漢字で書く【一話完結】
「中島さん」
先生が私の名前を呼ぶ。
私はすっと席をたち、先生がいる、教団へ向う。
「はい!中島さん。さすがね。」
「ありがとうございます。」
うん。よし!満点だ。今回のテストは1問1点で25点満点の小テスト。まー当然だよね。問題数も少ないし、問題として出される漢字も別に難しくないし……。まーちょっと引っ掛け見たいな問題もあったけど、文章をしっかり読めばすぐ分かるやつだったしね。簡単簡単。
私は自分が満点取れてる嬉しさ、誰かに見られないようにテストで顔を隠しながら、席へ戻る。
席に着くと前の席の"あかり"ちゃんが振り向いて声をかけてきた。
「満点?」
「うん。漢字テストは得意だからね」
返ってきたテストをあかりちゃんにだけ見えるように、筆箱で壁を作りながら机にぺろっと置く。
「さすがとーかちゃんだねー。私は20点だよ」
っと、テストをぺろんと私に見せてくる。
なるほど……。どうやら同音異義語の引っ掛けにまんまと嵌ったらしい。
今回のテストはそうゆうのが多かった印象だった。
「……ねー、とーかちゃんはどうして自分の名前は漢字じゃないの?」
「えっ!?」
ぼぅってあかりちゃんのテストを眺めていたら、どうやらあかりちゃんも私のテストを眺めていたらしい。
「とーかちゃんだったら、自分の漢字くらいかけそうだなーって思ってね。」
「……」
たしかにあかりちゃんの言うとおり、自分の名前は漢字で書ける。
だけど、私には自分の名前を漢字で書きたくない理由がある。
それは、私の漢字が読み間違えられるからだ。
「うー……たしかに漢字でかけるよ。ただ、なんかかわいくなくって」
私は読み間違えられるから、と言う理由はなんだか恥ずかしい気がして嘘をついた。
「あーそれちょっと分かる!」
「え!?分かるの?」
意外な事に共感の返答でびっくりした。
「うん。私の漢字ね。こう書くんだけど」
あかりちゃんはそう言いながら、自分のテストの名前を指す。
“明理”と書いて“あかり”
「ね?何か可愛くなくいでしょう?」
「うーん……。可愛くないとは思わないけど、すこし堅い感じはするね。」
「いやーかわいくないよー!でもね。そう思いながらも、なんとなく自分の漢字を書いてたんだよね。」
「うん」
「でね?4年生の時かな?問題で“照明”だったかな?自分の字が使われてるって思ったの。」
「うん」
「その時に自分の名前に何か意味があるのかな?って思ってお母さんに聞いたの」
なるほど……。自分の名前の意味とか考えた事もなかった。
その事に思い至ったあかりちゃんを素直にすごいと思う。
学校の問題とかに出てくる漢字は意味もしっかり分かっているけど、自分の名前の意味に関しては疑問にも思わなかった。
私は続きが気になり、あかりちゃんに“それで?”と話を促す。
「そしたら、“思いやりを持って、周りの人を照らせる人になって欲しいって願いを思ってつけたのよ”って教えてくれたの!だから、私はね、まだ“人を照らせる”って意味がよく分からないけど、そう成るように頑張ろうって思ったの!」
「そうなんだ……。私の漢字にも意味があるのかな?」
「絶対あるよ!とーかちゃんの漢字はどう書くの?」
私は帰ってきたテストを裏返し、そこに自分の漢字を書く。
“徹佳”
「これが私の漢字。可愛くないでしょ?」
「ふふっそうだね。私と同じで可愛くない」
「そんな嬉しそうにしないでよ!」
まったく……そう思いながらも、微笑む明理ちゃんを前に強くいえない。
たぶん自分と同じような私を見つけて嬉しいのだと思う。
「それでとーかちゃんの名前にはどういう意味があるの?」
「うーん、わかんない……。漢字に自体の意味は知ってるんだけどね」
「ふーん、そうなんだ。この字はどうゆう意味なの?」
といって“徹”の字を指さす。
「“てつ”って読むんだけど、意味は“貫き通す。とことんまで行き届く。届ける”って意味だったと思う。」
「へーじゃこっちは?」
「こっちは“か”って読むんだけど、たしか、“よいこと、優れていること。美しいこと”って意味だったきがする。正直、私の名前って良くわからないんだよね。良い事を貫き通せって事なのかな?」
漢字の意味を単純につなげるならば、おそらくそうゆう事だと思う。
“良い事”って私ちゃんと貫き通せているのかな……?
ふと、頭によぎる。
口に出すとより、その意味が体の中に染み渡ってくるような気がして、体が少し重くなったように感じる。
「とーかちゃん?どうしたの?」
「あぁ!ごめん」
「でも、やっぱりとーかちゃんの家族はとーかちゃんの事大好きなんだね!」
「そうなのかな?」
「うん、名前からそう感じる!」
そうか……。他人からそう見えるのなら、そうなのかも知らない。
さっきのしかかってきた重さが少し軽くなった気がした。
そんな話をしているとテストが全員に返され、問題の答え合わせ兼、解説が始まる。
しかし、私はずっと自分の名前についてぐるぐると、考えていたのであった。
放課後。
私は結局、自分の名前についてずっと考えていた。
家族から別に嫌われている事はないのはなんとなく分かるし、今まで何か言われた事もない。ただ名前の意味が自分に求められている事だと思うと、自分が“求められている事”を出来ているのかとても不安だ。
「とーかちゃん。どうしたの?帰ろ?」
机をじっと見て、上の空な私を心配してか、あかりちゃんが声を掛けて来てくれた。
「ごめんごめん……。すぐ支度する!」
私は急いで支度し、ランドセルを背負う。
「お待たせ。んじゃ帰ろう!」
「うん。……ねぇ、今日どうしたの?ずっと上の空って感じだったよね?」
どうやら、あかりちゃんはずっと心配してくれてたらしい。
「ちょっとね、自分の名前の事が気になっちゃってね……」
「まぁ、そんなに気になるならお母さんに聞いてみたら?」
「うーん……」
「不安?」
「……うん」
「大丈夫だよ。だってとーかちゃんのお母さんは絶対とーかちゃんのこと好きだもん!」
「そうかな?」
「そうだよ!」
そっか……。あかりちゃんから見てもそう見えるなら、大丈夫かもしれない。
「うん……わかった。聞いてみる。」
その後はたわいもない話をして、あかりちゃんと別れた。
「ただいまー」
家の玄関を開けると、お母さんの声が返ってくる。
「おかえりなさい。」
方向から察するにリビングにいるのだろう。
私は自分のランドセルを部屋に置きに行き、その後、洗面所で手を洗う。
手を洗いながら、私は国語の授業から悩んでいる事を
どうやってお母さんに話そうかを考える。
いっそ何も考えず、素直に聞いてしまおうか……。
それとも遠回しに、バレない様に聞こうか。
だけど、どうやってバレない様な言い方ができるかわからない。
腕まで広げた泡を見ながら、うずうずと考え続ける。
もう洗う所などないくらいまで洗って、ようやく泡を洗い流すと
もういいか、と思い始めた。考えても答えが出ないなら、
素直に聞いてしまおう。
私は手を拭き、よし、と小さき呟くとお母さんのいるリビングへ向かった。
リビングの扉を開けるとお母さんは、テレビをつけっぱなしにしながら、雑誌を読んでいるところだった。
いきなり話を持ち出すのは、心の準備がまだなので、テーブルに着きながらリモコンでテレビのチャンネルをぽちぽちと変える。
いいテレビがやっていない風に見せながら、いつ言おうかとタイミングを図る。
「徹佳どうしたの?何かあったの?」
お母さんにいきなり掛けられた声にちょっとびっくりして、固まる。
どうやら流石に挙動不審すぎて、声を掛けたらしい。
ゆっくりと振り向きお母さんの顔を見ると、
私の表情を探るように見つめている。
ここまで来たら話すしかない。さっきだって洗面所で話すって決めたじゃん!ぐっと、拳を握りしめ、口を開けてる。
「あ、あのね。今日あかりちゃんとね。えー自分の名前の話をしてたの。」
お母さんは私の話を促すように首を振りながら相槌を打つ。
「そこでね。私の名前ってどうゆう意味なのかなー?って思ったの。あかりちゃんは“思いやりを持って、周りの人を照らせる人”って意味らしくって。」
「名前の意味ねぇ……徹佳は自分の漢字は調べた?」
「うん。」
「どう思った?」
どう思ったか……。その質問はちょっと困る。
この不安を正直に言っていいのかわからない。
うーんと考えながら、正直に言う事に決める。
「えっと……。“良い事を貫き通す”ってことかなって思った。」
「なるほどねぇ……。そう思われちゃうんだ。」
そういながらお母さんは、うんうんと首を縦に振り、
心底感心しているようだった。
「え?違うの!?」
そんな反応に対して、私はすかさず聞き返していた。
「まぁ、間違いじゃないけど……そうねぇ。」
と少し考えるそぶりを見せ、言葉を続ける。
「“徹”って貫き通す。とことんまで行き届く。届ける。って意味があって、
“佳”は良いこと。優れていること。美しいこと。って意味があるね。」
うん、私は頷き、続く言葉を待つ。
「あなたの名前はその文字を組み合わせて“徹佳”って名前に決めたんだけど、
そこにはっきりとした意味は決めてないの。」
「……どうゆうこと?」
「漢字には一文字一文字に意味があって、とらえ方で意味が変わる。だから、
何か一つの意味を決めつけるのは勿体ないって思ったら、お父さんと二人で、
好きな漢字を選んで、その中から読み方とか、呼びやすさとかから決めたの。
で、“徹佳”って漢字なら意味もいいし、読み方も女の子らしいし、呼び安いし、画数とかも問題なかったから決めたの。
ちなみにお父さんが“徹”って漢字を選んで、私が“佳”って漢字を選んだのよ。」
え?つまり
「てきとーってこと?」
自分の名前がてきとーに決められて、がっかりだ。
はぁ……。なんか不安に思っていたことがバカみたいだ。
「いや、てきとーじゃないんだけど……」
とお母さんが真面目な顔で私も見ている。
いや、そう感じるって……。
「まぁ、強いて言うなら“なりたい自分を目指して、やりたい事を貫き通しなさい。ただし、道理が通らない事はするな”かな?いい、悪ことはだめよ。その時はしっかり怒るからね。
それから、やりたい事をやるのはとても大変だったりするけど、安心してね。あなたは一人じゃない。
私たちがついてるからね。だってあなたの漢字にはめいっぱい愛を込めたんだもの。」
そういって、お母さんは私の頭をめちゃくちゃ撫でてきた。
ちょっと痛かったけど、お母さんの顔を見ると、笑いながら、ちょっと頬を赤らめている。
なんだ、照れ隠しか。私も最後の言葉を聞いて、ちょっと恥ずかしかったけど、撫でられているので
ちょっと顔を伏せる形になって、ちょうどたぶん私のにやけている顔を隠せていると思う。
「ま、まだ、やりたい事とか見つけれてないかもしれないけど、見つかったら教えてね!」
「うん!わかった。お母さんありがとう!」
私はお母さんへの感謝を思いっきり伝えようとめいっぱいの笑顔で返した。
お母さんは私の笑顔を見て、満足してようで、今日の夜ご飯は徹佳の好きなものつくっちゃうぞ!
と張り切ってキッチンへ向かった。
その夜、私の好物のハンバーグだった。
数日後。
昨日、テストがあり今日が、そのテストの返却日だ。
先生に呼ばれ、テストを受け取って自分の席へ帰る。
「とーかちゃん。どうだった?」
いつものようにあかりちゃんが、テストの点数を聞いてきた。
私は席に着き、ぺろっとあかりちゃんにだけ見えるようにテスト見せる。
「満点だよ。」
「さすが!あ!」
あかりちゃんが、何かに気が付いたように声を上げる。
「名前。漢字で書くようになったんだ!」
「うん。やっぱり、お母さんとお父さんが考えてくれた漢字だから、書かなきゃって思って」
「うんうん!いいね!」
あかりちゃんは、ぐっと親指を立てる。
私もそれに釣られて。親指を立てる。
自分の名前を漢字で書く。
これは私なりのお母さんとお父さんへの感謝の気持ち。
この話を書こうと思ったのが、5月の連休前あたり。
あれから、4ヶ月ちょっと。この3千文字程度の話を書くのに掛けすぎじゃね!?っとは自分もめちゃくちゃ思います。この程度の話を書くだけで、しんどかったです。まぁ、“名前”がテーマなので、適当な名前は付けれないし、主人公が名前を漢字で書かなくなる“理由”も考慮しないといけないで、設定とプロットを考えるのも大変でした。途中でモチベ無くなって来ていたので、30万字書く人って化け物だなって思いました。
自分はラノベ好きで、いつか書く側になりたいとずっと思っていました。
しかし、設定段階で満足して、本編かけなかったり、本編書き始めても、完成しなかったりと
今まで完成させたことはなかったんです。強いてあったと言うならば、小学生の時に一度小説書く授業があったので、その時くらいですね。そんで、その事を姉に相談したら、とりあえず簡単でくっそ短いものでいいから書けと、言われ、その時が5月前だったという事です。今思えば、このテーマ、クッソ難しくって、もっと簡単なのにすればよかったと思います。当時これが簡単だと思ってウキウキしていた自分はアホだと思います。まぁ、完成経験を積むのが目的なので、意地でも完成させましたが……。
さて、感想はこれで終わりにして。
これを読んでいる、という事はこの話を読んでくれたという事でしょうか?
数ある小説の中から、私の話を選んで、読んでいただきありがとうございます。
初めてまともに書いたお話です。いっぱい悪いところあると思いますが、感想や指摘、アドバイス等あればコメントしていただけると幸いです。
いただいたコメントは薄目で見ます。
以上ありがとうございました。




