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沙織に瓜二つの見惚れていた琢弥だったが
「ねぇ。キミ、何処から来たの?……」
目の前でまだ震えている由希にどこから
来たのかを聞いた。
だが、由希は首を横に振り、震えているだけで
何も答えなかった。
『どうしよう?……』
困った顔で由希のことを見詰めていたが
「そうだ! 警察に連れて行こう!……」
琢弥は由希を警察に連れて行こうとした。
だが、振り返り、由希がいる部屋から一歩、
踏み出そうとしたその時……
琢弥はハッとした。
『そうだ! この街には今、俺とこの子しか
居ないんだ……』
琢弥は再び、振り返り、由希のことを見詰めた。
「どうやって、ここまで来たの?……」
琢弥は再び、由希に聞いたが由希は何も答えなかった。
『困ったなぁ~……』
琢弥は頭を掻いたが答えが出ず、このまま、コンビニに
いてもしょうがないと思い、
「とりあえず、僕の家にでも来る?……」
由希に聞いてみた。
由希はまだ震えていたが小さく頷いた。
琢弥は由希を自分の家に連れて来た。
だが、琢弥はいつもと違う家に戸惑っていた。
いつも一人寂しく、家で暮らしていたのに
突然、同年代くらいの女の子が自分の家に
居るのだから……
心臓がドキドキして、落ち着かない。
琢弥がおどおどしているとやっと、落ち着ける
場所を手に入れた由希はソファにちょこんと
腰掛けたまま、
「お腹、空きません?…… 夕食にしません?」
初めて、琢弥に話しかけてきた。
いきなり、由希が自分に話しかけてきたのに
驚いた琢弥だったが
「そ、そうだね…… ご飯にしようか?」
由希に優しく微笑んだ。
二人はコンビニから持ってきた食料で夕食を摂った。
会話は少ないが久しぶりに誰かと話しながらの
夕食に琢弥は少しはしゃいでいた。
その日は琢弥も由希も疲れていたのか、お風呂に
入り、そのまま、深い眠りに落ちた。
翌日、琢弥が朝食を摂り、リビングでくつろいでいたら、
由希が自分の服の臭いを嗅ぎながら、おどおどしていた。
琢弥は由希が年頃の女の子ということまるで気にして
いなかった。
「どうした?……」
琢弥がおどおどしている由希に話しかけると
由希は自分の服の臭いを嗅ぎながら
「……服の臭いが……」
と答えた。
そこで琢弥はハッとした。
琢弥は由希のことを見ながら
「着替え用の服と洗濯をするための洗剤を
探しに行こうか?……」
というと由希を連れて、近くの商店街へと向かい、
着替え用の服と洗濯洗剤を仕入れた。
家に戻った琢弥と由希は服に着替えると由希は
琢弥の家にある洗濯機を使い、鼻歌交じりに
着ていた琢弥の服と自分の服を洗濯し始めた。




