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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
10/133

第2話:強者たる僕03

すみません。×身内→○箕内でした。

ミーティング後、部員たちは画面の数だけグループに分かれ、ゲームを起動し始めた。


僕は、屋良さんと箕内さんと男子生徒2名のグループに招かれた。


「現内くんって、どのくらいランブルギアをやっているの?」


ゲーム起動中に、箕内さんと少し雑談をした。


「いちおう、初代からやっています」

「うそ、すごい!」

「いえ、といいましても、対戦とかするようになったのは、2作目からですから」

「そこからメジャータイトルになったもんね。今までになかったシステムが多かったし」

「そうですね。自由度がグッと上がったと思います」


あれ?女子と普通に話せている?

話題が格ゲーだからなんだろうけど、不思議だ。

なんでこんなに違うのだろう?


「よし、まずは当然俺からだ」


キャラクターセレクト画面まで進めて、屋良さんが僕との対戦を申し出た。


「はい。よろしくお願いします」


屋良さんの隣に座り、アーケードコントローラーに手を添える。

ちょっと位置が低かった。


「お手並みはいけーん」


箕内さんと他のメンバーが盛り上がっている。


ここへきて、突然緊張してきた。

今更ながら、ご期待に応えられなかったらどうしよう?と不安になった。

よく考えれば、加藤と違い、この人達はまじめに練習しているはずだ。

となれば、僕以上である可能性の方が高くないか?


しかし、もう後には引けない。

朝と同くシハラを選択する。


屋良さんは、アドという少年キャラを選択していた。

このキャラは最初弱いが、相手に攻撃を当てる毎に強くなっていくという職人好みの性能を持つ。

見た目がかわいい少年だが、使用率は低い。

部長=部最強という法則も加味すれば、相当やり込んでいるはずだ。


これをランクアップマッチと思うんだ!

頑張って自己暗示して、集中力を上げようと努力する。


「よっしゃこい!」


屋良さんの威勢と共に対戦が始まった。


アドは調子に乗ると手に負えなくなる。

様子見無しで徹底対策を取る!


…。

……。

………。


シハラ WIN


少し時が経ち、対戦3回目の結果が出た。


「つ…つよーい」


箕内さんが後ろで感嘆の声を漏らす。

いつの間にか観戦者が増えているようだが、僕はどうしていいかわからず、ゲーム画面を眺めていた。


気のせいかもしれないが、「かっこいい」という女子の声が聞こえた気がする…。


3本先取の対戦を3回。

屋良さんには1本も取らせることなく、すべて勝利に終わった。


屋良さんは決して初心者ではなかった。

操作が丁寧だったし、画面もよく見ていたと思う。

後半あたりから、僕の動きを予測しているようでもあった。


しかし、なんといっていいか。

決して口には出せないが、全体的にレベルが低い。

もしかしたら、加藤のように強い技をひたすら振っていた方が、ワンチャンあったかも。


「完敗だよ。正直、こんなに強いとは思わなかった」


少し悔しそうではあったが、さわやかに屋良さんは負けを認めた。


「いえ、そんな…」


ここで「屋良さんも~」みたいなことが言えればいいのだが、僕のコミュ力では何も出てこない。


「みんな見ただろ?すごい強いぞ。次やりたい人ー?」

「おい!それは私だろ」

「おっと、そうでした」


屋良さんが座っていた席に、今度は箕内さんが座る。


「悪いけど、そこに座ったからには、部活終了までは帰さないからねー」


いじわるっぽく笑って、箕内さんはさっさとキャラを選んでいた。


僕は時計をチラッとみる。

部活終了まであと2時間ちょい?それくらいなら毎日やっているから問題ないか。


「あの」

「は、はい」


急に声をかけられて、驚いた拍子に大きめな返事をしてしまう。


振り返ると、声の主はまたも女子であった。

ショートカットで、化粧やアクセサリーが多いのが印象的な子だった。

女子4人の中では一番小さいかもしれない。


僕を驚かしてしまったことに申し訳なさそうにしている。


「なんでしょうか?」


なんとなく、敬語を使って対応する。


「えと、現内さんって、他のキャラも使えるんですか?」


「あ、たしかに。それも気になるかも」


ショートカット女子の質問に、隣の男子生徒も同調する。


「使えますよ。メインで使っているのは5キャラくらいです」


一瞬間が空く。


えっ!?なに?調子に乗り過ぎた?


「すごーい!あのレベルでまだ4キャラもできるんですか!?」


漫画とかでよく見る、女子固有の口元を隠したリアクションがそこにはあった。


「いや、そんなことは…」


「現内くん、その子は1年生だから、敬語じゃなくても大丈夫だよ」


箕内さんはそう言って笑っていた。


「あ、栄樹(えいき)瑠歩(るふ)です。よろしくお願いします」


ショートカット女子は、軽くお辞儀をして、自己紹介をしてくれた。


「よ・よろしく」


「現内くん、後輩はかわいいものだけど、先輩も悪くはないんだけどなー」


そうだった。

キャラを選ばずに、箕内さんを待たせたままにしてしまっていた。


「すいません。では、今度はこのキャラで」


おー、テンカーか。

箕内、後輩イビんなー。


楽しげな雰囲気の中、次の対戦が始まった。

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