所も、知っている。
優しい――
所も、知っている。
全部――
知っている。
だから――
好きになった。
でも――
言えない。
今は――
言えない。
レイナウトが――
自分で答えを見つけるまで――
待つしか、ない。
ロースは――
そう決めた。




