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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
106/133

第20話:約束は力となる02

もやっとした空気が三人の間に流れた。


なんだろう?

もっと色々聞けると思っていたのだが、思っていた感じと違う。

人それぞれなんてよく言われるけど、そういうことなのだろうか?


「うーん…もの足りなそうだね現内くん」


「えと、そんなことは…」


素直に話をしてくれたのは感謝しているが、期待値が高かっただけにちょっとだけ取り繕え切れない。


「みんなに聞かれていなくてよかった気がする」


渡辺さんがぼやいた。


「珍しい三人が固まっているわね」


するっと箕内さんが僕の横から現れた。

穴の中に頭を突っ込んだような姿勢をとり、三人の顔を伺っていく。


「何を話していたの?」


「あぁ、渡辺は大会前に手を…」


「おい!」


完全にツッコミ待ちの屋良さんに対して、素で止めに入る渡辺さん。

それが気に入ったようで、屋良さんはケタケタと笑った。


「なになに?」


「なんでもない」


渡辺さんはこの話を無かった事にしようとする。

たしかに、意中の女子の前でできる話ではない。


それがわかっていて仕掛ける屋良さん。

二人なら問題無いと思っているのか。それとも、ただ単純に面白がっただけなのか。


ちょっとだけ屋良さんのイメージが変わった。

完璧超人に、ちょっとした弱点を見つけた気分。

ただ、幻滅したとかはなくて、むしろちょっと安心できる感じ。


「僕が大会で緊張しない方法を聞いていたんです」


話が止まったままになっていたので、箕内さんにも聞いてみようと思い、僕から話題を教えた。


「大会?あれ?現内くんやっぱり出ることになったの?」


箕内さんは不思議そうな顔をして言った。


「違う違う、部活の大会じゃない。実は現内くん、ライジングに出場するんだって」


ちょっと旅行に行ってくる。みたいな感じでサラッと屋良さんが言った。


僕は思わずドキリとした。

が、こっそり言っただけで秘密とは言っていない。


箕内さんが一瞬止まる。

そして、首だけが回して僕の方に顔を向けた。


「マジ?」


「…はい」


遠慮がちに肯定する。

大きいリアクションをとられる事を恐れたが、もうどうにでもなれと諦めた。


「へぇ、すごいじゃん」


以外にも箕内さんの反応は控えめだった。

目を少しだけ細め、やさしく口元が笑っている。

まさに年下の男子を褒めるような、そんな笑顔。


今度はこちらにドキッとした。

不覚にも、あの日口に放り込まれた飴の味を思い出す。


ゴクリと喉を鳴らしてしまうと、渡辺さんのきつい視線に気が付いた。


「あ、ありがとうございます」


僕はあわてて意識を現実に戻した。


「なるほどね。あれだけ注目される大会に出るとなれば、プレッシャーも大きいってことか」


箕内さんは腕を組みながら納得してくれた。


「はい、箕内さんは何かやっている事ってありますか?」


「うーん…」


箕内さんが、屋良さんと同じような感じで考え出した。

嫌な予感がする。


「強いて言うなら、直前までいつも通りを貫く…かな」


と思ったが、ちゃんと答えが返ってきた。


「いつも通りを貫く、ですか?」


「そう、大会を意識し始めたなって思ったら、意識的にいつも通りの行動をするようにしている。

もうちょっとだけ練習しようかな?って思っても、いやいや、いつもはここで終わりでしょってやめたり。

大会前日もいつも通りにテレビを見て、当日にその話をあえてしたり」


「それは、なんでですか?」


「なんでだろ?単に私が一夜漬けとかしないタイプなだけかもしれない」


僕はそういう考え方もあるのか、と感心した。

非日常を考えてしまっても、意識して日常に戻す。

それはもう普通の状態ではないと僕は考えていた。

でも、じゃあどうすればいいのか?なんて知らない。

それならばいっそ、緊張してしまうのはしかたがないこととして、いつもの自分を演じて平常に近付ける。

100%は無理でも90%以上は出す。そう割り切った箕内さんらしい考えだと思った。


向いている向いていないはともかく、これなら僕でもすぐに実践できそうだった。

しかし、僕としてはもう少し求めたい。


僕は三人の話を聞いて、なにかヒントはないか考える。


「あっ、そうだ」


すると、箕内さんが手を叩いて何かをひらめいた。


「こういう話が得意そうな人が、たぶんいるよ」


「えっ?誰さ?」


屋良さんが箕内さんに問いかける。


「亀里高校の志弥ちゃん、じゃなくて河船さんだよ。あの子なら色々考えてやっていると思うんだよねー」


とやや上を向き、その姿を思い浮かべながら箕内さんは言った。


「…ほぉ」


屋良さんが意味深な反応をする。そして、少しだけ考えてこう言った。


「ならさ、亀里の人達と対談なんてどう?大会が近いし、お互いいい刺激になるかも」


これはいいアイデアと言わんばかりに屋良さんが提案する。


「おい、そんなこと急にできるのか?」


急な展開に、渡辺さんがついて行けずに制止する。

僕もその一人だった。まだ屋良さんが何をやろうとしているのか完全に理解できていない。


「待って、ちょっと聞いてみるわ」


そう言って、屋良さんはおもむろにスマホで電話をかけ始めた。

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