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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
118/133

第22話:これが僕の02

ぞろぞろとスタッフに連れられて歩いていくと、大きな扉の前で止まった。

会場手前のせいか、通路はさらにごちゃごちゃとしていて薄暗い。


「ここで少々お待ちください。合図がありましたらステージに上がっていただきます。ステージで別のスタッフが案内しますので、そこでチーム毎に一列に並んでください」


スタッフが振り返り、ここから先の段取りが説明された。


前から順番に進んでいき、チームで整列する。

小学校、中学校、高校とやってきたことがここでも行われている。

やってきたことなのだが、なぜかやり方がわからなくなる。

緊張しているせいなのか、今まで真面目に取り組んでこなかったからなのか。

まさか、学校外でも必要になるとは思ってもみなかった。

人前で恥をかきたくないと気持ちが膨れ上がってくる。


「現内くん」


「は、はい」


「こういうのはもっと気楽に構えていてもいいんだよ」


東錠さんが僕をやさしくフォローしてくれる。


「そんなものでしょうか?」


「この大会のメインはなんだい?」


「メイン?えーと、対戦ですか?」


「そう。だから、それ以外は肩の力を抜いて。それが行事をうまくこなすコツ」


密かに大人の見本として見ている東錠さんのアドバイスにしては、意外な内容だった。

てっきり僕は、すべてにおいて真面目に取り組んでいると思っていた。


でも、案外そんなものなのかな?とも僕は思った。

要領良くと言うと少し印象がよくないが、心の中でそういう折り合いを付けておくのは大事なのだろう。


そう思うと、少し気が楽になった。

良く考えれば、僕はチームの一番後ろ、ただ皆についていけばいいんだ。


扉の向こうでは司会者が会場を盛り上げているのが聞こえる。

そして、「選手入場です!」と大きな声が聞こえ、音楽が流れ始めた。


「それでは、ゆっくり入場をお願いします!」


音楽に負けない大きな声と共に、扉が開かれる。

薄暗かった場所がスポットライトに照らされ、目の前が真っ白になった。

爆音の音楽にも耳を支配される。


こ…怖い。やっぱり怖い。

僕は、本当にあの先へ行くのか?

一人ぼっちで格ゲーに引きこもっていた僕が?


なんて恐れをなしても、前にいた東錠さんが歩き始めると、置いてかれる方が怖いのでついて歩く。

扉を抜け、ステージを数歩行き、スポットライトからはずれると、今まで見たこともないすごい光景が広がっていた。


数えきれない程の人が、僕らを見上げている。

奥の方へ目をやっても人が途切れることなく詰まっている。

上の方を見てみると、いくつかのスポットライトがステージを照らしているのが見えた。

反対にステージ側を見てみると、映画館のような大きなスクリーンがあり、その横に司会者席があって、アシスタントと共に僕らを迎えてくれている。


すごい。

なんて煌びやかな世界なんだ。

これが…表舞台…。


恐れとか緊張とか、そんなものはむしろ吹き飛ぶような衝撃だった。

うるさかった音楽は気にならなくなっていて、頭が少しボーとする。

ここへ観光にでも来たような気分だった。ただただ、目の前のすべてが新鮮だった。


気が付くと足は止まっていて、他のチームの入場を待っている状態だった。

僕は観客席を眺め続ける。

ここの何処かに、関泉さん達が来てくれているのだろうか?

探してみたが、顔がわかるのはせいぜい五列目くらいまで。あとはさっぱり。


「すべてのチームが出そろいましたー!」


司会者が進行を再開して、大会の流れやルールを楽しく説明している。

僕は話を聞きながら、周りの様子を伺ってみた。

皆前を向いて、どうどうと立っている。

僕もつられて背筋を伸ばした。


「では続きまして、個人戦のトーナメントを発表します!」


後ろにあったスクリーンに表示されたので、選手全員が振り返った。

大きなトーナメント表が映し出されている。


ここに、僕の名前が…。

こんなところまで来ておいて、本当に僕の名前があるのか不安になる。


………。

ない、ないぞ?


一回戦から順々に見ていって、なかなか出てこない。


「あ、最後じゃん」


南宝さんが少し身を乗り出して、僕に聞こえるように言ってくれた。

一回戦の最後を見ると、たしかに"現内(げんない)巴伊都(はいと)"と書かれていた。


よかったぁ。

僕は混乱しているのだろう。自分の名前を見て安心した。


えーと、じゃあ対戦相手は…?

僕の隣の名前を確認する。


天抜(てんぬき)(そう)

チーム:ブルーオパール モノレ□○駅前店


「あっ…」


これはなにかの偶然だろうか?


モノレは、僕の家から一番近いゲーセンで、

ブルーオパールは、栄樹さんと一緒によく観戦していたチーム。


"どうしたら、あの人達と対戦できるかな?"


あの一言が、ここへきてついに繋がった。

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