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4.派生能力

 その後、俺たちはそれぞれ自分のステータスの詳しい確認をした。

 俺には異世界物の定番とも言える”鑑定”的なものはなかったが、『これを知りたい』と心の中で思うとその内容が表示されるのだ。

 と言うか、表示しなくても何となくの内容はわかる。

 どういう原理なのかはわからないが、頭の中に浮かぶのだ。

 いや、”覚えている”と言った方がいいのかもしれない。

 まるでずっと前から知っていたかのような感覚だ。

 でもまあ、不思議と嫌な感じなどはない。

 というわけで早々に気にしないことに決めた。

 まあ、ここ異世界だし。俺たちにこのステータスを与えたのって女神様だし。

 不思議なことの一つや二つあって当然というものだろう。


 そうやって確認すること30分、俺たちはあらかたのステータスチェックを終えた。

 そこでわかったことがいくつかあった。

 が、とりあえず今は固有能力(ユニークアビリティ)の説明だけしておこう。


 ≪性癖能力化フェティシズムアビリティ≫という天恵で能力化された”性癖”が固有能力だ。

 そして、その固有能力すべてに共通する能力があった。


 それは『一定条件がそろった場合、自分のステータスを大幅に上昇させる』という能力だ。


 まあ、条件は性癖によってまちまちだが、その効果だけはすべてにおいて備わっている。

 ちなみにパッシブだ。

 どのくらいの上昇が望めるのかは謎なので、これから確認していく必要があるな。


 そして、これも共通することなんだが、この能力化された性癖にはどうやら派生能力とでもいうべきものがあるらしい。

 これはスキルも同じだが、今はそのすべてにロックがかかっている。

 どうやらこのAP――多分呼び方はアビリティポイントだと思う――でアンロックする必要があるらしい。

 今はまだどれをアンロックするか決めていないが、近いうちに決める必要がありそうだ。


 というわけで決めちゃいましょう。


「凛、蘭。もうどの能力にするか決めたか?」

「ん~まだもう少しかかりそう」

「こういうのって迷うよね」


 どうやら凛と蘭はまだ決めかねているらしく、うんうんと腕を組みながら悩んでいる。


「そういうお兄ちゃんは?」

「もう決めたの?」

「ふっ、愚問だな。――俺が決まっているわけがないだろう!」


 俺が堂々とそう言うと、凛と蘭はあまり驚いた風もなく言った。


「だね」

「何となくわかってたよ」

「愚問だったね」

「それでこそ兄さんだよ」


 うむ。俺のことを理解してくれているのは大変うれしいのだが、俺としてはもう少し違う反応が欲しいところだな。


 そんなことを思いつつ、目の前の派生表示に視線をむける。

 いろいろあって迷ってしまうな。

 

 しかも性癖によって必要なAPの数が違う。

 どういう基準なのだろうか。

 一番ありえそうなのは強さ的なものか?

 強ければ強いだけ必要ポイント数が増えるというのは当たり前と言えば当たり前のことだ。

 でも何だろう。

 そうじゃない気がするんだよな~。

 何かもっと違うものが基準になっている、そんな気がするんだ。

 ……まあ、それが何なのかはわからないんだけどね。


 さて、話を元に戻そうか。


 問題はどの能力(アビリティ)を取得するか、だよな。迷う。

 こういう場合、一つの固有能力の派生を全て獲得したほうがいいのだろうか。

 それとも必要なものを満遍なく取っていったほうがいいのだろうか。

 それとももっと違う感じがいいのだろうか。

 ん~……ん? いや、待てよ? これはもしかして……。

 ………………なるほどな~。うん。面白いな、これ。

 名前は相変わらずアレだが、これは結構面白いぞ。

 

 俺は気がついたことを元に、次々と派生能力をアンロックしていく。

 すべてのアンロックを終えるのに5分とかからなかった。


 よし、これでオーケーだな。

 正直に言えばもっと欲しい能力はあるんだが……まあ、こればっかりはAPの都合上、仕方ないか。

 APを増やす方法はおいおいわかるだろう。

 スキルは………これもまだいいか。

 たったの10SPしかないからな。使うとしたらもう少したまってから使いたい。

 ちなみにSPはスキルの獲得に使うことができる。これもAPと同じような感覚だ。

 ただスキルの一覧がどうしたら増えるのかは謎だな。

 今は使うつもりがないから別にいいが、これも調べていくとしよう。

 

 魔法はどうやら自分自身で覚える必要があるようだ。

 覚え方は相変わらず謎である。


 ということで、これで一通りは終わりだな。

 とりあえず、最終チェックと行こうか。


―――――――――――――――――――――――――――――

キョーヤ・クロツバキ

性別:男   種族:人間   職業:転生者

LV:1

HP:150000(500)/150000(500)

MP:90000(300)/90000(300)

攻撃力:45000(150)        防御力:60000(200)

魔力 :30000(100)        対魔力:30000(100)

敏捷 :36000(120)        器用 :81000(270)

知力 :90000(300)        幸運 :30000(100)



SP:10

AP:5


魔法:

 なし


スキル:

 なし


固有能力ユニークアビリティ

加虐性欲サディズム

    ・恐怖

    ・精神攻撃

    ・精神ダメージ具象化

    ・トラウマ確認

    ・拷問器具作製

拘束愛好バインドフィリア

    ・万物拘束

    ・拘束条件指定

    ・拘束範囲指定

    ・拘束器具作製

    ・リンク

血液嗜好ヘマトフィリア

    ・血液操作

    ・血液硬質化

少女性愛ロリータコンプレックス》●

身長差性愛アナスティーマフィリア》●

近親愛インセスト》●


天恵:

性癖能力化フェティシズムアビリティ


称号:

[転生者]


装備:

〈制服〉

―――――――――――――――――――――――――――――


 大丈夫そうだな。

 というか、思いのほか大量に取れてしまった。

 一個辺り5~10APだからな。なんだか得した気分だ。

 まあ、その代わり他の固有能力は必要AP数が多すぎてまったく取れなかったんだけどな。


 この固有能力の横についてる黒い丸は”能力発動中”ってことか。

 現にステータスが異常に上昇してるしな。

 ていうか全ステータス300倍ってどんだけだよ。

 あ~いや、あれか。俺の場合、凛と蘭の二人分上昇してるのか。一人150倍と。

 上昇率はこれが限界なのか、それとも状況次第で変わるのか。それも確認していかないとな。

 ……楽しいけど、少しだけ面倒くさいな。

 いや、楽しいんだけどね?

 ただ、チェック項目が多すぎるよ。

 まあ、何もかもがわかったらそれはそれで面白くないからな。これでいいか。

 時間は腐るほどあるからな。のんびり行こうぜ。

 ……って、そっか。もう学校とか行かなくてもいいのか。


 …………はっ、異世界最高だなオイ! こればっかりは凛と蘭に感謝しないとな!


「どうしたの?」

「何かいいことでもあったの?」

「うん? そう思うか?」

「うん。すごくいい顔してる」

「とっても楽しそうな顔。それと、嬉しそうな顔」

「まあ、な。もう学校に行かなくてもいいのかと思うとな」

「あ~、そっか。そうだよね。もう行かなくていいんだった」

「というか行けないしね。でも確かに、それは嬉しいね」

「だろ? いや~、異世界様様だな」


 さて、


「これからどうする?」

「どうするって?」

「いや、だから、異世界に来たはいいが、俺たちってこれといって目的も目標もないんだよな。だから、これからどうするのか早めに決めておいたほうがいいだろ? というか、流石にこんな場所で野宿は嫌だ」


 俺がそう言うと我が妹たちはうんうんと頷いた。


「とりあえず、街か何かを探したほうがいいのかな」

「そうだな。それがいいと思う。ただ、問題はどっちに進むのか、だ」


 そう。何を隠そう今俺たちのいる場所は大草原なのである。

 見た限り、街なんてものは欠片も見当たらない。

 こんな時、地図か何かがあれば助かるんだが……。


 俺はそっと上空を見つめた。


 ……いや、流石にレインに頼むのはダメだな。

 頼りすぎるのもアレだろう。

 都合よく馬車か何かが通ってくれればいいんだが。

 もしくは道か何かが見つかるとか。

 まあ、そんな都合良くはいかないだろうけど。


「それは大丈夫だよ兄さん。私にお任せあれ」

「おっ、また何かいい方法を思いついたのか?」

「そうなの蘭ちゃん?」

「そうなのです! 私にお任せあれ」

「二度も言わなくても任せるって。……それで? どうするんだ?」

「ここは異世界ですよ? であれば、せっかく手に入れた能力を使わない手はないでしょ!」


 そう言って蘭は人差し指をピンと立てた。

 なんか、めちゃくちゃ自信有りげだな。

 蘭がここまで自信有りげなのは珍しいぞ。貴重だ。


「どんな能力を使うんだ?」

「固有能力名、《盗撮愛好スコポフィリア》から派生した能力! その名も! ”千里眼”です!」

「おい、ちょっと待て。そんなチート能力があったのか!?」

「蘭ちゃんすごい!」

「えへへ、そうかな」


 照れたようにもじもじとする蘭。

 いや、これは本当にすごいぞ! 俺のにもチート能力はあったが、とても獲得できるようなポイントじゃなかったからな。

 しかも”千里眼”ときた。

 名前を見れば誰しもがわかるチート能力だ。そして、学生ならば――特に男子高校生ならば誰しもが欲しいと願う能力だろう。

 

「まあ、これを取ったおかげで他の能力はまったく取れなかったんだけどね……」

「ちなみに何AP?」

「ズバリ、90APです!」

「「……」」


 マジかよ。90APも使ったのか。

 まあ、”千里眼”なんて能力を取ろうとしたら妥当といえば妥当なのかもしれないけどさ。


「えっ、どうしたの二人共。なにかダメだった?」

「いや、ダメっていうか。なぁ?」

「ダメっていうか。ねぇ?」

「何その反応!?」

「まあ、お前はそれでいいよ。それじゃ、ありがたく使ってもらおうか」

「そうだね。頑張って蘭ちゃん」

「うー、どうしてそんな可哀想なものを見る目で私を見るのぉ。わかったけどぉ、わかったけど、なんだか納得がいかない!」


 そうやって蘭は、どうのこうの言いながら”千里眼”を発動する。

 すると、蘭の目が真っ赤に染まった。なんだかかっこいいな。


 それから十数秒が経った頃、


「あったよ! こっちの方向! わりと近くにあるよ!」


 そう言って指をさした。

 その方向を見てみると、かなり高い丘があった。


「ありがとう蘭。それじゃあ出発するか」

「うん!」

「そうだね!」


 俺はレインからもらった白い箱を自分のイベントリに収納する。

 イベントリは元から備わっているものらしく、凛と蘭にも使用できる。


「っと、その前に、”万物拘束”。”拘束範囲指定:無限”」


 俺は手に入れた派生能力を発動する。

 そして自分自信をその場に拘束し、無限の範囲を行動できるように指定する。

 これはあくまでも念のためだ。

 もしかしたら使わないかもしれないが、まあそれならそれでもいいしな。


 そうして、俺たちは改めて街へと向けて出発した。


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