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青柳の失態




死ぬまで働けと言われたのは、入社して三日目の朝だった。



唖然とする表情を見て、上司の真顔が崩れる。



「バカだな、死ねとは言ってないだろ。そんくらいの気持ちで働けって言ってるんだよ。」



特に若いうちは気持ちで勝負しないとな。と続けて上司は言った。


「はい!」と元気よく返事ができたのは、入社したてで会社の状況を全く理解できていなかったからだろう。


上司の言葉は比喩ではなく、現実となった。


深夜三時まで残業することは当たり前。


遅い時は深夜六時までオフィスにいた。


会社を出るときに世界が深夜ではなく朝になっていることに驚いたのは一度や二度ではない。


疲労がピークに達した際は、会社の休憩室で仮眠をとりそのまま出勤することもあった。


会社から電車で一本の距離にある家はシャワーと寝床として使うだけの休憩室のような扱いになり、平均睡眠時間は三時間を切っていた。



一人の量とはとても思えない業務をこなせていたのは、青柳の仕事効率に対する熱意が尋常ではない点にあった。


資料を早く作成するため、パワーポイントとエクセルのショートカットキーを全て覚え使いこなした。


上司やクライアントへの説明は初回からカンペを一切作らず乗り切った。


データ整理の雑務は簡単なプログラミングを組んで自動で整理できるようにした。


入社して一年後、十人いた同期は青柳を除き全員辞め、一人になっていた。


同期が開けた仕事の穴は青柳が全てうめた。


二年目の春、前年度と同じように十人の新入社員が入社した。


上司から、十人の新入社員に仕事を教えるように指示を受けた。青柳一人に対し十人の新人がつくことに対し、青柳はなんの疑問も持たなかった。



「確かに——」青柳は思う。「俺一人でみたほうが、効率がいい。」



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