表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
25/133

第4話:住めば都かスクールライフ06

あれから、さらに対戦を重ねて、今日の部活動は終わった。

終わりのミーティングで、週末に開催される交流戦について簡単に説明される。


午前中は、強い順に4グループに分けて対戦。

お昼休みをはさみ。

午後は、ランダムに対戦をしていき、最後にトーナメントを行う。

その表彰式をやって、解散。


大規模なオフ会とか、こんな感じなんだろうなと思う内容だった。


1点驚いたのが、新人に対戦内容を記録するという仕事があることだった。

全部の対戦を録画することはできないから、将棋でいう棋譜みたいなものを書いて、配布するらしい。


勝者・ラウンド先取順・残り体力とゲージ・先制攻撃・画面端を背負う回数など。


いや、これ難しくない?

反射で書けるように練習する必要があるじゃん。


当然、僕以外の新人は入部してから部活中に練習済みだった。


なので、僕は今日居残り練習を課せられた。

そんな僕に、屋良さんと箕内さんが付き合ってくれた。


「ほーら、屋良は中段に弱いなー」


「うるせー、下段ガードは基本だろ」


部活中ではないせいか、屋良さんと身内さんは楽しげに対戦をしている。

それを僕が記録を取っていく。


「はい、はい、はいおしまーい!」


「箕内てめー、部活じゃないからって…」


舐めプレイぎりぎりの攻めに、屋良さんは敗れた。


「いぇーい、それで、書けたかい現内くん?」


ガッツポーズを取ったまま、箕内さんが僕の記録用紙を覗きこんだ。


「書き直すところがありますが、たぶん…」


「ふむふむ」


箕内さんが用紙を手に取って、チェックを始める。


「じゃあ、録画と照らし合わせてみようか」


一通り眺めた後、今度は内容確認がされる。


「おーさすがだね。初めてなのに抜けが無いや」


「マジか、俺はだいぶ苦労したぞ」


どうやら、合格ラインは超えれたようだった。


最初はどうなるかと思ったけれど、記録用紙がだいぶ書きやすいように作られていた。

しかも、書き終わった記録を見ると、対戦内容をすごく思い出しやすい。

これを100枚くらい溜めたら面白いかも。僕はそう思った。


「あとは、今週の部活で数をこなしていけば、問題無いでしょう」


とお墨付きをいただいたが、今週は対戦できないことがあきらかになった。


「ぜんぜん問題なかったし、じゃあ、帰りますか」


屋良さんはゲームの電源を切った。


僕は、今なら部活中に浮かんだ疑問を聞けるのではないかと思い、軽く咳払いをする。


「あ、あの」


「ん?」


「少し、聞きたいことがあるんですけれど…」


「おっ?どうした?」


片付けをしていた屋良さんが、椅子に座り直した。


あ、というか、片付けは新人の僕が率先してやることだったんじゃ…。と不安になったが、一旦頭の片隅に追いやる。


「その、高校の部活と、ゲーセンのチームって、どう違うのですか?」


「違い?」


「はい、チームに入るのはお金がかかりそうだから基本的に大学生以上かなと想像しているのですが、高校生でも入ったりするんですよね?だから、どういう風に選択するのかなと」


「そうだなー…」と屋良さんと身内さんは目を合わせて考え始める。


「乱暴に言えばだけど、ちょっとでもプロ希望があるならチームじゃない?」


少し経って、箕内さんがそう答えた。


「んー、まぁ、そうかもなー」


屋良さんも、納得し難い様子だったがそれに同意する。


「それは、なぜですか?」


「そうだな、強い人と対戦するには、それしかないからかな」


屋良さんが言うには、ようするにこういうことらしい。

ネット対戦は、ランクアップに時間がかかるため、最短で強くなりたい人はやっていない。

ゲーセンや学校のフリー対戦で強すぎると、場が白けてしまうので、強い人は来ない。

部活だと、後輩の面倒をみたりと他に時間を取られるので、対戦に集中したい人は来ない。

故に、チームじゃないと本気で切磋琢磨できないということ。


やっぱり、そんな感じだったか。

ぼんやりと思った僕の予想と、そんなに違いはなかった。


ゲーセンは基本的にチームで貸し切っているし、ネットは入場制限がある。

部活の楽しそうな雰囲気はいいけれど、真剣に研究しているといった感じではない。

僕が感じた、息苦しさに似たような感覚の正体が見えてきた。


「もちろん、部活でもチームに負けないくらい練習している所はあるよ」


「ただ、以前も言った通り、うちは楽しむことを前提にしているけどね」と屋良さんは付け足した。


「では、ちょっと話を変えますが、僕の記録取りの練習中に箕内さんがやった最後の攻め、あれは部活だとやってはダメなのですか?」


たしかにあれは嫌がられてもしょうがないやり方だったが、最後の詰めの選択肢としては「あり」だと僕は思っていた。


「あー、あれか。これも部活からプロを目指さない理由の一つかもね」


箕内さんは頭をかしげながら言った。


「部活なんだからハメは無し、っていう暗黙のマナーみたいなものがあるんだよ」


なんだかなー、と言いたげな感じで身内さんは教えてくれた。


「もしかしてですけど、「起き攻めループ」や「ガン待ち」は禁止ですか?」


「んー…、実質禁止かね?それで勝っても実力じゃないみたいに取られるみたいな」


なるほど。

元の世界でも、そういうのを嫌っている層はけっこういる。

それが、部活と言う教育環境で「礼儀」いう形で文化になったのかもしれない。


だから、部活動だと今ひとつ強さが足りないのか。悪いことではないけれど…。


僕は、また一つこの世界について理解を深めた。


それと同時に、わずかな不安が残った気がした。


第4話 -完-

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ