口撃
よもぎ大学付属高等学校。図書室の蔵書庫にて。
さっきは瞳しか見ていなかったけど、氷堂先輩めちゃくちゃ美人だな。
顔もそうだが……スタイルがいい……
すっごいいい女だ……欲しい……
俺は蔵書庫に入ってから氷堂先輩の魅力に当てられ、ボォーッとその場で立っていた。
そんな俺にようやく気づいたのか……
「ねぇ。そこにボケーっと突っ立っていられると気が散るから……」
彼女の声が蔵書庫内に響く。
「あ! すみません!」
「別にいいわよ……でも用がないならさっさとでていってもらえないかしら」
「…………あ、用ならあるんです」
「そう。なら勝手にして頂戴」
氷堂さんは冷たい口調でそうとだけいい、再び本を読むことに意識を向けた。
俺は彼女の素っ気ない態度に少しばかりたじろいでしまったが、
俺が用があるのはこの先輩だ! と心の中で意気込んで。
「あの! 氷堂先輩ですよね!」
氷堂時雨の水色の瞳がグサリと突き刺すように俺を捕らえる。
「そうよ……それがどうしたのかしら……」
「あの! 俺先輩のことが知りたくて……」
相手を知ることがまず大事だと俺はおもう。
「そう……なら、これだけ言っとくわ」
「なんでしょうか?」
「わたしはあなたに興味がないわ! だからさっさとどこかへいってくれないかしら」
ん? なんだこの人……あってすぐにこ普通こんなこと言うのか?
「…………でも、俺は……」
完全に動揺してしまっている……冷静に冷静に……
「あなた……少しばかり勘違いしてないかしら……」
この人はいったい……何を……
「……何をですか?」
「あなた、確か佐藤篤樹って言うだったかしら?」
「えぇ。そうですけど……」
「小さい頃は人気子役のあの有名な人と同じ名前だけどあなたなのかしら?」
「えぇ。そうですけど……」
「今は確か雑誌とか映画とかモデルとして大活躍の大ブレイクしている人と同じ名前だけどあなたなのかしら?」
「ええ。そうですけど……」
この人、俺に興味がないとか言いながら、俺のことめっちゃ知ってね? 興味ないフリしているただの構ってちゃんなのかな? そうだとしたら智也の情報は完全にガセだな……
「学校ではスポーツ万能。頭脳明晰。容姿端麗。性格もいいと噂のあの佐藤篤樹なのかしら?」
「えぇ。そうですけど……」
「やはりあなたはあの佐藤篤樹あのね……」
「えぇ。そうですけど……氷堂先輩は俺に何を言いたいんですか?」
「えぇ。そうね……やっぱりあなたは勘違いしているわ」
「……き、急に何を言っているんですか?」
「あなた、女の子なら誰でもあなたのことを好きになるって思ってないかしら?」
流石の俺だって、そんな風に思うのは思い上がりすぎた……
「…………え!? そんなことないですよ……」
「それならいいんだけど……わたしは他の女の子と違って、あなたには本当に興味がないわ……」
こんなきっぱりと言われるとどうも掴めない……完全に相手のペースだ……
「…………先輩はそうかもしれないですけど……」
「わたしはそうなのよ……だから、諦めてさっさと行ってちょうだい」
「…………それは……先輩、これから少しずつでいいんです! 俺と仲良くしてくれませんか?」
俺は考えを振り絞った結果、先程あしらわれたはずの内容をを違うセリフに変えて発した。
「はぁ……ハッキリ言わないとダメかしら?」
蔵書庫の空気が一気に冷えたそんな感ががした……
「……………」
「…………あのね……わたし、あなたのことが大っ嫌いよ! 見ているだけで本当に吐き気がするの……」
「………………」
「周りの人からチヤホヤされて、女の子をモノのように扱って……」
「………………」
「みんなのことは欺けても、わたしのことは欺けないわ……」
「………………」
「あなたはあの人とそっくりだわ……」
あの人っていったい誰のことだろう……
「………………」
「あなたはクズよ……もう2度とわたしの目の前に現れないでちょうだい」
「…………」
ここまで言われる筋合いはないんじゃないか……俺はこの人と今日初めてあったばかりなんだぞ? なのになんで、こいつは俺のことをこんなに嫌ってるんだ……
いや……もしかしたらああ言いながらも内心では……可能性はある……
俺はそれを確認する力がある……
ならばやるべきことは……
(【鑑定】)
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
【名前】氷堂時雨
【年齢】17
【誕生日】12月25日
【3S】B: 79 W: 58 H:80
【親愛度】5
【好きなもの】読書、温泉
【嫌いなもの】男
【H】B
【テクニック】C
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
【称号】【氷姫】
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
【ひとこと】
はぁ……男ってみんな同じね……
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
おい……親愛度おかしくないか……こんなの見たことないぞ……5ってなんだよ? 俺氷堂時雨とは今日会ったばかりだぞ……
なんで俺こんなに嫌われてんだよ……
俺が何をしたって言うんだよ……ふざけんなよ……ってことはさっきの言葉は先輩の本音!? なのか…………
ありえない……俺は先輩に何もしていない、はず……
じゃあ、なんだって言うんだよ……
あぁぁぁ! くそぉぉ! イライラする……こんなんだったら【鑑定】なんてするんじゃなかった……
俺は氷堂先輩が出ていった蔵書庫で彼女の口撃を全面にくらい、1人静かに佇んでいた。




