snowman
見渡す限りの白銀世界。そんな中で、僕は生まれた。彼女の手によって。
一目見て、僕は、彼女と友達になってあげたいと思った。
だって、彼女は泣いていたから。
でも、僕は動くことはできない。近くに寄り添ってあげることも。
だから、心の中で話しかけるんだ。
大丈夫。泣かないで。僕でよければ相手になるよ。
短い間だけど、友達でいよう。
*************
時が経つにつれ、僕は小さくなっていく。どうやら、しばしのお別れみたいだ。でも、心配しないで。またいつか、きっと出会えるから。君が作ってくれるまで、ずっと空から見守っているよ。
そして僕は、今年の冬に別れを告げた。気持ちのいい、青空輝く日だった。
*************
春が来て、夏が過ぎ、秋も終わって冬が来た。
目を開けると、そこには少し大きくなった彼女が笑みを浮かべて立っていた。
良かった。友達も増えたみたいだ。もうさみしくなんかないね。
おまけに、僕にも新しい友達がたくさんできた。みんなで作ってくれた「僕」。とっても嬉しかったよ。
またお別れが来ても、僕は待ってるから。こんな風に作ってくれることを。
*************
またしばらくして、僕は作られた。大人な雰囲気を纏った彼女の隣には、小さな男の子が。
本音を言うと、少しショックだった。
無理なのは分かってる。それでも心にポッカリ穴が空いたような気持ちで、すごく心が痛かった。
でも、それでいいんだ。
僕は君を忘れない。
君はいつか僕を忘れてしまうとしても。
君の幸せを、雲の上から祈ってるよ。
……でも、もし、もし思い出してくれたら。
また僕を作ってほしいな。
ひと時の雪景色を、君と一緒に見てみたい。