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十二連世界の『最強』  作者: Red_stone
4章 滅び行く世界
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第39話 終わった世界

「命からがら、といったところか」


呪術で自爆戦法をやらかした私だが、無事にマレフィの元へ帰りついた。

魂の共有なんぞをやらかしているなんて、思ってもみなかったのだろう。

とはいえ、始末できたのはあくまで端末だ。

『残骸』は未だ現世を破壊する機会を狙っているだろう。

要注意だ。


が、焔の世界を先に片付けてしまおう。

人が住む最後の世界。

いや、単に私が巡る順番が最後というだけだが。

さて、どうなっているやら。

しかし、冥界の果てから帰った際の負荷は如何ともしがたい。




門を抜けたら地獄だった。

そうとしか言いようがない。


あちらを向いても、こちらを向いても見えるのは死者ばかり。

紅き溶岩は黒く冷え、森はなぎ倒されている。

生命の息吹が感じられない。


熱く燃え滾る世界は、黄泉へと染まった。

......助けられなかった、か。

こればかりはしょうがない。

私の能力の限界だ。

嘆いてばかりではいられない。


ここに寄越した雷帝は死んでいるだろうし、大罪の国へ帰るか。

意思疎通可能な人の居る世界は見回り終えた。

他の世界の優先度は著しく低い。

それよりも、紅の世界の情報を確認せねば。

離れてから一週間は経っている。

いつもならともかく、この状況下では国を空けすぎた。


「ルシフェ!」


焦りを含んだ叱責。

まずい、気をぬいた。

虚空より走る一筋の雷を避けられない――


『氷壁・アイスシールド』


マレフィの魔法。

危機一髪のところで防いでくれた。


「悪いな、マレフィ。へまをした」

「気にするな。じゃが、おぬしは相当疲れているぞ。少し休め」


そのようだ。

こんな奇襲に対応できないとは。

自分を嫌悪してしまう。

......疲れすぎだな。


「そうもいかん。まあ、すぐにでも大罪の国に帰って休むさ」

「そうせい。じゃが、今は」


疲れてはいても、自分ができることをやるだけだ。

さっさと帰ってさっさと休む。

やるべきことが、疲れてたからできませんでは話にならん。


とはいえ、私に雷を放った男の処理が先だ。


「で、お前は――


<ギジャアアアアアアア>


雄たけびを上げる。

その目に理性の光はない。

暗いどんよりとした殺意があるだけだ。


「『雷帝』か。変わり果てた姿になったな」

「やれやれ、最後まで足手まといなやつじゃ。マレフィが始末しようかの?」


私は疲れてるし、雷帝ごときはマレフィの相手ではならない。


「頼んだ。私は見ていることにする」

「うむ。任せておけ」


マレフィは敵に向き直る。

敵と相対しているときに余所見をするようなへまはしない。


「さて、小手調べじゃ」


『炎舞・ファイアクロス』


<ジャアアアアアアアアアア>


素手で弾いて、突進してくる。

な!?

コイツ、かわしもしないじゃと!?

獣以下じゃな。


予想外の突進。

しかし、そんな攻撃ではマレフィには当てられない。

ただの突進など、よほどスピードに差がないと当たるものではない。

身の軽いマレフィではなおさら。


「っと、馬鹿が。吹っとべい」


『炎撃・ブラスターレイジ』


ひらりとかわして横に滑り込む。

無防備な横っ腹に魔法を叩き込む。


『ライトニング・デッドエンド』


雷帝を中心に雷が爆発する。

本人にすら甚大なダメージを与える無差別魔法。


魔物と化した野獣が魔法を使えると思わなかったマレフィは不意をつかれる。

炎の魔法ごと雷に飲み込まれる。


「くうっ、油断したわ。獣は獣なりに本能で考えとるというわけか。は、獣ごときが調子に乗るなよ。獣は獣らしく力で屈服させてやろう」


吐き捨てる。

マレフィにほとんどダメージはない。

200と170のレベルにおいて30レベルの差は大きすぎる。

自爆の広範囲攻撃では煤けさせる程度が関の山。


『氷結・エターナルフォースブリザード』


周り一面が氷結する。


「ふん、やはりこの程度じゃな。レベルが低い上に、獣の知能しか持たなくては精々が大声を出してビックリさせる程度。そこで永久に反省しておれ」


吐き捨てる。

本当に弱い敵でしかなかった、ということだろう。

掃除を終えたくらいの気軽さだ。


「さ、ルシフェ。終わったぞ。この世界は処置なしなのじゃろ。とっとと出て行こう」

「まだだ。よく見てみろ、終わってなどいない」


が、雷帝は死んではいない。

マレフィはこういうところが甘い。

心臓が動いていないというのなら――最初から動いてなどいなかった。


「む? はぁ? なぜ凍りついたままで動いておるのじゃ」

「すでにアレは死体なのだろうさ。死体を動かしているだけに過ぎない。こんなことができるのは――」


『能力』を持つ者しかいないか。

レベル170超の死体操者なんて聞いたことがない。

しかし能力持ちでは聞いたことがないのも道理。


「私だけ、というわけです。お久しぶりですね、ルシィ、マレちゃんにリリちゃんも」


ふん、能力を持つものがそう何人もいるはずがない。

やはり、貴様が能力を持っていたな。

予感はしていたのだよ。


「やはり君か、シシュフォス。これを見るに君の能力とは――」


しかし、この能力は―

―あまり趣味がよいとは言えないこの能力は


「『死者』ですよ、ルシィ。勘違いしないでくださいね? この世界の方々は私が殺したわけではありません」


『終炎・エターナルブラストサラマンダー』


横にいたマレフィの魔法がぎこちなく動き続けていた雷帝を焼き尽くす。

うるさい邪魔者は消えた。

先程まで観客だったマレフィが部隊の上に上る。


「シシュフォス、答えろ。主もまた能力を手に入れたのかの?」


その瞳には嫉妬があった。

ルシフェレスとシシュフォスには能力が、リリスには秘術がある。

特別なものがないのはマレフィだけだった。

200レベルというのは十分に特別すぎることではあったが、慰めにはならない。


「そうよ。私があなたたちの前に現れたときから、あなたもうすうす気づいていたのではなくて? 死者を生き返らせることができるのは能力くらいのものでしょう。もっとも、私は完全に死んだわけではなかったのですが」

「そうだな、肉体の死は完全なる死と同一ではない。本当の死とは魂が混沌と混ざり合うことを言う。だからお前は私が灰すら残さずに消滅させた時点では、厳密に言えば死んでいなかった。ゆえに生き返ってきたか」


「そういうことです。で、怖気づきましたか? その橋渡しをしてくれたのは『通りすがり』です。気づいていて言わなかったでしょう?」

「そんなことはどうでもよい。何故マレフィではなくお主が能力を得ているのじゃ?」


「単なる運。天運と言い換えたほうがいいかな? 心配しなくても私はお前を手放しはしない、マレフィ」

「うふふ。マレちゃんは私に嫉妬してるのね? けれど、この能力は私のもの。あげられないし、あげないわ。決してね。ま、能力はまだいくつか残ってるみたいだから、がんばって」

「それができれば......!」


「選ぶのは能力だ。あまり意地悪を言うものではない」

「ふふ。楽しいおしゃべりですね。こういうのもいいものです」


「それはここまでにしよう。お前は私たちと戦う気があるのか?」

「ありませんね。従ってもいいと思っていますよ?」


「とてもそんな顔に見えんがの。別に訳知り顔でルシフェと話しているのを嫉妬するわけではないが、今の主は信用できんよ」

「あら? ひどい言われよう。けど、そのとおりかもしれませんね。弱い人には従いたくありませんから」

「つまり、服従させてみろ、と?」


「ええ、そのとおり。さて、少し戦り合ってみま――


『終わる箱庭の加護』


言い終わる前に首をを締め上げる。

いつでも殺せる。

......呆気ない。


「遅いな。戦うといってから戦う気になったのでは遅すぎる。戦うのならば、既に覚悟を完了させておかなければならない。実を言えば、我々のような人間は何時いかなるときでも闘争への構えは怠らぬものだ」

「あらら。これは......」


「お前の負けだ。弱くなったな、シシュフォス。お前の増長が動きを鈍らせた」

「言い返す言葉もありません。いいですよ、貴方の物になってあげます」


「そこまで要求したつもりはないが。他ならぬお前の身なら、喜んでもらおう」

「ふふ。やはり私はあの時死ぬべきでした。だから、貴方の物になってあげます」


...論理が破綻している。

まあ、いいか。

期せずして望むものが手に入ったのだから。


―ギィィィィィィィィィィン―


脳髄をかき乱されるかのような不快な音がする。

これは、敵襲か?

いや、発生源は私の懐。

ラクスリアめ、呼び出し音になんて音を......

だが、この音なら寝ていても叩き起こせはするか。


―ザザザ...ザ...イラ、...すか? すぐに.......大罪...へ,,,くださ....ザザザ...ザ...―


「どうやら大罪の国に危機が迫っているようだ。戻るぞ」

ここで連載を打ち切らせてもらいます。

一応俺たちの戦いはこれからだエンドの体裁はとりましたが......

まだ書きたいところを全て書けたわけではないので、いつかまた連載を開始すると思います。そのときはまたよろしくお願いします。


これまで付き合ってくれた皆さん、ありがとうございます。

全てのss作家に栄光あれ!

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