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小説家になろうラジオ大賞6

彼女の家が観覧車なわけ

作者: 夜狩仁志

なろうラジオ大賞6 参加作品。

テーマは「観覧車」

 今度、彼女の家にお呼ばれしてしまった!

 付き合って3ヶ月。

 初めて訪問する彼女の部屋に心がときめく。

 その当日、一緒に電車に乗り向かう。


 そして着いた場所が……


「ここ、遊園地だよね?」


 彼女はうんと頷いて、慣れた足取りで従業員用の入口を通る。


 彼女が向った先は、


 観覧車?


 よく見ると、一つだけプレハブ小屋みたいなゴンドラがある。


 まさか本当に?

 ここが家なの?


 賑わう園内。

 順番待ちの行列を素通りし、すんなりと乗り場まで入ってく。


 ドキドキしながら待ってると、プレハブ小屋がやって来て、

「どうぞ、入って!」

 と、扉を開ける。


 中は普通の女の子の部屋だった。


「本当にここで暮らしてるの?」

「そうだよ」


 観覧車はお構い無しに、俺らを乗せて動き続ける。

 もちろん他のゴンドラには、普通にお客が乗ってる。


 非常に落ち着かない!


「どう? 素敵でしょ?」

「まぁ」

「窓からの眺めが最高なんだよ」


 そりゃそうだろう。


「トイレとか風呂はどうすんだ?」

「地上に降りて、従業員の使うよ」


 この日はあまりの衝撃のため、すぐに帰ったが、その後何度か遊びに来ることに。


「寝るだけの部屋だからね」

「普段は?」

「学校か、遊園地でバイト」


 俺たちは何度もこの遊園地で遊んでは、この部屋で語り合った。


 そしてある日、


「今日、泊まってく?」

「えっ!」


「夜、見せたいものがあるから」

「見せたいもの!」


 俺は期待に胸膨らませ、閉館するのを待ち望んだ。


 そして夜。

 誰もいなくなった遊園地。

 部屋には二人だけ。


 彼女はスイッチを入れると、観覧車は動き出す。

 ゴンドラは頂点にたどり着くと、彼女は微笑んで停止させた。


「ここから見える夜景、素敵でしょ」

「確かに」


「昔、ここにはマンションが建ってて。

 私の家族が住んでたんだ。

 この高さの部屋で、皆で眺める景色が好きで。

 でも、両親とも事故で……

 頼る親戚も家賃も無くて。

 そのうち建替えが始まって遊園地に。

 で、代わりにここに住まわせてって、お願いしたの。

 ここなら昔を思い出せて、天国に近い場所なら…」


 俺はいつのまにか彼女を抱きしめていた。


「俺、頑張って働いてタワマン買うから! ここに似た景色のいい部屋の! 必ず迎えに来るから」

「ありがとう」


 俺は彼女ために必死に勉強し働いて、そしてようやく……


「どうかな、ここ」

「素敵!」


 同じ高さの展望の良い部屋を購入した。


「今度はここで新しい家族で思い出を作ろう」

「うん!」


 時は観覧車の様に巡り、

 二人ずっと幸せでありますように……


お読み頂き、ありがとうございます。

今話にて「なろうラジオ大賞6」テーマ11種類を全て投稿し終えました。他の作品も読んていただけますと嬉しいです。


今年も、なかなか難しくも楽しい時間を、過ごさせてもらいました。

まだ期間がありますので2巡目に挑戦するかも。

いったんここでお別れとさせて頂きます。

またどこかの作品でお会いできる事を楽しみにしております。


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― 新着の感想 ―
タイトルに惹かれ、発想がとても面白いなぁと感じ入りました! 観覧車のゴンドラがひとつだけプレハブだと外観的にどうなの?とツッコんでしまったのですが(笑) 「泊まっていく?」というドキドキ展開も好きです…
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