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 「コラぁ! 拓弥たくや。早く、起きなさい!

 学校に遅刻するわよ!……」


 母親の声に高校2年の嶋仲拓弥しまなかたくや

 いつものように目覚めた。

 そんないつもの出来事が拓弥は明日も続くと思っていた。

 昨日までは……


 拓弥が眠たい眼のまま、母親に急かされ、朝食を終え、

 制服に着替え、学校に向かっていると


 「おはよう! お寝坊さん!……」


 そんな声が聴こえた次の瞬間、拓弥は突然、背中に

 強い痛みを感じ、前のめりに倒れそうになった。


 「痛いなぁ…… 何をするんだよ!」


 背中を痛そうに摩りながら、拓弥が後ろを振り返ると

 そこには拓弥と同じ学校の制服に身を包んだ

 幼馴染みの貴河沙織きかわさおりがそんな拓弥のことを

 見ながら、微笑み、立っていた。


 「朝っぱらから何をすんだよ! 暴力女!」


 拓弥は沙織のいつもの自分に対する態度に少しイラっとしながらも

 学校へと面倒くさそうにてくてくと歩き出した。


 「もう! 今日、あんた、誕生日でしょ!

 もう少しシャキッとしなさいよね!……」


 まるでやる気がない拓弥の態度に沙織は少しイラつきながら、

 拓弥の後を追いかけた。

 

 『そういえば、今日は俺の誕生日だ! すっかり忘れていた……』


 沙織に言われるまで拓弥はすっかり、今日が自分の誕生日だということを

 忘れていた。


 『まあ、良いか?…… 何が変わるわけでもないし……

 ただ、歳を一つ、取るだけだから……』


 面倒くさそうに歩いている拓弥にやっと、追いついた沙織が


 「あんた、何か、欲しいものはないの?……」


 拓弥に誕生日プレゼントが何がいいかを尋ねたが

 拓弥は首を傾げ、少し考え込み、


 「……う~んと…… 今、やっている(ネット)ゲームの

 レアアイテムかな?……」


 冗談交じりで答えた。

 数ヶ月前からネットのRPGのオンラインゲームにはまった

 拓弥は連日のようにそのゲームに夜遅くまで没頭していた。


 拓弥の冗談が通じなかった沙織は怒り、鬼の形相で


 「あんた、バカ!……」


 拓弥のことを追いかけた。


 「怒った!……」


 そんな沙織を小バカにするかのように拓弥は軽快な足取りで

 沙織から逃げた。

 

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