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琢弥が机に並べた新聞は琢弥がこの世界に迷い込んだ
年より未来のモノばかりだった。
「一体、どういうことだ?……」
自分で並べた新聞を見ながら、琢弥は混乱していた。
『今は2015年じゃないのか?……
今、2015年じゃないなら、今はいつなんだ?……』
琢弥の途方に暮れた顔を見た由希は
「どうしたの?……」
心配そうに優しく、琢弥に声を掛けてきた。
「いや。何でもないんだ……」
由希の声にハッと我に返った琢弥は
「な、何でもないんだ……」
慌てて、自分の並べた新聞を片付けようとしたが
次の瞬間、琢弥は自分が並べた新聞の記事に
見覚えのある名前を見つけた。
『貴河悟郎?……』
そこに書かれていた名前は琢弥の幼馴染みの沙織の
父親の名前だった。
そこに書かれていた記事は
「貴河悟郎博士。 獅子座流星群のあとに住んでいる
街の近くの森の中で隕石を発見!」
と書かれていた。
更に別の記事には
「貴河悟郎博士。 発見した隕石から未知の生物を発見!」
と書かれていた。
『なんだ? この記事は?……』
確かに琢弥の幼馴染みの沙織の父親は科学者だったが
琢弥が覚えている限り、沙織の父親は生物の科学者ではない。
更に別の記事には
「貴河博士。 その生物を使い、あらゆる病気に効果がある
薬の開発に成功した!」
と書かれていた。
その記事を読んで琢弥はますます、わからなくなった。
『ちょっと待てよ…… 博士? 博士なら、著書などが
あるかも?……』
そう思った琢弥は由希をその場に残し、慌てて本のほうへ
向かった。
生物の本の所へとやってきた琢弥は仕舞われている本を
一つずつ、目で追いながら
「貴河…… 貴河…… あった!」
沙織の父親の貴河悟郎の著書を数冊、見付け出した。
その本を持って、近くの机に座り、沙織の父親の
著書を琢弥は一冊ずつ、読み始めた。
だが、高校生の生物の知識しかない琢弥には沙織の父親の
著書は何が書かれているのかチンブンカンプンだった。
何冊か、沙織の父親の著書を読んだ琢弥はあの新聞に
書かれていた記事が何となく、真実に思えてきた。
『一体、この世界に何が起きたというのだ?……』
琢弥がそんなことを考え込んでいると
「どうしたの?……」
琢弥のことを心配し、由希が琢弥のもとにやってきた。
「いや。何でもないよ…… ちょっと、読みたかった
本があったから……」
琢弥は咄嗟に嘘を付いた。
由希は琢弥の顔色を見ながら
「そう…… もう遅いからそろそろ、家に帰りましょう?」
琢弥に家に帰るように促すと
「そ、そうだな…… また、明日でも来よう!」
読みかけの本をあった場所に戻すと由希とともに家に戻った。




