15.[禁忌を犯せし者]
ジリリリリリッ――――
”愛の巣”に備え付けられていた目覚ましの音で目が覚める。
念のため布団の中を確認するが、凛と蘭の姿はなかった。
俺が寝ているうちに潜り込まれるかもと警戒していたが、どうやら杞憂だったようだ。
正直まだ眠いが、化け物退治までもうあまり時間がない。
とりあえず今は我慢だ。
すべてが済んだら気が済むまで寝るとしよう。
差し当たって今日は獲得したスキルの確認とレベル上げだな。あと、”拷問器具作成”と”拘束器具作製”を組み合わせた武器の作成とか、やりたいことは山ほどある。
と言うか普通に時間が足りないのだ。
今日含めて残り二日。だが、明日は招集がかかる日でもあるからな。
実質今日で最後みたいなものだ。
出来る限りのことはしておこう。
凛と蘭を危険に晒すわけには行かないからな。
昨日作り出した〈拘束衣〉から洗濯を終えた制服に着替えた俺は、部屋を出て凛と蘭の下へ向かう。
「おはよう、凛。蘭」
「あっ、おはようお兄ちゃん!」
「おはよう兄さん!」
朝から元気な凛と蘭が笑顔で挨拶をしてくる。
まあそれはいい。いつものことだ。
ただ、
「お前らなんでまだ〈拘束衣〉着てんの?」
凛と蘭の制服も俺のと同じで洗濯は終わってると思うんだが。
まさか、気に入ったのか?
「だってお兄ちゃんが私たちのために作ってくれた服だもん」
「それを着ないなんて私たちにはできないよ」
「……そうか」
こいつら俺の渡した服なら何でも着るのではなかろうか。
俺が言うのもなんだが、少し将来が心配になってくるな。
異世界で生活するのに日本基準で将来の話をするのもおかしな話だが。
さて、
「スキルや能力の確認が終わったら今日もレベル上げに行く予定だが、その前にステータスの確認をしておきたい。凛と蘭もレベルが上がってるから、SPもAPもそれなりに入ってただろ? それを使って獲得したスキルなんかの確認も含めて情報を共有しておきたいんだが」
俺がそう言うと、凛と蘭は微妙な顔をした。
「どうしたんだ? まだ獲得してなかったとか?」
「う~ん、そうじゃないんだけど……」
「あ~、ちなみに、兄さんはどのくらいSPとAP入ってたの?」
「俺か? 俺はSPが125プラス、APが410プラスだな。予想以上に入ってて驚いた」
「「う、う~ん……?」」
「?」
様子がおかしい。俺のとは違ったのか?
レベル的に俺の半分ぐらいのPは入ってると思うんだが。
「あの、ね。お兄ちゃん」
「その、ね。兄さん」
「うん?」
「私たち、その半分も入ってなくて……」
「SPが35にAPが100しか入ってないの……」
「は?」
35に100? なんの冗談だ?
俺の約四分の一しか入ってないなんて……俺と凛と蘭、何か違うところがあるのか……?
職業は同じ転生者で、同じ天恵、同じ[転生者]の称号。
………………ん? あれ? 凛と蘭の称号って他にもなかったっけ……?
「…………なあ、一度ステータスを見せてくれないか?」
「「うん、わかった」」
そう言って、凛と蘭は俺に見えるようにステータスを出現させる。
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リン・クロツバキ
性別:女 種族:人間 職業:転生者
LV:12
HP:55000(550)/55000(550)
MP:49000(490)/49000(490)
攻撃力:36000(360) 防御力:25300(253)
魔力 :28200(282) 対魔力:23100(231)
敏捷 :40600(406) 器用 :37700(377)
知力 :47200(472) 幸運 :30000(300)
SP:35
AP:110
魔法:
なし
スキル:
【命中Ⅰ】【弓術Ⅰ】
固有能力:
《被虐性欲》●
・万物盾化
・物理攻撃耐性
・魔法攻撃耐性
・ダメージ変換
《説教愛好》
・風化
・鈍化
《露出癖》
・解放
・視線誘導
・隠密
《睡眠愛好》
・眠り歌
・愛の巣
《近親相姦》●
天恵:
≪性癖能力化≫
称号:
[転生者][禁忌を犯せし者]
装備:
〈拘束衣〉〈処刑人の剣〉
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ラン・クロツバキ
性別:女 種族:人間 職業:転生者
LV:12
HP:55000(550)/55000(550)
MP:49000(490)/49000(490)
攻撃力:20000(200) 防御力:41000(410)
魔力 :27000(270) 対魔力:34100(341)
敏捷 :28800(288) 器用 :47300(473)
知力 :32500(325) 幸運 :30000(300)
SP:45
AP:100
魔法:
なし
スキル:
なし
固有能力:
《被虐性欲》●
《盗撮愛好》
・千里眼
《窃盗愛好》
・透視
《睡眠愛好》
《近親相姦》●
天恵:
≪性癖能力化≫
称号:
[転生者][禁忌を犯せし者]
装備:
〈拘束衣〉〈処刑人の剣〉
―――――――――――――――――――――――――――――
…………あった。称号[禁忌を犯せし者]。
ど~見てもバットステータス系の称号だよなぁ。
俺とこいつらの違いなんて称号くらいだし、まず間違いないだろう。
効果は獲得SP・AP半減ってとこか?
まったく、面倒な称号だな。
「まあ、[禁忌を犯せし者]のせいだろうな」
「やっぱりそうかな~」
「私たちもそれのせいかなって思ってたんだよね」
「SP・AP半減だけなのか、それとも他にも何かあるのか。その辺は調べてみないことには何とも言えないが……もしかしたら経験値も半減してるかもな」
「「うー」」
「唸っても仕方ないだろ。と言うか、全部自分たちの自業自得じゃねえか」
「「そうだけどー……」」
「まったく入ってないわけじゃないんだし、今ある分だけで我慢するしかないだろ。あとは、少しでも多くレベルを上げるとかだな」
性癖ごとのパッシブ効果でステータスが上昇しているのが不幸中の幸いか。
最悪、俺の”万物拘束”で軽く拘束して無理やりステータスを上昇させるか。
〈拘束衣〉を着るだけで上昇するんだから何も問題はないだろう。
”拘束器具作製”で腕輪とか首輪を作るのもアリかも知れない。
こう言っちゃなんだが、拘束具を身につけるだけでステータスが跳ね上がるって羨ましいよな。
拘束されたいとは思わんが。
…………って、俺のステータスも凛と蘭が拘束着を付けてるおかげて上昇してるんだからお互い様か。
それはさておき、パッシブ効果はあくまでもその場しのぎだ。
上昇するのはステータスだけだし、やっぱり派生能力やスキルがないのは痛い。
…………称号を消す方法があることを願うか。
可能性としてはゼロじゃないし。
探してみる価値はあるだろう。
「頑張る」
「絶対に兄さんの足は引っ張らないから」
「おう、頑張ってくれ」
とは言っても、もともと凛と蘭には後方支援を頼む予定だったからな。
それほど危険はないだろう。
それに、凛と蘭が強くなれないなら、その分俺が強くなればいいだけだしな。
「さて、大分予定が狂ったが、とりあえず能力とスキルの確認だな。ぶっつけ本番で試すのはいろいろと怖いし、軽く庭で試そうか。凛と蘭は先に獲得からだな」
「わかった!」
「早く終わらせて合流するね!」
「念のため言っておくが、やり直しはきかないんだから慎重に選べよ? 特に蘭」
「うっ、わかった」
そう言って、俺たちは各々の作業に取り掛かった。




