第108話 95層を1人で戦えるように
95層を――
最初に突破してから、約1ヶ月が経過しようとしていた頃――
4人の主戦場は、94層から95層へと移っていた。
95層は――
ボス部屋なので、仕留めた後に一度出ないと駄目。
なので――
移動するのは、なかなか面倒だった。
だが――
得られるものは多く――
今は、ひたすら順番で――
格の違うボスを、仕留めている。
俺は――
3つのジョブ全て戦士にすれば――
問題なく仕留める事ができる。
なので――
ローテーションには加わらず――
何かあれば対応できるよう、見守っている。
そして――
今は、セシルの番。
「やあ!」
セシルが――
叫ぶ。
最後に残った――
ボスとセシルが、対峙している。
他の3人は――
基本、見守る。
危なくなれば――
助ける。
だが――
もう、その必要はなさそう。
気が付けば――
ボス部屋の魔物……デュラハンは、全滅。
「やったよデルク! これで10回目だよ!」
セシルが――
嬉しそうに、叫ぶ。
俺が与えたノルマは――
1人で10回、格の違うボスを仕留める事。
デルク以外の――
3人では、最初に達成。
「うう、セシルちゃんに先を越されちゃった!」
悔しがる――
ロース。
だけど――
彼女の場合、強い精霊を召喚、使役すると――
魔力の消耗が, 激しい。
なので――
まだ3回ほどしか、達成していない。
ただ――
最近レベルアップし――
恩恵で魔力が増えたのか――
ずいぶん余裕が、出てきてはいる。
「ロースも最近戦えている。10回なんかすぐ」
俺は――
言う。
「うん、最近手応えは掴んでいるんだ!!」
ロースが――
嬉しそうに、言う。
恐らく――
数日中に達成するだろう。
そう――
俺は思っている。
しかし――
ここにきて問題が。
レイナウトが――
まだ一度も、1人で仕留める事が出来ていないのだ。
剣術のスキルレベルは――
4人の中では、レイナウトが一番高く――
かつ戦う時の動きも立ち位置も――
レイナウトが一番いい。
スキルも――
技も、ある。
だのに――
達成できない。
ただ――
これは少し誤解があり――
レイナウトなりの拘りで――
実際格の違うボス以外で言えば――
レイナウトは誰よりも早く仕留める事が出来ている。
では――
なぜ駄目なのか?
レイナウトのジョブは――
魔法戦士。
それを生かすのには――
やはり剣と魔法を同時に使いこなす必要がある。
レイナウトは――
より強い敵と戦う時にこそ――
魔法を使いながら戦いたいと, 考えている。
しかし――
現実は, 難しい。
魔法を――
放つ時にどうしても、隙ができるからだ。
僅か――
2秒ほど。
しかし――
熟練の戦士からすれば、その2秒は致命的。
2秒あれば――
10メートルほどの距離があっても――
あっという間に、その距離を詰められてしまうからだ。
実際――
剣の長さも相まって――
20メートルほどの距離があっても、攻撃を受けてしまう。
その問題を――
克服すれば、レイナウトは誰よりも強くなる。
そう――
俺は確信している。
なが故に――
手伝わない。
幸い――
4人の防御力は、デュラハンですら突破できない程.
じゃあ――
時間をかければいいじゃないかとなるのだが――
相手が人間だった場合、何らかの対策を取ってくるはず。
なので――
此処で言う失敗は, デュラハンの攻撃を受けてしまう事を言う。
頑張れ――
レイナウト!
心の中で――
応援する、俺。
彼の為にも――
ここは自分で解決してもらわないと――
本人の為にならない。
人それぞれ――
スキルが違う。
なので――
敵の弱点は教えられても――
本人の戦い方に関しては――
基本が身についていれば、その後は教える事が難しい。
レイナウト――
頑張れ。
俺は――
見守るだけだ。
だが――
信じている。
レイナウトは――
きっと、できる。
2秒――
その2秒を, 克服してくれ。
できれば――
誰よりも、強くなれる。
俺は――
そう信じた。
レイナウト――
お前なら, できる。
俺は――
心の中で, そう言った。




