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青柳の失態3
死のうと思っていた。
上司を何発も殴ってクビになり、退職の原因が理由で転職はおろかバイトの面接ひとつ通過することができなかった。
青柳は一年半分の睡眠を取り戻すように惰眠を貪った。家で寝て、漫画喫茶に行って寝て、河川敷で寝た。一日のほとんどを睡眠の時間に費やした。
一日の起きているわずかな時間の間、青柳は効率について考えていた。
人間が働いていくために必要な効率、
生きていくために必要な効率、食事、仕事、時間、金銭。
それらを計上してみた結果、人間は生きていること自体効率が悪いことだと、青柳は気が付いた。
その次の瞬間から、青柳の体はゆっくりと死にむかって効率のよい準備を進めていった。
衰弱死。
青柳がたどり着いた死に方だった。
それは青柳自身が意思を持って決めたわけではなく、一年半の激務によるストレスで壊れた脳の神経中枢が無意識のうちに決めた死に方だった。
河川敷で寝ていた青柳は既に仮死状態だった。
水分と栄養が不足し、気絶している状態。
そんな状態だからこそ、新人天使のシノザキは青柳を死体と間違えた。
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