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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
104/133

第19話:熱帯夜06

つ…疲れた。


心地よい疲労感なんて思っていたのは、ミツルギを出て駅に着くまでで、電車に乗ってからはしんどくてしんどくてつらかった。

対戦回数なんて十回に満たないのに、この疲弊した体。


それだけ集中していたということなのだろうか?

いや、対戦と対戦の間隔も結構あった。

ということは、待っている間も休めていない?

思い返してみればそうかもしれない。


前回のプレイにミスはなかったか?

もっとやれることがあったんじゃないか?

次は誰とあたるのか?

次も勝てるのか?


考えることは山ほどあり、集中力も切らせるわけにはいかない。

大会は、試合中のみにあらず。


部活の交流戦の時は、対戦したいという意識だけで、勝ちたいという欲求はあまりなかった。

その時の僕は、格ゲーが楽しくできればそれでいいと思っていた。

だから、だた漠然と自分の出番を待っていた気がする。


けれど今日は違う。

明確な目的があり、勝たなければいけなかった。

同じゲームを、同じキャラで、同じようにプレイしたのに、こんなにも差がある。


実力を出す。普段通りやる。

それを大会で実現する難しさを、僕はようやく実感した。

総当たり戦でこれなんだ。

今のままでは、本番前に使い物にならなくなってしまうかもしれない。


付け焼刃かもしれないが、ライジングまでに少しでも克服しなくては…。


小さい頃に習い事の一つでもやっていたら、違っていたかな?

知らなかったとはいえ、ゲームしかしてこなかった今までを反省する。


そうだよな。

レギュラーとか、大会とか、優勝とか、経験するやつは小学校に上がる前から得ている。

生まれた環境が大きく左右するけど、それでも、歳を重ねる毎に言い訳してもしかたないほど歴然とした差がひらいていく。


僕は偶然この世界に来れて、逃げ込んでいたゲームが活きただけに過ぎない。

それも、このままではいずれ頭打ちだ。


生まれ変わらなくては。

自分に都合のいいことなんてたかが知れている。


強くなりたい。

自分のために、チームのために、未来のために。


電車から夜の街を見ながら、僕は格ゲー以外にすべきことを考えた。




………。

…考えたんだが、それで思い付くなら苦労は無い。

家に着くまでの間、それなりに思考を巡らせた。


まずは体力作り、軽いランニングとかから始めて、大会を乗り切るスタミナを養う。

精神面も疎かにできない。座禅とか、平常心を養うための方法はたくさんあるはず。

ゲームの研究だって忘れられない。今日の反省を活かして、大会に向けて仕上げなければ。


無理だ。できっこない。

体調を崩しかねない。


必要なモノをリストアップしても、それを実践する時間が無い。

焦る気持ちが膨れ上がる。


でも、何かしなくては…。


みんなはどうしているのだろう?


…みんな。


そうだ。みんなに聞いてみよう。

チームの人達には金曜日に聞くとして、明日は部活の人達に聞いてみよう。

こんなこと恥ずかしくて本来は聞けないが、そんなことは言っていられない。

ジンクスでもなんでもいい。

結局自分で考えついたことをやるにしたって、みんなも同じ事をやっているという安心感があるかもしれない。


そうと決まった瞬間、気持ちが楽になった。

まずは人に聞かなくてはいけないのだから、今日からは始められない。考えても仕方がない。

ようは、今日は何もしない言い訳が見つかったのだ。


まぁでも、それでよかったのかもしれない。

今日は本当に疲れた。

ご飯を食べて、お風呂に入って、今日はもう寝よう。

休息も大事なこと。


「ただいまー」


僕は、ドアの鍵を開けて、家の中へ入る。


戦士の帰還。

なんて言葉が頭に浮かんで、ちょっとだけ誇らしくなったりした。


第19話 -完-

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