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約束


 キーンコーンカーンコーン。 

 3限の授業の終わりを告げるチャイム。

 それと同時に、教室に生徒たちの明るい声が飛び交う。

 このチャイムは昼放課の開始を告げるチャイムでもあるわけだ。


「アツキ! 購買行かない?」


「あ! すまん! 今日もあれだわ……」


「またかよ……お前もなんでわざわざ行くんだよ」


「まぁ、しょうがないだろ……あっ! それと購買行くなら、メロンパン買ってきてくれない?」


「はぁ……わかったよ! 女の子を泣かせんなよ!」


「あぁ! ありがとよ! 親友!」


「……ったく、人使いが荒いんだから……」


 俺は屋上へと向かう。

 そして、屋上の扉を開ける。


 と、そこには1人の少女が立っている。

 お決まりのパターンだ。


 俺はルーティン化したやりとりを済ませ、屋上を去る。

 

 取り残された少女は何かを食べた後、顔を赤くして、佇む。


 俺は屋上から教室へと戻る。


「おぉ! アツキ! なんか終わるの早いな……」


「まぁな。そんなことより買ってきてくれたか?」


「あぁ。買ってきたぞ! ほれ!」


 智也が俺にメロンパンを投げ渡す。

 俺はそれを華麗にキャッチをし、


「ありがとな! 親友!」


 俺は智也が買ってきてくれたメロンパンを美味しく頬張る。


 こうして、いつも通りの昼放課が終わる。

 そして、授業がまた始まる。


 5限の授業は数学だ。


 今日の数学の内容は微分法だった。

 微分法の計算自体は本当に簡単なものなんだよなぁ……

 と、俺にとったら退屈な授業だった。

 前の人生でも受けたことがあるのだし……

 

 キーンコーンカーンコーン。

 

 ようやく、退屈な授業が終わった。


 この後はお待ちかねの氷堂先輩の攻略のお時間。前回までで親愛度は75まで上がっていて、後は少しでも上げて唇を奪うか、なんかしらで体液をもらうか、体液を与えるかだな……

 キスを敦子がすると完全に百合物になってしまうな……

 今回は春先生の場合とはちがって問題ないだろう……

 なんたって女の子として攻略するのだから……

 キスをすると問題が出てきそうだが……

 よし! いくか!


 あっ! そういえば今日は水曜日だから智也に部活はない……となると智也から誘ってくる可能性があるな……


 その前に……っと。


「じゃあな! あつき! 今日先帰るわ!」


 あれ!? 誘ってこないのか?

 まぁ、それはそれで都合がいいな……


「あぁ、じゃあな! 親友!」


「あぁ、またな!」


 智也は鞄に荷物を詰め、急いで教室を出て行った。

 

「とものやつ、どうしたんだろ? あんなに急いで……まぁいっか。とりあえず俺は俺のやるべきことをしよう」



 俺は智也が出ていった後、少し経ってから教室を後にした。


 俺のやるべきことは敦子になって氷堂先輩を落とす! ただそれだけだ!



 俺はいつもの人気のないところで敦子へと変身し、図書室へと向かう。


 そして、図書室の扉を開けて、中へと入る。

 そこにはやっぱり彼女がいた。

 水色の髪に水色の瞳。氷堂時雨。

 だが、なんだかおかしい……

 何故だかわからないが、親愛度が5だけ下がって70になっている。

 何かあったんだろうか……

 それとも時間が経って、下がってしまうことがあるのだろうか……

 そんなことを考えていると、


「嬉しいわ! 来てくれて!」


「はい! お久しぶりですね! 先輩!」


 私の先輩という言葉に一瞬だけ眉を寄せたように見えたが、見間違いのようだった。


「そうね! 2週間ぶりかしらね!」


「そうですね! そういえば先輩のお気に入りの作家さんの本はもう出たんですか?」


「それがね……まだなのよ……今週の土曜日に出るわ! 私もその日に買うつもりよ!」


「そうなんですか! 是非買ったら読ませてくださいね!」


「もちろん! いいわよ!」


「ありがとうございます!」


「そんなことよりも、ちょっとお願いがあるのだけどいいかしら?」


 先輩の口調がどことなく変わったような気がする。これは真面目な話をするときの先輩の声色だ。

 私も先輩の話を真剣に聞こう。


「……えぇ、いいですけど……」


「あのね……私と温泉に行ってくれない?」


「はい?」


 ん? この人急に何言ってんだ? 急に真剣になったと思いきや、温泉?

 いや、たしかに温泉が好きなのは知ってたんだよ……

 でも、いきなりすぎない?


「だから、私と敦子ちゃんで一緒に温泉に行かない?」


「はい?」


「もう! わたしおばあちゃんに温泉旅行のペアチケットもらったのよ! それで……どうせなら敦子ちゃんと行こうかなぁと思って」


 え!? 温泉に先輩と2人で? それも旅館……つまり、そういうことだよね……

 是非行きたい! 行かせてください! 

 だが、それも日程次第なんだが……


「ちなみにそれはいつですか?」


「7月11、12日よ! どう? ダメかしら?」


 うっひょーーー! 絶賛ポッカリ予定が空いちゃってますよ! これは行くしかないよね! そうなんだよね!

 

「いいですよ! 是非一緒に行かせてください!」


「あら! 嬉しいわ! じゃあ、とりあえず土曜日の朝9時によもぎ駅の時計のとこで待ち合わせでいいかしら?」


「えぇ! いいですよ! わたし楽しみにしていますね!」


「喜んでくれて私も嬉しわ!」



 こうして、俺は氷堂先輩と温泉デートをすることになった。

 だが、一つ問題が……

 服どうしよう……

 こればかりは師匠の力を使う事はできない……

 服買いに行かないと……


 俺は氷堂先輩と夕方6時半くらいまでじっくりと話した後、帰路についた。


 

 そして、俺の家の前に……誰かがいた……

 

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