第22話:これが僕の06
相手の投げすかりに中攻撃を当て、足払いでダウンを取る。
投げ無敵のある攻撃で安全に起き攻めを行い、シハラのラッシュで相手のガードを揺さぶる。
一本目の反省がすでに活かされているのか、ジャンプしたくなる僅かな隙を作っても相手は動かない。
なるべく距離を詰めているが、それでも徐々に離れていってしまう。
相手が固まっているなら投げたいところだが、ここまで離れてしまうと反応されてしまうのは確実だろう。
あと1連携をガードされたら、完全に離れてしまう。
ゲージを使って確実に距離を稼ぐか、ゲージを温存して無理に攻めるか。
僕はボタンを押しつつ、この二択に悩まされる。
クラマのスタミナはすでに満タン。もし反撃を受ければ大ピンチを迎える。
しかし、ゲージを使ってしまっては、ガードを崩す手段が投げだけになってしまう。おそらくこの流れでは不可能な気がする。
僕は、ジャンプキャンセル可能な攻撃をガードさせ、デュレイをかけて低空ダッシュする。
あまり期待できないが、もしかしたら一瞬必殺技と間違えて相手の判断が遅れるかもしれないと考えた。
けれど相手はライジング出場者。
なんなく対空技でカウンターを取ると、空中コンボを決めてシハラを叩き落とし、クラマをスタンバイさせる。
くそっ…。
無謀なのはわかっていたが、この結果は悔やまれる。
このまま負けることだってありえる。1つのミスが命取りになりかねない。
ここは無理できない。そう思ってガードしていると、なんと相手はクラマを動かさずに投げてきた。
しまった!
さきほどの失敗を引きずってしまい、投げのケアを怠ってしまった。
トンフーの投げ中に、クラマは発生の遅いガード不能技を準備している。
クラマのスタミナが半分以上あり、トンフーの投げが決まった時に限り、この回避困難な連携をすることができる。
脱出手段はゲージを使ったガードキャンセルだけだが、温存していてもまだ足りなかった。
シハラはその凶悪コンボを食らってしまい、一気に体力を奪われる。
このコンボの唯一の欠点は、相手をダウンさせられない事。
シハラは空中受け身をとると、一旦距離をとって着地する。
そのまま攻めていってもまだクラマいるのでカウンターをくらってしまうからだった。
すると、相手はクラマを連れて攻めてきた。
てっきりクラマを休ませると思っていたが、どうやらここで勝負をかけるらしい。
分が悪いが、シハラにとってはそこまで悪くない展開だと思った。
機動力が低いシハラで、この体力差があった場合、攻めさせられる方がきつかった。
僕は相打ち覚悟でクラマの出足を叩く。
なんと、クラマは予想とは違う攻撃を出していたようで、シハラの攻撃だけが当たり、クラマは行動不能になった。
それでも、シハラは攻撃モーション中なのでトンフーが攻め上がってくる。
トンフーは、ここまで溜めてきたゲージを使って確実にシハラの反撃を止める。
そして、弱攻撃からの当て投げ。
そこまで僕の予想通り。
僕個人の経験則だが、クラマをアグレッシブに使ってくるタイプの人は、投げも積極的なパターンが多い。
今度は垂直ジャンプで投げを躱す。
これならジャンプ攻撃を当てられる。
下方向に強いジャンプ大攻撃から始まり、しっかりとダメージをとる。
ここで、わざとダウンさせずに攻めを継続させる。
クラマが回復する前に、できる限りトンフーから距離を離すためだ。
相手はさきほどゲージを吐いているためガーキャンは無い。
一転してシハラ有利な状況。
仕返しと言わんばかりに中段でガードを崩し、さらにダメージが増す。
おまけにゲージを使って相手を画面端まで吹き飛ばす。
すぐに追いかけ、相手のジャンプを阻止する。
こうなったら相手が実力者であろうと簡単には逃がさない。
ゲージが溜まるまで、どれだけダメージを与えられるか?
オーソドックスな攻めだが、迷いの無い固めで相手の翻弄する。
相手はゲージが溜まる前に、一部の望みをかけてジャンプしようとしたが、そこにシハラ自慢の下段攻撃が刺さる。
コマンド入力の猶予も長い優秀な技なので、ヒット確認からしっかり超必殺技に繋ぎ、ほぼピッタリ相手の体力をゼロにした。
これで2本先取。
あと1本で僕は二回戦へ進出できる。
頭は冴え、視界がとてもクリアになっている。
いける。いけるぞ。
シハラの勝利ポーズを見ながら、僕はすでに次の開幕の事を考える。




