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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
107/133

第20話:約束は力となる03

10秒くらい待つと、屋良さんが話し始めた。


「もしもし、ひさしぶりー、今大丈夫?」


なにやら親しげに亀里?の誰かと話している。


「うん…うん…、そう、それに関係ある話。

練習するのは当然として、でもさ、メンタル面って結構適当になってない?

………。

だろ?だからさ、これからお互いの部活から数人集めて、情報交換しない?

………。

そういうなって、俺ら高校生だぜ?二時間くらいどうにでもなるだろ?」


えっ?亀里の人達と集まる?しかも今日?

思い付くことが大きい上に、行動に移すのが早い。

事の出発点が僕なだけに、徐々に恐くなってくる。こんなこと、迷惑にならないのだろうか?

なんて思っても、僕はもう止めることもできず、ただ事の成り行きを見守った。


「………。

よし、じゃあ決まりだな。あっそうそう、そっちは絶対に河船さんを連れてきてね。

…こういうのには来ない?

んー、じゃあ箕内が誘っているって言って」


…なんてことをさわやかに言うんだこの人は。

人の弱点をつくことに躊躇が無い。

悪い話ではないからかもしれないけど、いいものなのか?

僕は人付き合いについて考えさせられた。


「行くって?よかった。こっちとしては主役だからね。

じゃあ〇○駅のファミレスにいるから、最速で来てよ。

………。

まぁまぁ、たまには他の部員に任せなよ。どうせ部長の全部お前がやってきたんだろ?

それじゃ引退した時に二年生が苦労しちゃうよ?

………。

そうこなくっちゃ。じゃあまた後で」


屋良さんが耳からスマホを離す。


「聞いてた?じゃあ、こっちはこの四人で行こうか」


「やった。面白そうじゃん」


「マジか、まぁいいけどさ」


「えっ?もう行くんですか?」


うぅ、これがネットで陽キャと言われている人種なのか?

生きている時間の流れが早すぎる。


この部活に馴染むだけでも大変だったのに、まだ上があった事を知って軽くショックを受けた。

充実した学生生活とは天井知らず。だいぶマシになったと思っていただけに、めまいがしてくる。


目を回していると、背中をつつかれた。

振り返ると、関泉さんと花尾間さんが並んでいる。


「帰らないの?」


雰囲気を察してか、関泉さんは静かにそう聞いてきた。


「う、うん。これから亀里の人達と会うことになった…」


なんか、仲間外れにしたような気分になる。


「………」


僕の気のせいかもしれないけれど、関泉さんが少しさみしそうにした気がした。

…ぐっ、胸がなぜか締め付けられる。


「それって、私達も行ける?」


「えっ?」


なんと、関泉さん達も参加を表明してきた。


「すみませーん、それ私も乗っていいですかー?」


さらに、どこから聞いていたのかわからないが、栄樹さんも名乗りを上げる。


これで一気に三人も増える。

合計で七人。もし向こうも同じ人数だったら14人。この時間帯のファミレスに入るだろうか?


何とも言えず、僕は隣で聞いていたであろう箕内さんの方を見た。

箕内さんは僕と目が合うと、ふっと逸らして考える。


「んー…、ちょっとなー多いかな。

まず言いだしっぺの現内くん、部長の屋良、志弥ちゃん用に私。削れても渡辺だけど…」


「おい、俺は行くぞ」


「あれ?そんなに乗り気じゃなかったと思うけど?」


「…っ、ここまで来て途中で降りられるか」


と悩み始めると、自然とみんなの視線が屋良さんに集まる。


「いやー、積極的に参加しようとしてくれるのはうれしいけど、さすがにこの人数はきびしいかな?

だから申し訳ないけど、今日は最初の四人だけ。

好評だったら、またやるから。その時は事前に連絡するよ」


屋良さんは両手を合わせて、三人に謝りながらそう告げた。


もうすぐ引退する屋良さんがまたやると言っている。

だから今回は諦めてくれと頼んでいる。

そう言われてしまっては、食い下がりにくく、三人は諦めたようだった。


「ちぇ、こういうことをするなら、今度からちゃんと私の事も考えてくださいね現内さん」


栄樹さんがふくれっ面で言った。


「…わかったよ」


こういうことがそう何度もあるかわからないが、とりあえず心にとめておく。


「しょうがないね涼奈」


花尾間さんが関泉さんを気遣う。

当の本人からはリアクションが無いが、花尾間さんの様子から残念感が漂ってくる。


「…現内くん」


「は、はい」


「あんまりはしゃいじゃだめ…よ…」


そう言い切る前に、関泉さんは目を伏せてしまった。


関泉さんの言っていることが、さすがの僕もその様子から伺えてしまった。

要するに、"他の女子にうつつを抜かすな"と言っている。こっちは告白までしているんだぞと。


関泉さんらしくないセリフと、それに耐えきれなかった仕草が、僕の感情をかき乱す。

関泉さんは待っていてと言っていたけれど、果たして本当にそれでいいのだろうか?


「ん?なんです?これ?」


栄樹さんが何かを感じ取り、割って入ってきた。


「しかたない。行こう、蓮子」


それをあえて無視するように、関泉さんは花尾間さんを連れて歩いて行ってしまった。


置いて行かれた栄樹さんは、何も言わない関泉さんを目で追い、次に何も言わず僕を見つめる。


「次は絶対ですからね!」


栄樹さんはそう言い残して、たぶん関泉さん達を追いかけて行った。


「おうおうおう…」


箕内さんの楽しそうな小声が聞こえてくる。

見てはいけない。そう思った僕は、箕内さんのいない方から振り返った。


「あはは、楽しそうだね現内くん。さすが!」


「ちっ」


これからこの四人で行くのだが、亀里の人達が来る前に僕は潰れてしまうかもしれない。

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