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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
33/133

第6話:ゲーマーの休日02

「………」


どうしたらいいのかわからず、とりあえずジュースを一口飲む。


「………」


ちらっと花尾間さんを見てみると、彼女も勝手がわからず、カーペットを眺めているようであった。


「………」


次に関泉さんを見てみると、いつの間にか雑誌を読み始めていた。

あれが身長の事が載っていたやつだろうか?

じゃなくて。


「本当だ。現内くんってちょっと大きいんだね」


と、今度は関泉がこちらをちらっと見てきた。


「う、うぐ」


というか、なんで関泉さんがその話題を?

さては…といった気持ちで花尾間さんを見る。


花尾間さんは申し訳なさそうに肩をすくめていた。


まぁ、こっちの世界の人間ではない僕にとっては、身長が高いことを言われてもたいして侮辱ではない。

むしろ、たとえ笑い話でもこの二人の会話に僕が登場したことがちょっぴりうれしかった。


少し気がほぐれる。


「その、花尾間さん。さっそくだけど、ブレイブブラスターズを見せてもらえますか?」


「う、うん。いいよ」


花尾間さんは机の下に手を伸ばし、段ボール箱を差し出してきた。


「どうぞ」


「どうぞって、まだ未開封だったの?」


「うん、昨日の夜開ける予定だったけど、せっかくだから二人が来てからでもいいかなと思って」


「へへ」と笑う花尾間さんに、少しキュンとした。

このなんて事ないことに「せっかく」が付くと、お裾分け感があって和む。


「よし、じゃあさっそく」


と関泉さんがダンボールのガムテープを剥がし始めた。

花尾間さんは、それをいつもの事のように見ている。


ダンボールの開封でさえ他人にやられたくない僕にとっては不思議な光景であった。

それだけ二人の間には信頼関係があるのだろう。


「二人って、いつから友達なの?」


そう聞いてから、自分でも少し意外だった。

こんなプライベートな事をすんなり話題に出せるなんて。


関泉さんは開封を中断して、花尾間さんと見つめ合った。


「小学五年生の時から、なんだかんだずっと一緒だけど…」


「うん、その前からお互い知っていたは知っていたよね」


「じゃあ、なんで仲良くなったかと言うと」


「やっぱり、スタースマッシャーズでしょ」


「あはは、そうだね。懐かしい」


僕がきっかけとなり、女子二人が思い出話に花を咲かせ始めた。


スタースマッシャーズは、世界中で人気がある格闘ゲームの一つ。

他の格ゲーとは違い、相手を倒すのではなく、相手をステージから追い出した方が勝ち。

暴力的な演出が少なく、複数人同時対戦できることから、パーティーゲームとしても楽しまれている。

また、必殺技はあるがコマンドが存在しないのですぐに遊べる。


「本当は大人数で遊びたかったけど」


「いつも二人だったよね」


僕もそのゲームは大好きで、小学生の頃はよく友達と遊んだものだ。

勝ち負けはあまり関係なくて、また何か面白い事が起こるんじゃないかと、それが見たくて永遠と遊んだ。

未だに遊んでいるのは、僕だけだろうけど。


「二人の小学校では、そんなに流行っていなかったの?」


「んー、男子は遊んでいたみたいだけどね。女子はもう他の事に興味が移ったっていうか」


「私達じゃ男子に混じれないし、向こうも嫌だろうしって」


「そっか」とだけ僕は返事をした。


そして、再び思い出話に耳を傾けながら、つい考えてしまった。

人見知りで、ゲームが好きで、花尾間さんって僕に少し似ているかもしれない。

僕にも、関泉さんみたいな友達が近くにいたら、少しは人生違っていたかもしれないな。


「あ、涼奈。現内くんが暇になっちゃっているよ」


少しボーとしてしまったようで、花尾間さんに気を遣わせてしまった。


「女子の思い出話に興味を示せないとは…」


嘆かわしいと言いたげな様子で、関泉はダンボール開けを再開した。


中から出てきたのは、ゲームソフトとポスターとサウンドトラックと絵が入った湯呑。


「「「おー」」」


なんか豪華な中身に、しばし三人で眺めてしまった。


こういうのって集め出すと、お金がかかるから避けて通ってきていたが、こうやって目の前にするとほしくなるな。


「サウンドトラックも後で聞かせて、あの清水さんが作曲しているんでしょ。魔法凱旋のBGM作ったあの」


「有名な人なの?へぇ」


感情の起伏があまり見えない関泉さんが興奮している。

何かしらのオタクなのかもしれない。


「関泉さんって、RPGも遊ぶの?」


「うん」


なんか、いつもより反応が早かった。


「なんでもやっているわけじゃないけど、凱旋シリーズは大ファンで、もうクリア済みのリメイク作でもしっかりやり込むわ」


関泉は一気にそう言って、なぜか誇らしげだった。


「そうなんだ。僕は魔界凱旋なら遊んだけど。ノーマルでも難しかったなー」


「それがいいんじゃない。進んだシナリオと費やした時間の割が合わないのが楽しいの」


「ふふふ」と笑う関泉さんを見て、これは思っていたより根が深いと僕は思った。


「もう、そんなんだからいつも寝不足なんだよ」


花尾間さんが関泉さんを叱りながら、ソフトケースから円盤を取り出した。

それをゲーム機へ入れて、テレビをつける。


よし、いよいよ遊べる。

そう思った矢先、三人共忘れていた。

まずはゲームをゲーム機にインストールしないと遊べない事を。


三人の雑談は続く…。

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