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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
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第6話:ゲーマーの休日06

電車に揺られ、バスに揺られ、時間をかけて家へ帰ってきたにも関わらず、僕のテンションは高かった。

長い間緊張していたりと、至らない点は多かったが今思えばいい思い出になった。


好きな子がいるわけでもないのに彼女がほしいとか言っていた奴を見下していたが、こうやって女子のかわいさに触れてしまうと、彼女がほしくなってしまう気持ちも少し理解してしまう。


もし、花尾間さんがぼ…僕の彼女になってくれたりしたら、あの部屋で二人っきりになって、ゲームしたり、色々話したり、それから…それから…。


「………」


下心丸出しなのを認めつつ、僕は自分の素直な気持ちを心の中でつぶやいた。


「花尾間さんと、もっと仲良くなりたい」


別に関泉さんがダメってわけではない。

彼女も接しやすくて、とてもいい子だ。

けれど、花尾間さんのあの長い髪とあの細い首が好みというか。

同じ人見知りとして、一緒にステップアップできたらいいなというか。

ひょ、ひょっとしたら、花尾間さんも同じような事を考えているんじゃないかとか。


などど自分に言い聞かせるように、頭の中をぐるぐると同じような事が渦巻く。


では、実際に僕にいったい何ができるか?

とりあえずは、もっとお話をして、親睦を深めるのが無難だろう。


では、いったいなんの話題なら言葉のキャッチボールがしやすいだろうか?

やはり格闘ゲームか?


いや、幻想パレードだ。

あのゲームの話題には、あの花尾間さんもテンションが高かった。

僕と同じように、誰かと語りたかったに違いない。


今日遊びに行くにあたり、花尾間さんと携帯番号を交換している。

口実を作れれば、自然にメッセージを送ることができる。


となれば、さっそく口実を作ろう。


あの時話が盛り上がったから、つい幻想パレードを引っ張り出してきて、遊んでしまった。


最初のメッセージはこれで決まり。

僕は家に着くなり、真っ直ぐ自分の部屋へ行くと、押し入れにしまってあるゲームソフト箱を取り出そうとした。


しかし、浮かれていた僕はすっかり忘れていた。

こっちの世界では、僕は今、ランブルギアしか持っていないことを。


口実を作れなくなったこともショックだったが、お気に入りのゲームコレクションが消失している事実の方がダメージがでかかった。


「そ…そんなぁぁぁ」


買い直さないと、僕は、あれも、これも、遊べないのか。

き、きつい。

四つん這いになって体を支えていた腕から力がなくなり、僕の頭は地についた。


一気に何もすることができなくなった。

僕は力なく椅子に座り、何をするわけでもなく、スマホで花尾間さんの番号を開いた。


うぅ、せっかく女子とスマホでお話できるチャンスだったのに…。

僕は未練がましく、スマホを見つめる。


せめて、お世話になったお礼だけでも送ろうかな。


そう思い、なんとなく入力画面までいくと、急に緊張してきた。


ただのお礼なら変じゃないよな?

返信のいらないような内容にすれば、花尾間さんを困らせることもないし、僕も返信がなくても傷つかない…はず。


「今日はありがとう…ございました。僕もお金を貯めて買おうと思いますブレイブブラスターズ…と」


こんな感じでいいかな?

同級生に送るにしては固いか?


「………」


大丈夫だよな?


このたった2行を、僕は何度も読み返し、その度に送信ボタンを押そうとするが親指に力が入らない。


やっぱり、下心だけでこんなことをするの、やめるか?


「………」


いいや、だめだ。

そうやって止めて、諦めて、次を待って、僕は今まで何を得た?

なんにもないじゃないか。

リスクを取れない者にリターンなんて無い。

コスパなんて言葉はまやかしに過ぎない。


「えーい!なるようになれ!」


僕は目を思いっきりつぶると共に、送信ボタンを強く押した。


お、送った。

後はどうとでもなれ。


メッセージ一つ送るのに疲労困憊になりながら、ゆっくりと目を開けて画面を確認する。


おっ?


もう既読になっている?

まったく予想していなかった事態に、見間違いではないかとじっくり確認してしまった。


これって、早くない?

スマホをちょうどいじっていたとしても早すぎない?

ってことは…。


僕はちょっとドキドキしてきた。

ひょっとして、向こうも僕にメッセージを送ろうと。


と考えていた時に、なんと本当に花尾間さんからメッセージが届いた。


「こちらこそ、大変勉強になりました。またよろしくお願いします」


最後にお辞儀をするスタンプが添えられる。


僕の淡い期待を遥かに凌ぐ素敵なメッセージがそこにはあった。


これは、もう少し話を続けるチャンスじゃないか?

僕の集中力は一気に高まり、何を送るか考える。


やはりここは幻想パレードを話題にしたい。

あれなら、花尾間さんものってきてくれる可能性が高そうだ。

でも、なんて送ったらいいか。

ゲームソフトを引っ張り出して口実を作ろうとして失敗したばかりだし。


いや、その失敗をそのまま送ってみるか?


「幻想パレードが懐かしくなって、久しぶりに遊ぼうとしたけど無くなっていた。つらい」


こ、こんな感じでどうだ?

スタンプなんて買ってないから、それっぽい顔文字を入れて。

気分がハイになっておかしくなっているのを自覚したが、このままいっちゃえと思い切ってみた。


「………」


既読がついたが、果たして。


「それはつらいね。せっかくの思い出なのに。よかったら貸してあげようか?」


天使か!?

そう思ってしまうくらいの返事が返って来た。

僕はうれしすぎてスマホを両手で握った。


「本当に?どうしようかな。もし遊ぶならー…」


こうして僕は、花尾間さんとしばらくスマホでやり取りを続けた。


そのやりとりを僕は寝る前に何度も読み返し、喜びに浸った。


花尾間さんと、もっと仲良くなりたいな。


最後にもう一度そう願い、僕はゆっくりと眠りについた。


第6話 -完-

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