第11話 トゥーニス・ファン・ホーヘンドルプ
トゥーニス・ファン・ホーヘンドルプ――36歳。
現役の冒険者であり、職業は遊び人。
俺の見立てでは、とても遊んでいるようには見えない。
トゥーニスさん曰く、遊び人という職業は、決して遊んでいる訳ではないらしい。
そして――
何故か俺を弟子にしてくれるという。
しかも三食宿付き。
何か手伝わないといけないらしいが、その手伝いの内容は合法らしい。
犯罪だったらショックだが――
まあ、大丈夫だろう。
「先ずデルク、5年かけてレベルを最低5まで上げておく必要がある。その前にまずはレベル1にしないといけない。レベル1になれば遊び人のユニークスキルが発現するはずだ」
トゥーニスが、真剣な顔で言う。
遊び人のユニークスキル?
「すいません、そのユニークスキルと言うのは何でしょう? 他の職業でもあるのでしょうか?」
俺は、聞く。
ユニークスキルなんて、初めて聞く言葉だ。
「ああ、あるな。その職業独自のスキルだ。俺は他のユニークスキルが何か知らないが、遊び人の職業は、極めれば最強の職業だ」
最強――
遊び人が?
「え? では何故皆馬鹿にしたのでしょう?」
俺は、混乱する。
役立たずの職業が、最強?
矛盾している。
「それはな……昔遊び人の誰かが、遊び人という職業の真の凄さに気が付いた。そして、それがばれると自身の立場が危険にさらされる……そこでそういった手を打ったのだろうな?」
トゥーニスが、説明する。
「そういった手?」
「つまりだ、遊び人という職業は危険ではなく、役立たずの職業と認識させたかったのだろうと思っている」
役立たず――
わざと、そう思わせた?
「はあ……あまり理解はできませんが、その人の思惑通りに遊び人は役立たずの外れ職業と世間は認識しているのですか?」
俺は、聞く。
だが、トゥーニスの次の言葉に――
俺は驚愕した。
「……今その噂を拡げた本人はだな……これは遊び人の中では公然の秘密なのだが……宰相閣下なのだ。そしてそれを命令したのは……現国王陛下、その人だ……実はこの2人、遊び人なのだ……」
え?
宰相閣下と、国王陛下が――
遊び人?
「え? そんな筈は……宰相閣下の職業は確か【賢者】、そして国王陛下は確か……」
「【剣聖】だ」
トゥーニスが、言う。
「その、俺は理解できないのですが……」
俺の頭が、混乱する。
国王陛下は剣聖のはずだ。
宰相閣下は賢者のはずだ。
でも、トゥーニスは――
遊び人だと言っている。
「つまりだな、遊び人と言うのは、レベルが上がると、ユニークスキルを得る。これは遊び人だけのスキルなのだが……このスキルが問題でな。制限もあるが短時間ながらあらゆる職業になれるのだよ。そしてレベルが上がれば上がるほど、そのスキルの持続時間も、変更できる回数も増える」
あらゆる職業に――
なれる?
「え? ちょっとその……ジョブチェンジなのですか? ユニークスキルって」
俺は、驚いて聞く。
「ああ……そして国王陛下は、自身の職業が遊び人ではまずいと思われたのであろう……遊び人という事実を隠し、剣聖として……つまりユニークスキルで剣聖となっておけば、皆従ってくれると思ったのだろう。まあ流石に遊び人に好き好んで付き従う連中はそういるまいし」
トゥーニスが、説明する。
国王陛下は――
遊び人を隠すために、剣聖として振る舞っている。
宰相閣下も――
遊び人を隠すために、賢者として振る舞っている。
だが――
それを何で、トゥーニスさんが知っているんだ?




