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『精神年齢推定70歳、独居老人 is good』

『精神年齢推定70歳、独居老人 is good』



立て続けに人生上の悲劇が起こって、自分は少し暗い場所に独居している。

まだ、35歳の、老人と呼ばれるには早すぎる風貌でもあるが、生活は歪んでいる。

まぎれもなく、自分は、人々から孤立し、或るアパートの一室で、今は寝込んでいる。



自身の経験から、恐らく自分はこの様な生活のまま、死んでいくだろうと推測している。

しかし、夢や希望を捨てた訳ではない、ただ、少し虚しいだけだ。

虚しいことは、悲劇ではない、寧ろ、喜劇の様に、自分は自分を捉えている。



自分には、発見できていない病気があるかも知れないし、下手をしたら孤独死するかもしれない。

でも、自分はそれでいいと思っている。なぜなら、病院に仮に入っても、苦痛があるだけだからだ。

そして、人は自然死が一番いいと思ったのは、何度も病院に入って、居心地の良いことがなかったからだ。



自分はまだ35歳だと述べたが、それでももう、精神年齢はとっくに70歳を超えていると思う。

まさに、精神年齢70歳の、独居老人の様なのだ。年金で生活をし、衣食住の為だけに、金を使う。

そんな生活は、悲劇なのだが、述べた様に、それはすごく心地の良い、喜劇である。



神に向かって、独居老人は最高だ、と伝えたくなることが多々ある。

別に人を羨むこともないし、自分は自分の人生を、ひたすら歩くだけだからだ。

誰にも、邪魔されない、この生活は、自分という老人の様な子供を、自身で子供扱いする天国だ。



そうして、一冊の本を、暇な時間を使用して創りあげたのだが、これをどうしようか迷っている。

誰か、道行く人に、手に取ってもらえればと思うことがあるし、何なら、どこかの誰かに渡したい。

本の題名は、『精神年齢推定70歳、独居老人 is good』である。まだ35歳の自分が、誇りに思う一冊だ。



この一冊を持って、街へ出かけた処、見覚えのある顔に出会った。10年程前に会った人だ。

有無を言わさず、手招きして、


「この本あげるよ、もう自分には必要ないから」


と言って渡した。君は嬉しそうに、


「有難う、読んだらすぐにゴミ箱に捨てるね」


と言うので、まだまだ死ねないな、と思ったことだけは、確かに確かだった。これは、君に救われたと言うことだろうか。

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