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『まあ、良いか!……』
自分以外、誰もいない街の中で琢弥は一人、
一日中、ネットのゲームなどで遊び、
時間を過ごした。
琢弥どんなにだらしない生活を過ごしても
今、琢弥がいる世界ではそんな琢弥を
叱る者は誰もいない。
『これは天国だ!……』
そんな生活に琢弥ははじめは喜び、楽しんでいたが……
楽しかったのはほんの数日だった。
「はぁ~…… つまらないなぁ~……」
誰も話し相手がおらず、ただゲームの画面に
向き合っている生活に琢弥は虚しさを感じ始めた。
7日目
相変わらず、街には人の気配がない。
琢弥が調達した食料の後はコンビにだろうが
スーパーだろうが不思議なことに補充されている。
1週間も経てば、電気や水道なども止まるかと
思っていたが今のところは電気も水道も
止める気配がない。
『さて、遊ぶのもそろそろ、飽きたし……
この不可思議な街でも探検してみるか?』
そう思い立った琢弥は自宅近くのコンビニで
昼食と飲み物を調達すると街の中央に流れている
川へと向かった。
琢弥は思えていた。 その街に流れている川で
幼い時に友達らと遊んだことを……
そこで川へと流れ込んでいる下水道があったことを……
その川へと流れ込んでいる下水道の前に立った琢弥は
「さあ。探検の始まりだ!……」
自宅から持ってきた懐中電灯で下水道の中を照らすと
暗く湿っぽい下水道の中へと足を踏み入れた。
いつもなら、多少なり、水が流れているはずの
下水道だが…… 今はまるで流れていない。
下水道の独特な臭いもない。
下水道というよりかは街の下にあるちょっとした
洞窟のようだった。
「おおぉ! なんか、良いね! RPGのゲームを
やっているみたいで……」
琢弥は自分がゲームの主人公になり、
洞窟を冒険しているみたいに下水道を進むことに
胸を高鳴らせている。
「ゲームなら、ここいら辺でモンスターの出現か?」
琢弥は独り言のように呟くと街のホームセンターから
調達した木刀を構えた。
コウモリすら、飛んでいない下水道の中は琢弥の
興奮とは対照的にシ~ンと静まり返っていた。
「……だよなぁ~」
琢弥は構えた木刀を降ろすと先へと進んだ。
だが、迷路のように入り組んだ下水道の中を
琢弥は一人、探検をしたが……
別段、変わったところはなかった。
夕暮れ前、琢弥は昼前に下水道に入った入り口から
出ると虚しさと疲れ切った躯を
引きずるように家に帰った。
その日は疲れていたのか、琢弥はいつものように
夕食を取り、お風呂に入るとネットゲームをすることなく、
深い眠りに付いた。




