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チート級の魔力量で最強目指します。  作者: シャルシャレード
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第二十四話 戦闘


 『ユーベリータ!まずいことが起きたよ!』

 カイリは、ユーベリータに焦り気味で話す。


 『どうしたの?カイリ。』

 ユーベリータは、椅子に座り、そんなカイリを不思議がった様子で見ている。


 『もしかしたら、この家に騎士が来るかもしれないんだ!』


 『どういうこと?』

 ユーベリータは、疑問を持ったような目でカイリを見上げる。


 実はーーー


 カイリは、騎士3人がこちらを調査しに来ていることと、今日あったことを話した。


 カイリは、これを聞いたユーベリータが焦るであろうと予測したが、その予測に反して、焦りは全く見えなかった。


 『問題ないんじゃ無いかな?別に何かやってるわけじゃ無いんだし。その人たちが私たちに害を与えてくるとは限らないでしょ?』

 ユーベリータは、座る姿勢を崩さず、カイリに言う。


 『そ、そうかもしれないけど。』

 カイリの言葉の歯切れが悪かった。


 『そんなことよりも!』

 ユーベリータは、カイリを遮り、勢いよく立ち上がる。


 『私、肉を焼いたの!』

 そういうと、窯を開け、肉を取り出す。

 しかし、鉄板の上に黒い何かが並べられていた。


 『こ、これは、なんの?』

 カイリは、恐怖を感じる心を制し、ユーベリータに聞く。


 『レッドバードよ!』

 レッドバードは、文字通り中まで赤い鳥なのだが、目の前なあるレッドバードは真っ黒であった。


 『食べなきゃダメ?』


 『もちろん!』

 ユーベリータは、カイリに笑顔で肉をグイと押し付ける。

 これは食べなくちゃ納得しないな。


 そう言ってカイリは腹を括る。


 『よし!』

 そう言いながら意を決して、肉に手を伸ばす。



 『待って、ユーベリータ、何か感じないか?』

 肉に伸ばす手をピタリと止め真剣な表情でユーベリータに聞く。


 『ええ、多分この家の小屋の近くに誰かいるわ。』

 ユーベリータが肉をテーブルの上に置き、外を警戒する。

 俺もそれに付随して警戒をさらに強める。


 

 『どうする、迎え討つ?』


 『ええ、最悪の場合はそうなるわね。』

 ユーベリータとカイリが言葉を交わす。

 

 そして、2人は警戒を解くことなく窓の方へと向かう。

 窓から覗くが姿は見えない。しかし、相変わらず何か気配を感じる。


 ガサッ


 目の範囲にあった茂みがわずかに動く。

 その刹那、カイリとユーベリータが窓から飛び出し、茂みの中にいたものを取り押さえる。

 

 思ったほどの抵抗がなく難なく取り押さえられた。



 しかし、2人は取り押さえたものを見て驚愕する。


 『『人間!?』』

 カイリとユーベリータが声合わせて驚く。

 この家の近くに来るものがまさか人だとは全く予想できなかったのだ。


 そして、カイリの方は、その人間に見覚えがあった。


 『アライアさんに、ジェントさん!?』


 『ああ、そうだ。』

 ジェントが言う。


 『どうも〜、こんにちはー。』

 アライアは、どこか申し訳なさそうであった。


 『どうしてこんなところに。まさか付けてたんですか?』

 カイリは、2人を問いただす。


 『とりあえず、拘束を解いてくれるとありがたい。』


 『私もお願いしたいです。腕が折れそう。』

 2人は、お願いをする。


 『ユーベリータ、離してあげよう。』


 『わかった。』


 そう言いながら、カイリはジェント、ユーベリータは、アライアの上から降りる。

 


 『いや、ごめんね。正直いうと、カイリをつけていたわ。』

 アライアがペコリと頭を下げる。


 『俺もお前がただの坊主と思えなくてな。後ろをついて行ってた。』

 ジェントは、頭を下げなかった。


 『いえ、別に大丈夫です。隠してた自分も悪いですし。』

 

 『ところでカイリ、そちらのお嬢さんは?』

 ジェントは、カイリの後ろを指差す。


 『とっても可愛い子ね!紹介してほしいわ!』

 アライアが目を輝かせる。


 『ユーベリータ、どうする?』

 カイリは、自分の後ろに隠れてしまったユーベリータに聞く。


 『この人たちがさっき言ってた?』


 『そうだよ。』

 カイリに腕を引かれ、ユーベリータが横につく。


 『初めまして。ユーベリータと申します。先程はカイリがお世話になりました。』

 ユーベリータがスッと頭を下げる。


 『やっぱり可愛い!2人は兄弟?それとも恋人?』

 アライアが相変わらず目を輝かせながら2人に聞く。


 『カイリは、私の弟子で家族です。』

 カイリは、ユーベリータの家族という言葉がたまらなく嬉しい。


 『そうなのね、なんかロマンチック!』

 アライアのテンションは上がっている。


 『そ、そうですか?』

 カイリは、困惑してたが、悪い気はしない。

 

 『お前らは、ここで何をしているんだ?』

 そんな、カイリとアライアを現実に引き戻すかのように、ジェントが問う。


 『まさか、とは思うが、ここに住んでいるのか?』

 これを聞くことは至極当然のことである。

 騎士団の仕事ととして聞いているのもあるが、少年少女がこんなところに2人でいること自体おかしいのである。


 しばらく、沈黙が流れる。

 どう切り出せば良いか、もし間違えたら敵になってしまうかもしれない。

 そう思い、カイリは口を紡いでいた。


 『えぇ、そうよ。私とカイリの2人で。』

 沈黙を切り裂き、ユーベリータが、口を開く。


 『そうなの?カイリ。』

 アライアがカイリに聞く。


 『はい。』

 カイリはユーベリータに同調する。



 それを聞いて、ジェントは眉間にシワを寄せ厳しい表情を見せる。

 『色々と疑問はあるが、単刀直入に聞く。なんでお前たちはここに2人で住んでいるんだ。』

 

 なんで言えば。それを聞いたカイリは、口ごもる。

 

 そして、ユーベリータの方は、2人を威圧するかのような気配がある。

 『言うのは構いません。それで私たちに危害を加えないと約束できますか?』

 ユーベリータは2人に聞く。その目は、いつになく鋭かった。まるで殺してしまいそうなほどに。


 『ユーベリータ…。』

 カイリは、ユーベリータの見たことない殺気に驚きを隠せない。

 

 『こんな威圧感、騎士団でも出せるやついないぞ。』

 ジェントは、呆気に取られる。

 

 『私達だけの保証で良いのなら、カイリとユーベリータに、約束できる。』

 アライアは、なんとか殺気を受けながらも答える。

 

 

 『そうですか。』

 ユーベリータは、一転して和やかな表情になる。


 『では、なぜ私達がここに住んでいるのか、お教えします。』

 

 ユーベリータは、カイリとなぜ森の中に住んでいるのかを話した。



 『つまり、ここはユーベリータの師匠が住んでいた小屋で、その師匠がいなくなった後に、家出したカイリを森で見つけて、そしてカイリを弟子にして一緒に住んでいるってこと?』

 アライアが今、聞いたことをざっくりと話す。


 『そうね。』

 ユーベリータが頷く。


 『しかし、なんでだ?普通その年なら、初等学校に通うだろ。それに、お前らの動きを見ていたら、初等学校に入っても、間違いなく優秀な成績を修められるし、いずれ騎士団に入れるかなり可能性はかなり高いと思う。森の中に居るよりも学校に行っている方が現実的じゃないか?』

 ジェントは、2人に疑問をぶつける。



 ユーベリータは、小さくため息を吐く。

 『あなたは、その肝心の初等学校に入れないという可能性は考えられないのかしら?持って、恵まれて、愛されて生まれた人には分からないでしょうけど、そんな当たり前すら出来ないのよ。当たり前になることを世間が許してくれない。』


 『どういうこと、なの。』

 

 『カイリは、魔法が使えない。』

 

 ユーベリータのその言葉に2人は言葉を失う。

 まさに、驚愕の二文字が相応しい表情となっていた。

 

 『私は、そんな世界が嫌いなの。だから、師匠が私を助けててくれたように、私もカイリを助けようと思っているの。』

 ユーベリータは、まるで姉のような優しい表情である。


 『そして、魔法が無いことが当たり前となるように暮らすことができる世界を作ろうと思っているのよ。』

 ユーベリータは、さらに続ける。


 それを聞いて、アライアとジェントが何か決意を固めたような表情になった。


 『その、世界を作るの私達も手伝えないかな。』


 『俺たちにも出来ることがあると思うんだ。』


 2人の決意に満ちた表情を見てユーベリータは柔らかな笑顔を浮かべる。


 『ぜひともお願いしたいわ。』

 

 ユーベリータのその言葉に、2人は安堵の表情を浮かべる。


 

 『ウォーターバインド!』

 突如としてそう叫ばれ、カイリとユーベリータの下から水がまとわりつくようにして現れる。


 カイリとユーベリータは、水が現れる前に後ろに飛び、拘束を避ける。


 『貴様ら!やはり、敵の内通者だったか。』

 声の主はダリスクであった。

 その顔は、憤怒に満ちたものであった。


 『ダリスクさん、この子達は違う!敵じゃなかったんだ!』

 

 『黙れ、小娘!こんなところに家を建てて隠れるように暮らしている、イレギュラーモンスターを出しているのは、間違いなくこいつらだ。そして、そいつらを庇うお前たちも敵だあ!』


 『アクアカノン』

 ダリスクは、手をカイリたちにかざす。

 すると、水が一直線に勢いよく飛んでくる。

 殺傷力が高く、当たれば命を落とす危険もある魔法だ。


 『みんな避けて!』

 4人がそれを避ける。

 

 『ユーベリータ!』

 魔剣は家の中。魔法使いと戦うのは初めてだけど、やることは変わらない。自分の間合いで敵を切るだけ。

 カイリはそう思いながら、腰の剣を抜く。


 ユーベリータもそれに呼応して剣を抜く。


 『ダメだ!お前たちは、俺たちの後ろにいろ!』

 ジェントが戦闘態勢に入った2人を制する。


 『人数が多い方がいいと思います!』

 

 『ダメだ!一般人、特に子供たちを危険にさせるわけにはいかない!ましてや、騎士団内のいざこざだ!これ以上迷惑をかける訳には!』

 ジェントが叫ぶ。


 カイリとユーベリータは、剣を納め後ろに控える。


 ジェントとアライアは、それを見てダリスクの方へと向く。


 『ファイアアロー!』

 アライアがつがえた3本の矢に魔法を付与をし、放つ。放たれた矢は真っ直ぐにダリスクへと向かう。


 『舐めるな!アクアシールド!』

 前に現れた3mほどのシールドがダリスクがそれを防ぐ。


 『はぁ!』

 ジェントは、ダリスクの横から、剣を使わず殴りにかかる。


 ダリスクはそれを予期していたのか、簡単に避け、魔法を唱える。

 『アクアニードル!』

 針のように小さい水がジェントへと向かう。


 それをジェントが腕で受ける。

 腕に血が滲む。

 『ぐぅ!』

 殺傷力は、低いが人間傷つけるのには十分なほど鋭利である。


 ダリスクは、隙を与えず魔法を唱える。

 『アクア・ヴァ…ちっ。』

 ダリスクは、アライアから放たれたファイアーボールを避ける。


 『この人なかなか強い。』

 2人に殺す気はないとはいえ、これを対処するのだから、ダリスクもなかなかの実力の持ち主だとカイリには推測できた。

 

 『アクアカノン!』

 ダリスクは再び魔法を唱える。

 そして、それはカイリの方へと向かってくる。


 ジェントは、カイリたちの前に立ちはだかり、それを大剣で受け止める。


 『馬鹿め、戦うことに必死になって、守りが疎かになっているぞ!』

 ジェントは、ダリスクの魔法の勢いにやられ、腕を負傷してしまう。



 『お前らが、悪に味方するのはわかった。生きて帰れると思うな!』

 

 ダリスクは、そういうと、空中にいくつもの魔法陣をまるでカイリたちを取り囲むように四方に展開させる。


 『まずい、2人とも伏せて!ジェント!』

 アライアは、2人の前に立つ。

 

 『わかっている!スクローシス!』

 ジェントは、硬化の初歩的な魔法を唱え、アライアとは逆の方に大剣を抜いて立つ。


 『ファイアドーム!』

 アライアが呪文を唱え、3mドームが現れ、カイリをたちを囲う。


 

 『無駄だ、そんな魔法程度で防げると思ってるのか。アクア・ヴァーズ!』

 その魔法陣から無数の水の刃が繰り出されて4人に向かっていく。

 

 『殺しに来ている。』

 カイリの言葉通りに、この魔法は極めて殺傷能力が高い。それを躊躇なくこちらへ向けている。

 ファイアドームに刃がぶつかり、削っていく。

 ジェントは、剣を構えて、今にも自分に向かってきそうな刃なら迎撃態勢を取る。


 『このままだと、私たちは死んじゃう。』

 アライアは、悲壮感にも似た声を上げる。


 ダメだこれだけじゃ足りない。カイリも心の中で呟き、ユーベリータの方をチラリと見る。


 そして、ユーベリータは、それをわかっていたかのようにカイリに呟く。

 

 『私が魔法を発動させて合図を送るから飛んで、カイリ。』


 カイリは、頷く。


 『嵐障壁・小』

 ユーベリータは、呪文を唱える。

 すると、カイリたちの下から魔法陣が展開され、ファイアドームをさらに上から取り囲むように嵐が吹き荒れる。

 

 『これは、嵐魔法!?まさか、あなたが?』

 アライアは驚いて目を見開いている。


 『そんなはずは…。』

 ジェントも思わず、剣を離す。


 『話は後です!ファイアドームを解いて下さい!』

 ユーベリータが叫ぶ。


 『わかったわ。マジックキャンセル!』

 アライアの魔法陣が割れてファイアドームが解かれる。


 『カイリ!』


 カイリはユーベリータの合図で真上に飛ぶ。

 あらかじめ上を開けていた嵐障壁の間をすり抜ける。


 カイリは、上にある木を掴み、ダリスクを見る。


 『そんな、まさか。』

 ダリスクは、新たな魔法陣を構築する余裕がないほどに放心状態である。


 ダリスクの様子を確認して、勢いをつけ、思いっきり飛んでいく。

 『このやろー!』

 カイリは放心状態のダリスクに思いっきり拳を振るう。ダリスクは抵抗することなく吹き飛ばされる。


 殴られ、2mほど飛んだダリスクをカイリは急いで取り押さえる。


 

 『気絶してるのか。』

 カイリは、ダリスクが気絶しているのに気づく。


 『もう、大丈夫ですよ!』

 そう言いながら、ダリスクのメガネを障壁の中へと投げ入れる。

 嵐の勢いで声が届かないためである。


 ユーベリータは、その合図を確認したのか障壁を解く。


 『アライアさん、ジェントさん、ユーベリータ、大丈夫ですか?』


 『みんな大丈夫よ。』

 ユーベリータは、2人を確認した後に返事をする。


 『それにしても、あれが嵐魔法なんだ。』

 カイリは、改めて驚く。


 『嵐魔法なんて当たり前だけど初めて見た…。』

 アライアも驚く。


 『あれで小なんだな…。』

 ジェントは、周りを見回す。


 見ると、あたり一帯に枝や葉が散乱していた。

 カイリが掴んだ木の枝ももう折れてしまっていた。

 

 『小屋は…なんとか大丈夫そうだな。ダリスクさんはどうしますか?気絶していますが。』

 カイリが2人に問う。


 『あそこの岩にでもくくりつけておきましょう。本当に反省してもらわないと。』

 アライアが怒りを見せる。


 『そうだな、本当は叩き切りたいのだが。』

 ジェントが剣を構えようとする。

 


 殺伐とした雰囲気の中、ユーベリータがパンと手を叩く。

 『みんな、お腹空いてません?』


 ユーベリータが笑顔で聞いた。


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