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「お腹、空いたなぁ~」
昼過ぎ、お腹が空いた琢弥は自宅に戻り、
冷蔵庫のドアを開けた。
だが、見事に何も入っていなかった。
「どうしよう?……」
空の冷蔵庫を見詰め、考え込んだ琢弥だったが
空腹には勝てず、
「コンビニでも行くか?……」
いつもの調子で近くのコンビニへと向かった。
琢弥は自宅の近くのコンビニに入り、すぐに
いつもとは違う店内に気付いた。
やはり、そのコンビにも定員はおろか、客の誰一人として
おらず、店内は気味悪いほど、静まり返っていた。
でも、空腹だった琢弥はそんなことは気にせず、
いつもの癖でコンビニのカゴに昼食のお弁当と飲み物を
入れるとそのカゴを置いた。
だが、いくら待ってのその商品は計算されることはなかった。
「あっ! そうだった……」
やっと、店内に自分しかいないことに気が付いた琢弥は
自分が買おうとしているお弁当と飲み物を見ながら
「どうしよう?……」
困った。
でも、空腹に負けた琢弥は商品分のお金をレジに置くと
コンビニを後にし、家に戻った。
コンビニから買ってきたお弁当を家のレンジで温めると
少し遅めの昼食を一人で取った。
『一体、街の人達は何処に行ったのだろうか?……』
そんなことを思いながら、昼食を終えた琢弥は
いつものようにネットのゲームに夢中になった。
気が付くと日は傾きかけていた。
「お腹が空いたなぁ~……」
お腹が空いた琢弥は再び、昼に行った自宅近くの
コンビニに向かった。
琢弥はコンビニのドアを潜って、すぐに店の中の
異変に気付いた。
昼過ぎに昼食を買うために琢弥が置いたはずの
お金が消えていたのだった。
だが、それだけではなかった。
琢弥が買った分の商品が誰かによって、
補充されているようだった。
『気のせいだよな?……』
琢弥は嫌な感じを抱えたまま、食料を調達すると
お昼過ぎのようにレジに買った食材分のお金を置き、
家へと戻った。
家へと戻った琢弥は夕食を食べ、いつものように
お風呂に入るとヘッドホンをし、ガンガンに
音楽を聞きながら、
『これはきっと、夢だよなぁ! 明日はきっと、
元通りになっているさ!……』
昼のネットゲームの続きに没頭した。
いつの間にか、琢弥は深い眠りに付いた。
気が付くと琢弥は自分のベットの上で昨日と同じように
目覚めた。
昨日、寝る前に琢弥が抱いた希望はすぐに打ち砕かれた。
街の様子は昨日と何も変わっておらず、街には誰一人として
いなかった。
『一体、どうなったんだよ!……』
琢弥ははじめて、自分が置かれている状況を理解し、
絶望に打ちひしがれた。




