表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/17

 13

由希は自分が部屋に広げた新聞を見回しながら


 「……自分が何者なのかはさっぱり思い出せないけど……

 この数日、この新聞を読んで、私なりにわかったことが

 あるの……」


 と琢弥に言った。


 『え? これ全部……』


 琢弥は部屋に広げられている新聞を見回し、由希が言ったことに

 驚きながらも


 「それで…… わかったこととは?……」


 由希に聞いた。

 由希は自分が手に持っている新聞を見ながら


 「それがね…… 私らが記憶を失っている間にこの世界では

 色々と起こっている見たいの……」


 琢弥にそう答えた。

 驚く琢弥を見ながら、由希は更に話を続けた。


 「異常気象などでこの世界では極めて深刻な食糧不足が起こり、

 食料を得るために世界の各地で戦争や紛争などが

 起こって、多くの人が亡くなったみたいなの……」


 由希は深刻な顔で琢弥にそう言った。


 『そんなことは知っている!……』


 由希が言ったことは琢弥が記憶を失う前から琢弥は

 何となく聞いたことがあった。


 「それと僕たちがここにこうしていることが

 どう繋がるのだよ?……」


 琢弥は由希に文句を言うように食って掛かった。


 「……そ、それは……わからないわ……」


 琢弥の怖い顔で自分に喰ってかかって来たことに

 由希は今にも泣き出しそうになった。

 今にも泣き出しそうな由希の顔に琢弥は


 『ま、まずいことをした!……』


 悪いことをしたと思い、すぐに


 「ご、ごめん!…… 君を責めるつもりはなかったんだ……」


 由希に謝った。

 由希もすぐに琢弥のことを許した。

 改めて、部屋中に広げられた新聞を琢弥は見回し


 「しかし、すごいな~…… これ全部、詠んだのか?」


 由希に聞いた。

 自分で広げた新聞を由希を見回しながら


 「うん! 昔から新聞、読むの好きだったし……

 詠んでいるうちに何だか楽しくなって……」


 由希は可愛らしく、微笑んだ。

 由希の可愛らしく微笑んだ顔を見て、再び、部屋中の

 新聞を見て、


 『ちょ、ちょっと待てよ……』

 

 琢弥はハッと気が付いた。

 琢弥は部屋中に散らばっている日付や年、月が

 まるで異なっている新聞を数枚、手に取ると

 部屋の机にバラバラに並べた。


 それを見詰めながら、琢弥は少し考え込んだが


 『まさかなぁ~……』


 自分の持ってきた新聞を並べ替え始めた。

 突然、琢弥が何を始めたのか、さっぱりわからず、

 由希は見惚れていたが琢弥は自分が持ってきた

 新聞を並べ終わると更に部屋に散らばっている

 新聞を取って、同じように並べ始めた。


 「何をしているの?……」


 由希は途中で琢弥に尋ねたが琢弥は答えることなく、

 黙々と新聞を順序良く、並べ続けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ