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 琢弥が住んでいる街の更に北側は高い山々が

 そびえ立っていた。

 建物といえば、小高い丘のような上にある

 神社だけだった。

 その神社を見ながら


 『そう言えば、夏祭りのときに沙織は

 浴衣を着ていたっけ…… 今、アイツ(沙織)は

 どうしているんだろう?……』


 琢弥は幼馴染みの沙織のことを思い出していた。

 琢弥は神社がどうなっているか見てみたくて、

 神社へと向かおうとしたが神社を含め、その後ろに

 そびえ立っている高い山々から放つ、異様な気配に

 神社へと踏み込むことができなかった。


 次の日に琢弥は南側に向かったが……

 そこは広い海が広がっていた。

 浜辺へと降り立った琢弥は広い海を眺めながら


 『そういえば、ここも沙織と海水浴や花火などを

 したっけ……』


 再び、沙織のことを思い出していた。

 この海も北側の山とどうように異様な気配を

 発していて、近寄りがたかった。

 さらに東や西側にも行ったが……


 東はさらに何処かへと道路が繋がっており、

 さらに高速道路も通っていた。

 西側には大きな川が流れており……

 その川は琢弥が住んでいる街へと流れており、

 さらには南側の海へと流れ込んでいた。

 川の向こうには更に街があるみたいだが、

 その街へと行ける道がなかった。


 自分の住んでいる街とその周辺を大体、把握した

 琢弥は再び、つまらない日常に戻ろうとしたその時、

 琢弥の日常に異変が起こった。


 琢弥がいつものように昼食を買いに

 いつものコンビニにやって来て、食料を選んでいると

 店の奥から聞こえる物音に気が付いた。


 『なんだ?……』


 恐る恐る、琢弥が店の奥の様子を確認すると

 薄暗い店の奥で震える人影を発見した。


 『獣か?……』


 琢弥は少し怯えながらも近くにあった掃除用の

 ほうきを手に取り、


 「そこにいるのは誰だ?」


 身構えながら、叫んだ。


 「うわぁ! こ、殺さないで!……」


 店の奥から聞こえてきたのは可愛らしい女の子の声だった。

 琢弥が店の奥の部屋を照らす蛍光灯のスイッチを押すと

 店の奥の物陰に隠れ、震えている琢弥の幼馴染みの

 沙織に瓜二つの由希を発見した。


 「だ、大丈夫。僕は敵じゃないから……」


 琢弥はそういうと慌てて、身構えているほうきを

 降ろした。

 しばらく、店の中の飲み物や食べ物を由希に

 差し出すとやっと、落ち着いたのか、


 「あ、ありがとうございます!…… 

 わたしは冴島由希さえじまゆきといいます」


 由希は琢弥に話しかけてきた。

 ただ、見れば見るほど、由希は幼馴染みの沙織に

 そっくりだ!

 

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