ナポリタン
「お待たせしました」
ルナちゃんはナポリタンが入った平皿3枚を器用に運んでくれ、
「サラダも持ってきますね」
と言ってまたキッチンに戻って行った。
「マネージャーはルナちゃんのナポリタン食べたことないでしょ」
「ない」
「ルナちゃんのナポリタンを食べたものは、もう二度と他のナポリタンに満足できなくなるって有名なんだよ」
「そんなにハードルあげないでください」
サラダをテーブルに置いてルナちゃんが座ったところで、俺たちは手を合わせた。
「「「いただきます」」」
「あっ、本当に美味しい」
「そうでしょうそうでしょう、ルナちゃんのナポリタンは美味しいんだよ」
「なんでお前がそんなに誇らしそうなんだよ」
「友達だもーん」
「ふふ、詩織ちゃん、もう良い人いるじゃないですか」
「ルナちゃんはよく見てるねー、そうだよ、私とマネージャーは付き合ってるからね」
「西沢マネージャー、本当ですか?」
「詩織、違うだろ? 練習だよ練習。詩織の出るドラマで恋愛やるからってことでそのことを言ってるんだよ」
慌てて説明するような俺を、クスクスと笑うルナちゃんに俺はどう足掻いても勝てる気がしなかった。
「ありがとね、ルナちゃん。家事全部やってくれて、私の怠惰のせいでルナちゃんを呼んじゃって」
溜まりに溜まっていた藍澤家の家事を、ものの一時間ほどで終わらせたルナちゃんの手を詩織は握ってブンブンと上下させる。
「全然大丈夫です、西沢マネージャーの様子も気になってましたし、詩織ちゃんにもあんまり会えてなかったですしね、久しぶりにという感じです」
「ねっ? これがモテる人なんだぞマネージャー」
口角をあげて嘲笑するような素振りをしたら詩織のことを無視してルナちゃんの方を向く。
「困ったことがあったら頼っても良いかな? そのー、先にこういう体になった先輩としてちょっと」
「はい、いつでもどうぞ」
はっきりと答えてくれるルナちゃんに俺は後光を確実に見た気がした。それは扉を開けて入って来た外の光などではないと思う。
めちゃくちゃ遅れてすみません。
エタっていたのではなく、この時期の文学賞の方に力を入れた結果、文体がガッチガチになってしまったのでリハビリがてら別の百合を書いてました。この書いた百合も、序盤のガッチガチ文体を修正して投稿したいと思っています。次はいつも通り2000文字程進めます。




