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十二連世界の『最強』  作者: Red_stone
4章 滅び行く世界
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第22話 デート

前半は甘々で後半は設定のお話。

ストーリーに直接関係しないので、飛ばしてくれて構いません。

狐を倒したファイナル・アウトは無意識に出したブラック・アウトの上位互換技だ。

『終焉』の力を込めることで、より威力と消耗が激しくなった。


何を言いたいかというと、狐を倒した直後に倒れた。


そのまま朝まで寝ていたらしい。

ベッドの横でマレフィとリリスが寝ている。

今まで付きっきりで看病してくれていたようだが――


「さっさと顔を上げろ、マレフィ。そして、リリスも顔を伏せているのはもういい」

「む、ばれたかの」

「……うん」


マレフィは寝息が規則的すぎてバレバレ、リリスに至っては顔を伏せているだけだった。

そもそも大きな消耗をした場合くらいにしか寝ることはないのに、どうして騙せると思った?

看病程度で睡眠をするほど消耗する訳がないだろうに。


というか、リリスは行為の意味を理解してなかったぞ。

そのくらい教えておけ。

あれは寝てるふりというより、死んだふりだった。


まあ、感謝はしているさ。

2人に看病されたと言うのは、正直嬉しいし。


「で、ルシフェ。今日はマレイに付き合ってくれるんじゃろ」

「ああ、そういう約束だったな。今日一日はお前の好きにさせてやる」


嘘偽りなく、マレフィの言うことならなんでも聞く気になっていた。

私にも、気まぐれというものがあるのかな?


「ふふ。言うたな?言うたな?なら、マレフィにキスしろ」


いたずらっぽく笑って言われた。

冗談、かな?

かすかに頬が赤くなっているから、少しは期待してもいそうだが。

瑞々しい唇が震えている。


「へぇ。いいよ」


少し意地悪を思いついた。

マレフィは『魔女』と呼ばれるだけあってひょうひょうとしているが、純情なのだ。

だから即答してやる。

マレフィは慌てるだろう。


「え!?ちょ、ちょっと、待ってくれ。本気でやるのかの!? す、少し心の準備を―」

「ダメ」


そのままマレフィの小さい唇にキスをする―


―ふりをして、頬に口づけた。


「え? ひゃ…あう…。キス…..された?」


口づけされたところに手をやって、真っ赤になるマレフィ。

あわあわと慌てていて、とても可愛い。


「……?」


リリスは一連の行為について、何も分からずに首をかしげている。

マレフィがなぜ恥ずかしがっているかさえ、わからないようだ。

異性との行為について何も知らないのは、外見通りだ。

このまま、汚れずにいて欲しい。


そういうことを夢見ているマレフィも可愛いけれど。

恋する女の子というのも、可愛いものだ。



「さて、マレフィ?」

「あう……あうあう…..ひゃい! な、なんじゃ? ルシフェ? 何か言うたかの?」


まだ混乱から回復していない。

あわあわと、顔を振り乱している。


「これからどうする? マレフィは何をしたい? それともされたいのかな?」

「う~。な、何かと言われても。頭が真っ白で、何が何やら」


目がぐるぐると螺旋を描いている。

本当に何も考えられない様子。

微笑ましい。


「それなら、もう少しこのままでいようか」

「あぅぅぅ….うん」


顔を真っ赤にしたまま、うつむくマレフィ。

どうやら、まだ立ち直れていないらしい。

口じゃなくて頬にしたのに。


「デートでもするか?王都の店は通常通りやっているはずだ。上の人間は大忙しだろうけど」

「で、でーと!?うん、行く」


私は別だけどね、という言葉はマレフィには届かなかったみたいだ。

私の仕事は大罪の国にはない。


代わりにデートという言葉に過剰反応する。

それ以上顔は赤くならないと思うぞ?


「さて、リリスは留守番しててくれるか?今日だけだから」

「….ルシフェがそう言うなら」


嫌そうな顔。

それでも、私の言うことに従ってくれるリリスはいい子だ。

むくれてはいるけれど、わがままは全く言わない。


「リリスはいい子だね」

「……えへへ」


頭を撫でてやると、すぐに機嫌を直した。

いいのかな?こんなに単純で。

これ以上成長しないから、騙されないか心配だ。

..….そもそも私の言うこと以外聞かないから、いいか。




「さて、マレフィ。心の準備は十分か?」

「ちょ、ちょっと待って。ま、まだ――」


「それはいつくらいに終わる?」

「え、えーと――」


どうやら考えすぎてフラフラになっているみたいだ。

いつまで経ってもこうしているのはつまらないので、手を引いて歩き出す。

マレフィはおとなしく手を引かれる。

握られた手を小さく握り返すのが可愛らしい。


二人ともいつもの服――というか、装備なので着替える必要はない。

そもそもここにデートに来ていくような洒落た服などない。


「行くぞ」

「ひゃう!て、手をつないでだなんてそんな―」


優しく手を引いて連れ出す。

顔を真っ赤にしたマレフィはおとなしく手を引かれるがまま。

恋人のようだと思う。


……はたから見れば、迷子を案内しているようにしか見えないだろうが。


ときに、マレフィやリリスほどの低年齢で成長が止まっている者は稀なのだ。

私ですら、彼女たち以外には会ったことがない。

そもそも不老者自体がほとんど存在していないが。

確か、紅の世界には10人も存在していないはずだ。



「ほら、行くぞ」

「う、うん」


普段の態度はどこに行ったのやら。

借りてきた猫のようにおとなしい。


とりあえず、いくつか店を回ってみる。

ここら一帯の店は最高級品しか置いていない。

大体大罪の国では最高級の品物か、質より量の品物の2択だ。

これは大罪の国の歪さを反映しているが、別に最高級品しか買わないから困らない。




「うん。それは似合ってるね」

「そ、そうかの。えへへ」


「こっちのほうが似合ってるんじゃないのか?」

「そ、そうかの?ルシフェがそう言うなら」


「さて、こっちの店に入ってみようか」

「う、うむ」



そんな会話をしながら、店を回っていった。

女との買い物が苦痛だという人間がいるが、マレフィと一緒なら退屈しなかった。

マレフィもいろんなドレスを着たりと、楽しめたようだ。




「そうだ。ルシフェよ。前から疑問に思っていたのじゃが、マレフィたちとそうでないものの区別はなんじゃ?明らかに目の前にいる塵芥と、マレフィたちは別物としか思えん」

「だろうね。違いはレベル、言い換えると存在の格だな。100レベルオーバーからは明らかに人間とは呼べない。200レベルに至っては、生物と呼べるかさえ怪しい」


カフェで雑談している。

この状況でする話ではないだろうが、いつもこんな話ばかりしているのだから仕方ない。


「むう、それほどまでか。確かに200レベルになってくると、不老になる者も多いな。確か、お主は違ったか?」

「そうだね。このままでは私には寿命が来る。私はキメラだから、細胞の限界がある」


そう、私は人間になる前――胎児のときに魔物の細胞を入れられたキメラだ。

その魔物としての力が人間の部分に負担をかける。


「キメラじゃと?お主が人造人間じゃったというのは聞いておったが、それは聞いておらんぞ」

「話さなかったか?なら、話したのはリリスにだけか。あの子には全て話してあったからな。旅をしていた目的も、私の寿命のことも」


ここで、私のことをマレフィに教えておくのもいいだろう。

相手がマレフィなら機密でも話せるしな。


「リリスにだけか、嫉妬してしまうの。で、寿命というのは?目的なら聞いておったが、そちらは聞いておらんぞ。お主も200レベルなのじゃから、あまり心配は要らぬじゃろ?」

「数十年くらいなら大丈夫かな。私は龍の細胞と融合できた唯一のキメラだ。他のキメラ成功例はレベルが100程度のモンスターとの融合個体くらいか。私を含めて外見的特徴は人と同じで、能力だけに影響がある」


そう、キメラだと言っても外見的特徴は人間と変わらない。

あるとしたら、体のどこかに文様が浮き出るくらいだ。

私は目に魔方陣が浮き出ている。


「ふむ。しかし、龍の細胞なんぞどこにあったのじゃ?あんなものは人間の世界に存在していいものでもないじゃろ」

「大罪の国には、初代イラ当主が入手した『世界龍の鱗』があるのだよ」


それが、大罪の国が持つ最大の秘密。

“鱗”があるからこそ大罪の国は建国され、維持されている。

それがなければ、こんな魔物のレベルが高い場所で国が持つ訳がない。


「”世界龍”――あの化け物か!?アレからアイテムを奪えたのかの?アレに会ったことがあるとか、その初代当主とやらも人間辞めておるじゃろ」

「その龍から貰ったと記録にある。“世界龍”はレベル1000という桁外れの存在だ。例え鱗一つであろうと、大罪の国を建国するには十分だったらしい」


さすがに“世界龍”から奪ったとかいう話は聞かない。

そもそもあれは敵対できるような存在ではない。

あれが本気を出したら、その時点で世界が滅ぶ。


「まあ、レベル1000じゃしの。世界を滅ぼせたとて、別におかしくはない」

「さすがに鱗にはそこまでの力は無いぞ?」


とはいえ、神様のような力を持つのは本体の話。

鱗では秘められた力の全てを開放できたとしても、山岳を消し飛ばすのが精々だろう。


「そうかの。ではルシフェは鱗から採取された細胞を合成されたのか?」

「そうだよ。ただ鱗とはいえ、“世界龍”のものだからな。数億を超える被験者が死んだが、まともに生きているのは私一人だ。その私でさえ、レベル200になれなければ14の時点で死んでいてもおかしくない」


寿命が無かったからこそ、旅をしてる間は焦っていた。

何もなせずに死んでいくのが嫌だった。

そして、何もできないのならせめて戦って死にたかった。

今は余裕があるから、そんなことは考えないが。


「ふむぅ、ルシフェの寿命が14じゃったとは。ま、延命がお主の旅の目的じゃったからな。途中で魔王討伐に変わったが。それほどまでに世界龍の鱗の細胞は、融合者に負担を与えるものなのかの?」

「そんな生易しいものではないよ。負担というより、毒だから。研究者の中にも誤って素手で触れた死者が何人も出てる。鱗は地下数千mで厳重に保管されていて、大罪の国の全ての施設にエネルギーを供給している」


鱗に触れて死んだ研究者の遺体は悲惨なものだ。

そもそも影すら残らないのだから。


「なんか、でたらめじゃなあ。つまらん事聞くが、地下数千mでエネルギーをまともに供給できるものなのかの」

「でたらめなんだよ。むしろ地下数千mでなくては、強すぎてエネルギーを利用できない」


あれの凄まじいまでの力には常識など存在しない。

あれの前には、私たちの持つ魔力など塵芥に等しい。


「ふう、なんて言っていいものやら」

「そうだな。レベルというものは残酷だな」


1000レベルの脅威は言うまでもない。

200レベルでさえ、単体で国を滅ぼせるレベルなのだから。


「ふむ、レベルの差はそのまま力の差じゃからな」

「それだけではないぞ」


本当に残酷だよね。

レベルは力で、力を持つ者は全てを得られる。


「へ?」

「レベルが高ければ美しくなる。冒険者の女は美しいというが、アレはある意味で真実だ」


そう、美しさでさえも高レベル者は苦もなく手に入る。

200レベルにもなれば人外の力と美を体現する存在になれる。

次元が違いすぎて、そばに置きたいという欲すら出てこないほどの圧倒的な美。


「何?このマレフィが美しいのは当然じゃが、なぜ冒険者の女が美しいという話が出るのじゃ?」

「単純だよ。未だに冒険者の中では男が優遇される。それは、女は簡単に冒険者をやめたりするから当然なのだが。そのせいで、女は本当に実力がなければ生き残れない世界になってしまったのさ。女は上に上がれないと直ぐに辞めてしまうせいで、上位者しかいない」


悪循環だね。

世の中がそれで回っているのなら、それでいいのかもしれないのだけど。

実力のない女冒険者が辞めることで女冒険者への風当たりが強くなり、風当たりが強くなったことで辞めていく。

だから、生き残れるのは本当に強い=レベルの高い=美しい女だけ。


「むう、女性差別じゃ。ま、どこでもある話じゃな。どうしても、低レベル帯では女は男に勝てんしの」

「農業にしても、戦闘にしても、男のほうが有利だ。そして、女はいろいろな役割を押し付けられる。それも、性差なんてものが関係する低レベルの間での話だが」


ファンタジー世界でも男尊女卑はある。

いや、機械が発達していない分こちらの方が上。


「そうじゃな。そんなことは、マレフィやルシフェに関係の無い話じゃったの。で、関係のある話は?」

「レベルが上がれば美しくなるのさ。化粧やケアなどは単なるごまかしだ。高レベルなら、肌へのダメージを元から消せる。どんな化粧をした人間より、高レベルであればそれだけで美しくなるのさ。体型ですら、レベルを上げるほどに理想に近づいていく」


これが高レベル者が美しい理由だろう。

ただ、体型の方は戦闘に適した体になっていくというのもある。

だから、魔法使い系統でもマレフィやリリスのように身長が小さすぎるのは稀というわけだ。


「それは嘘じゃろ。マレフィはないすばでぃになりたいと思ったことは結構あるぞ」

「自分がそうなるのを想像できなかったんだろ。あくまで己と認識できる中での理想さ。だから目立つ傷は消えないし、全く違う姿にもなれない」


体型の方には制約もあるさ。

あくまで参照するのは己だ。

一から作り直すわけではないから、やはり身体的特徴は引き継いでしまう。


「ほう。そんなことになっておったとはの。全く知らんかったわ。そんな訳でマレフィはこんなにも美しいというわけか」

「そうだな、マレフィは可愛くて、美しいよ」


調子に乗っているようなので乗ってみる。

そう言うと、マレフィの顔はどんどん赤くなっていく。


「なっ……そ、そんな――。そんな嬉しいことをさらりと言われても――」

「くく、照れているお前は可愛いな? マレフィ」


真っ赤になって照れているマレフィを愛でる。

ここに口をはさむような無粋な人間はいない。

私たちのことは道行く人間の誰もが知っているだろう。


「う~。一体、ルシフェはマレフィのことをどう思っておるのじゃ?魔王戦前は、駒の一人でしかなかったじゃろ?今は大切な仲間とは思ってくれているようじゃが」

「さあ、私は君が大切だと思うよ。けど、具体的にどうなのかはわからない」


どうなんだろうね?

私は自分の感情がどういうものなのかよくわからない。

マレフィやリリスのことは好いてはいるけど、それが同類に対するものか、異性に対するものか。

そんなものは世界の滅びを防いでから考えればいいことだ。


「やれやれ、相変わらず人間関係に鈍感じゃな。お主は気づいておらなんだが、それが裏切られる理由じゃったのじゃぞ。私のことを特別に思ってくれない、と」

「そんな自分勝手なお姫様のことは知らないよ。今の私には、マレフィとリリスさえ居ればそれでいい」


気付かなかったが、どうでもいいな。

親に見捨てられたお姫様のお世話など、冗談ではない。

私が放したくないのは、シシュフォスを殺した今となってはマレフィとリリスだけだ。


「ひゃうっ!な、なんというセリフを吐くのじゃ!?マレフィを嬉し殺しする気か?」

「何だ?それは。まあ、お前が喜んでくれるのならいいさ」


よくわからない言葉を使う。

まあ、それもいいさ。


「お主、変わったの」

「嫌か?」


確かに魔王戦前とは人が変わったのだろう。

いや、もう一つの魂が融合した時かな?

魔王戦以来はマレフィと会っていなかった。


「いや、言葉にできぬほど嬉しい」

「それは良かった」


終わりよければ全て良し、かな。

いや、マレフィがよければ、か。


「けど、実は現実逃避じゃろ?」

「…バレたか?」


うん、それにしても今日の私はおかしかった。

長々と自分語りなど。


「そこまでルシフェの様子がおかしければの。柄にもなくマレフィを口説きおって」

「本心ではあるさ。現実逃避だがな」


今までのことで嘘はついていない。

だが、やはり私らしくもなかった。


「そこまで次の行動は嫌なことかの?」

「嫌だ。それでも、やらねばならない」


私は即答した。


甘々なお話を書こうとしてみましたが、私にはこのあたりが限界のようです。

とりあえず、強い人間が美しい理由を解説してみました。

”世界龍の鱗”はかなり後で重要な位置を占めてきます。


エリス編はまだまだ続きます。

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