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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
32/133

第6話:ゲーマーの休日01

突然ですが、僕はとあるマンションの一室に招かれている。


「ちらかっているけど…」と案内された先は、シンプルではあったが紛うことなき女子の部屋であった。

そう僕は今、花尾間さんの部屋にいる。

ちなみに関泉さんも一緒にいる。


「適当にくつろいでいて」


そう言って花尾間さんはリビングの方へ行った。


関泉さんは慣れたようにベッドに腰掛ける。


ぼ、僕はいったいどうすれば?

立っているのも変なので、とりあえずテレビと向かい合うようにカーペットの上に座った。


「座布団使ったら」


「そ、そう」


僕は部屋の隅に置いてあった場布団を取って、下に敷いた。


「…」


「…」


あぁ、ついに女子の部屋にお邪魔する日が来たが、緊張感がやばい。

何が失礼に当たるかわかったものではない。


どうしようもない僕は、こうなった経緯をなんとなく思い返すことにした。

あれはたしか、交流戦の片付けが終わったあたりで…。




河船さんに勝利した僕は、トーナメント優勝を賞してもらい、これまた全勝という結果で交流戦は幕を下ろした。

全員の前でコメントを求められたが、河船さんの事が頭から離れなかった僕は、人前で話す事に慣れていないことも相まって、ふわふわしたことしか言えなかった。

それでも温かい拍手をくれるのだから、しっかりやればよかったと後悔した。


閉会式も終わり、しばらく他校と交流する時間があった。

優勝したということもあり、色々な人が僕に声をかけてくれた。


中には僕に敗れた人もいるのに、笑って称賛してくれたのがすごくうれしかった。

みんな気持ちのいい人たちで、交流戦に参加できて本当によかったと思った。


最後の方で河船さんに、「次は負けない」とにらまれた時は驚いたけど、これってライバルってやつかな?と思ったら悪い気はしなかった。


そして、他の格ゲー部が帰った後、僕らは片付けに入った。

僕は朝と同じく部室の担当になり、関泉さんの指示のもと、せっせと働く。


ほとんど終わったかな、と思って部室を眺めている時に、関泉が話しかけてきた。


「そういえば昨日、ブレイブブラスターズの発売日だったわね」


ブレイブブラスターズとは、ランブルギアとは別の会社が出している格ゲーである。

ランブルギアと比べると、システムがシンプルで遊びやすいゲームになっている。

大きな大会の開催は聞いたことがないが、人気タイトルの一つではある。

もしかしたら、こっちの世界ではバンバン大会をやっているかもしれない。


「そういえば、そうだったね」


僕は、こっちの世界のことで手一杯だったので、すっかり忘れていた。

というか、元の世界と発売日が一緒なことに少し驚いた。


「あれ?もしかして買ってないの?」


「うん、ちょっとお金がなくてね。すぐにでも遊びたいんだけど」


「たはは」と笑っていると、また関泉さんが少し考える素振りをみせる。


「涼奈、こっちは終わったよ」


すると、体育館の片付けが終わり、花尾間さん達が部室へやってきた。


「あ、いいところにきた」


「なに?」


「明日、私と現内くんで遊びに行ってもいい?」


「へっ!?」


割と大きな声で花尾間さんは驚いた。


普段おとなしいイメージがあるけど、もしかしたらこっちのボリュームの方が素なんじゃないか?

もう何回かこの大きさで聞いている気がする。


「だめ?予定あった?」


「あ、えと、あー」


一瞬僕のことをチラっと見て、花尾間さんは言葉に困っている。


「あの、関泉さん、話がみえないんだけど」


リアクションは取らなかったが、内心僕も驚いていた。

僕も花尾間さん家へ行く?どういうこと?


「蓮子、ブレイブブラスターズを限定版で持っているのよ。せっかくだから、三人で遊びたいなって」


それはうれしいお誘いだが、そのとぼけた言い方の裏には何もないのか?

同じ部員とはいえ、そんなに親しくない男子が家に上がり込むなんて…。

というか、僕が暇なのは確定だったんですか?


ここは僕から断った方がいいのかな?なんて思いつつも、ブレイブブラスターズやりたいって気持ちと、女子の部屋へ行ってみたいという気持ちで、花尾間さんの返答をただただ待った。


うー、小さく唸りながら悩む花尾間さん。

大丈夫、わかっているよ。と心の中でフォローする僕。

おねだり視線を送る関泉さん。


「じゃ、じゃあ…」


そしてついに花尾間さんの口が開いた。


「お昼過ぎからだったらいいよ」


「やったー」


と、関泉さんがなんだかわざとらしく喜ぶ。


「えと、その、本当にいいの?」


「えっ?う、うん、平気だよ」


心配になり過ぎた僕はつい確認してしまった。

その代償として、ちょっと本音を聞いてしまうことになった。

いや、平気って言い方でも問題無いんだけどさ、僕の思い過ごしかもしれないけどさ。




こうして僕は、花尾間さんの部屋に座っている。


勉強机があって、ゲームする環境があって、ベッドがあって、普通の部屋だとは思うんだけど、ちょっとした所にさりげなく小物とか写真とかあるのが、いかにも女子の部屋といった感じだ。

あんまり眺めちゃいかんと思いつつも、つい目が泳いでしまう。


「ひょっとして緊張している?」


「ま、まぁね」


「ふーん」


関泉さんのからかいに、いまいちな返事しかできない。


「よかったらどうぞ」


花尾間さんが、ジュースを3つ持って来てくれた。


「どうぞ」


「ど、どうも」


「どうぞ」


「ありがとう」


二人がジュースを受け取ると、花尾間さんもテレビの前に座った。

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