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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
113/133

第21話:ライジング前日03

電車を降りました。


程なくしてそう連絡が来た。

まったりと対戦を眺めていた僕に、ピンと緊張の糸が張る。


いやいや、あの二人とはほぼ毎日会っているじゃない?休みの日に家へ遊びに行ったりもしたじゃない?

だから…その…。ダメだ、やっぱり意識してしまう。


強がって少し笑ってみるものの、どうしようもない。


心の中でそうこうしている内に二人はやってきた。

僕を見つけると、花尾間さんが手を振ってくる。


花尾間さんは、ゆったりとしたシャツにハーフパンツ?と動きやすそうな服装で、

関泉さんは、落ち着いた色のワンピースと涼しげな格好をしていた。

私服で、夏ということもあり薄着、二人は女子なのだと改めて感じると、出会って間もない時ようなあたふたした気持ちを思い出す。


「お待たせ」


花尾間さんがゲーセンを見渡しながら言う。


「いやいや、ゲーセンにいれれば何時間でも待てるよ」


「ふふ、そっか。お店どうしようか?」


「僕はどこでも」


「そう?涼奈は?」


「わ、私も…どこでも…」


関泉さんがなんだか他人行儀に見える。

両手で小さなバッグを持ったまま、一瞬目が合ってから下を向いてしまう。


でもなんだろう?それ以外にも何か変わっている気がしたのだが?


「えー…、これじゃ決まらないよ。現内くん、どこかないの?」


「えっと、そうだな」


ここら辺だとファストフード店にしか入ったことがない。

だが、今日は違うお店に行った方がいい気がする。

僕は駅周辺を頭の中に思い描きながら、どこがいいか考える。


「そうだ。ちょっと離れているけど、結構大きめのファミレスがあった気がする」


「いいかも、広ければこの時間でも待たずにすむかもしれないし」


ファミレスと言ってから、いいのか?と一瞬不安になったが、花尾間さんが賛成してくれた。


「涼奈もいいかな」


「う、うん」


やっぱり関泉さんの様子?雰囲気?がちょっと違う。

まるで周りの視線を気にしているような、少し落ち着きがない感じ。


「………」


「な…なに?」


「あ、えと」


どうしたのだろう?と不思議に思っていたら、どうやら見続けてしまっていたようで、関泉さんに不審がられる。


「………」


「………」


あ、あれ?いつもなら、ここらへんでチクリと一言ありそうなんだけど…。

関泉さんが、じっと僕の言葉を待っているように見える。


「えーと…」


適当に服なりなんなりを褒めれば済みそうな気がしたが、そんな気の利いた事が言える僕なわけがない。

かといって、黙ったままなのはあきらかにおかしい。


「い…今までどこに二人で行っていたの?」


「…えっ?」


「えっ?」


あれだけ僕の目を見ていたのに、まさか聞こえていなかったのか?

まぁゲーセンの内だし、こういうこともあるかも。


「どこに行っていたの?」


「あっ、あぁそれは…」


「お話はお店に行きながらにしよう。私お腹すいたよ」


「そ、そうだね」


花尾間さんに催促され、僕らはゲーセンを出るために階段へ向かう。

僕の前を、関泉さんと花尾間さんが並んで歩く。

二人の後ろ姿を見ながら、何が違うんだ?と僕は考えた。


お店を出ると、僕にお店を案内させるために、二人が振り返る。


「あっちだよ」


僕は歩く方向を指さす。

それに合わせて二人は指さす方向を向いた。

先の方がよく見えなかったのか、関泉さんが奥を覗きこむように顔を向ける。

そんな関泉さんの横顔が、僕から見える。


関泉さんって、けっこうまつ毛長いな。

学校じゃ気がつかなか…。

あっ…。


今日関泉さんは、化粧をしているのか。


気が付かなかったんじゃなくて、今日はまつ毛が長くなっているのか。

よく見ると、唇もうるおっているような気がする。

はっきりとした色が使われていないから今までわからなかった。

でもこうして見ると、背が小さくて小柄でも、なんだか年上のお姉さんに見える。

化粧って全然知らないからあまりいいイメージを持っていなかったけど、こんな風に印象を変えてくれるものだったんだ。


って、女子の顔をよく見るってまずいだろ!

はっとして視線をそらすと、それよりも前から僕を見ていたらしい花尾間さんと目が合った。


「どうしたの?」


と質問してきたが、答えを知っているかのように微かに笑っている。

まるで、僕が化粧に気が付いたのを察したかのようだった。


「ううん、なんでもない」


関泉さんを見つめてしまった事を知られて恥ずかしくなり、僕は率先して二人の前を歩き始めた。


「こっちだよ」


あくまでも平然を装うが、花尾間さんからしたら不自然そのものかもしれない。


心臓がドキドキする。

なんども言うが二人は女子だ女子高生だ。学校ではしていなくても、休みの日の外出では化粧をしていてもおかしくない。むしろ自然だ。

もしかしたら、僕がまったく気が付かなかっただけで、遊びに行った時もしていたに違いない。


じゃないと…。

僕と会うから化粧をしてきたみたいじゃないか。


そんな妄想が暴走を続け、さらに自分が恥ずかしくなっていく。


後ろで二人がなにやらちちくり合っているのがわずかに聞こえてくる。

いったい何を話しているのか?

まさか、僕が関泉さんを見ていたことをチクられている?

耳をすませてみても聞こえない。


僕は羞恥心と戦いながら、二人をファミレスへと案内した。

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